スコットランド独立問題

画像の説明 追い詰められた英首相に冷ややかな目

英北部スコットランドで独立の是非を問う住民投票が18日に迫る中、キャメロン英首相と最大野党、労働党のミリバンド党首らは10日、スコットランドを訪れ、独立に賛成しないよう説得に乗り出した。しかし、現地では独立阻止に向けた異例の与野党“共闘態勢”に、「今さら遅い」と冷ややかな目が向けられている。追い詰められた首相らの説得が奏功するかは微妙で、独立派勝利となれば首相の進退問題に発展するのは確実だ。

「これから先は何が起きてもおかしくない」

スコットランド経済を支える北海油田開発の前線基地である港町アバディーン。ここでは独立反対派が優勢とされたが、反対派の同市議会議員は、約1週間後に迫った住民投票の行方に不安を隠さなかった。

9日に発表された最新の世論調査では、独立反対派が39%、賛成派が38%と拮抗(きっこう)した。別の調査では賛成派が反対派を上回る結果も出ており、「独立」が急速に現実味を帯びている。

この市議は、「流れは変わった。首相たちが来ても変えることはできないかもしれない」と語った。一部の富裕層や大企業は投票前に資産を引き揚げているとの情報もあるという。

キャメロン、ミリバンド両氏に加え、保守党と連立与党を組む自由民主党党首のクレッグ副首相もスコットランドに入った。3党の党首は、連合王国の維持で一致しているとして、スコットランドに独立に近い権限を保証する一方で、英国への残留を呼びかけた。

キャメロン氏は英紙への寄稿で「1つの家族を引き裂いてはいけない。死にもの狂いで最後のお願いをする」と強調、投票当日まで全力で残留を訴える考えだ。ロンドンの首相官邸には9日、残留を願いスコットランドの旗が掲げられた。

しかし、独立を目指すスコットランド行政府のサモンド首相は9日、「彼らは完全な混沌の中にある。独立を勝ち取るのは今だ」と気勢を上げた。

住民投票の結果、スコットランドが既に表明通り2016年3月にも独立の運びとなった場合、来年5月の英総選挙にスコットランドが参加できるのかなど、新たな難問も浮上する。英政界では、2年前にスコットランド独立派に譲歩して住民投票の実施を決めたキャメロン氏の責任を問う声が早くも強まっている。

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