「迫る韓国3回目の通貨危機で日本に擦り寄り?」

画像の説明

迫る韓国3回目の通貨危機で日本に擦り寄り?日韓通貨スワップの重要性にやっと気づいた

韓国経済は新型コロナウイルスによる感染者急増で窮地に立たされている。こうした事態において誰でも想像するのは、韓国「3回目」の通貨危機襲来リスクである。

3回目の「通貨危機」襲来か

韓国は、新型コロナウイルスによる感染者急増で、内需が落込み窮地に立たされている。

WHO(世界保健機関)から「パンデミック」宣言が出されるに及んで、輸出依存度の高い韓国にとって、さらに大きな痛手である。韓国経済は、内外需の両面で圧力を受けることになった。

こうした事態において誰でも想像するのは、韓国の「3回目」の通貨危機襲来リスクである。

1997年11月の通貨危機、2008年9月のリーマン・ショックによる金融危機を経験させられたからだ。いずれも、韓国ウォン相場の暴落に端を発する混乱であった。

ウォンは、1ドル=1,200ウォンが「マジノ線」とされている。1,200ウォンを割って下落に転じると歯止めが効かず、軽く1,500ウォン程度まで暴落して最悪事態に追い込まれるのだ。

株式は6ヶ月空売り禁止

3月に入って、世界的な株価暴落で韓国株式市場もこれに飲み込まれた。

3月13日、窮余の一策として、株式市場で6ヶ月間の「空売り禁止」が発表された。

外国人投資家が、株式売却で得た資金を海外送金すれば、ウォン安を招くという道筋を遮断するものだ。韓国当局は、口には出さないがすでに「3
回目の通貨危機」を回避する動きに出てきた。

為替投機筋が、ウォンを狙って売り崩すリスクは過去最大へと膨らんでいる。

2大要因で韓国経済は過去最大の危機へ。文政権がこれまで行なった経済政策――

2大要因で韓国経済は過去最大の危機へ
第1は、経済政策を取り仕切れるリーダーが不在である。

文政権は、まさに「極楽トンボ」と言える集団である。労組と市民団体が支持する政権で、この関係者以外は政権運営にタッチさせない「権力独占体制」を築いている。権力というおいしいパイは、関係者だけで分け合うスタイルである。この中には、経済専門家が一人もいないのだ。

文政権がこれまで行なった経済政策は、最低賃金の大幅引き上げと週52時間労働制である。

この理念は立派であり、誰も反対できるものでない。ただ、性急な実行は摩擦を伴うので、十分な準備時間を必要とする。スポーツでも必ず予備体操をするものだ。文政権は、その予備体操しないで、「ぶっつけ本番」で競技に入ったのである。韓国経済が混乱して当然である。

文政権は、理念さへ立派であればそれですべて良し、とする理念先行政治である。経済政策では、理念が良くても手段を誤れば逆効果になる。医療でも過剰投薬は副作用を伴う。そういう「臨床」的配慮がゼロなのだ。これが、偽らざる文政権の実態である。

第2は、理念先行が外交政策でも顕著である。文政権は、進歩派特有の社会主義志向である。資本主義を悪と位置づけ、「反企業主義」を時代の先端を行く政策と判断している。これが、労組と市民団体を支持基盤に吸い寄せた理由だ。

文政権の外交基本路線は、「親中朝:反日米」である。これが、韓国外交を歪な形にしている。中国と北朝鮮に対しては、何を言われても「ご無ごもっとも」であるが、日米に対しては些細なことでも「一言」してくる。とりわけ、日本には「積年の恨みを晴らす」という仇討ち精神で対抗している。

文政権になって、日韓関係がすべて崩れ去った要因は、仇討ち精神による「過去回帰」である。未来志向は、消え去った状態である。

日本軽視で韓国経済は過去最大の危機へ
以上の2要因に基づけば、韓国経済は過去最大の危機に立っている。

具体的には、内需不振(第1要因)。通貨危機で日本の支援(日韓通貨スワップ協定)が期待できない(第2要因)点だ。

ウォン売りを仕掛ける投機筋の立場から言えば、過去2回と比べ「最大のチャンス」と判断するのかもしれない。

文政権が、ことさら日本を無視したのは、中国との関係密接化によって人民元との通貨スワップ協定を結んだという自信である。

だが、人民元には国際市場で威力があるわけでない。資本自由化を先送りし、自由変動相場制にも移行しない人民元が、強い信頼を得られるはずがないからだ。

世界貿易に使われる通貨では、円が人民元をはるかに上回っている。円が、米国ドルに次ぐ「安全通貨」とされる理由である。

文政権は、中国を後ろ盾にすれば日本を軽視しても問題ない、と踏んだのであろう。これが、大誤算の始りである。

その中国は、新型コロナウイルス発症地になった。世界のサプライセンターの座が揺らぎ始めている。GDPの300%を上回る過剰債務の処理が重くのしかかっているのだ。不動産バブルが崩壊すれば、信用不安に直結して、「人民元売り」を誘うリスクまで抱えている。

そういう問題通貨とスワップ協定を結んでいても、大きなメリットはない。人民元のスワップ協定先の国が、事前に中国の了解を得なければ、スワップを利用できない制約がついている。人民元は、これほど使い勝手の悪い通貨なのだ。その通貨と、スワップ協定を結んでも実益は少ないだろう。

中国依存の危険性を察知。韓国は、中国がこうした窮迫状態であることに――

中国依存の危険性を察知
韓国は、中国がこうした窮迫状態であることに気付かずにいた。

そして、迫りくるウォン危機へ根本的に対応できるのは円であると再
認識したのが、3月10日以降という直近のことと見られる。過去2回の通貨危機と韓国を取り巻く状況が、根本的に変化していることを自覚したのであろう。

1997年の通貨危機では、IMF(国際通貨基金)とG7(先進7ヶ国)が支援体制を組んだ。民間金融機関では、日本が100億ドルの貸出枠を設定したが、実際には使われなかった。

これらの措置で金融市場は安定を取り戻した。日本は、2年間にわたり国際機関やG7各国と協調して、韓国支援の主導的な役割を果たした。

当時、韓国の国家債務が対GDP比11.4%と余裕のあったことも、その後の回復過程で幸いした。当時の財政が、どれほど健全だったか分かる。財政支出を支えにして、通貨危機後の景気回復は早かった。

2008年の金融危機では当初、外貨準備高が2500億ドルを超えるため、政府は問題ないと断言していた。だが、2カ月間で400億ドルが流出すると、恐怖が広がった。その背景として、2008年の資本収支と経常収支はともに赤字(外貨準備高の取り崩し)となり、貿易赤字に陥っていたという事情がある。為替レートは、2009年に1ドル=1100ウォン台から1500ウォン台へと暴落した。

2008年のウォン危機を救ったのは、主として米中との通貨スワップ協定である。米国は10月に、中国は12月に韓国と締結した。

日本は最後にスワップ協定を結んだ。米中に比べて遅れたのは、日韓関係の悪化が理由である。韓国の日本批判が盛んな中で、当時の中川財務相が反対したもの。韓国は、日本の通貨スワップ協定遅れを批判した。これが、日本の心証を害し、2015年を以て日韓通貨スワップ協定を終了した。

日本が支えた韓国経済
1997年の経済危機終息を振り返ると、日本の役割が大きかったことだ。

1997年では、日本がプロデューサー役になって、国際機関の取りまとめや支援などで大きな役割を果たした。韓国は、この日本の努力に対して誠意を持って答えず「反日」で対応した。これが、2008年危機では災いし、日本は通貨スワップ協定でも米中に遅れるという消極的なものに変わった。

日本が、韓国と通貨スワップ協定を結ばなければならない義務はない。韓国は、日韓併合時代の「償い」という意味で「当然視」してきた。これが、過去2回にわたる韓国通貨危機から学んだ日本の教訓である。

日韓併合も終わって、今年で75年を迎える。いつまでも、昔の証文を出されても応じる義理はない。韓国は、日本に対して敵対意識を持っており、すでに友好意識が消え失せているからだ。

文政権が、率先して反日不買運動を行なう状況で、日本が友好意識を深められるはずもないのだ。

急に態度を変えた韓国。韓国が現在、ウォン危機認識を持ち始めたのは

急に態度を変えた韓国

韓国が現在、ウォン危機認識を持ち始めたのは、先に触れたように3月10日以降と見られる。

それ以前は、日本へ仇討ち精神で臨んでいた。日本による韓国人の入国制限措置に対抗して、韓国大統領府報道官は8日、日本だけに入国制限措置を取った理由として、日本の不透明な検査方式で「コロナ感染者の数が氷山の一角かもしれない」という米国CNNテレビの報道を引用したほどである。あからさまに、日本を侮辱した内容だ。

それが急変したのは3月11日、日韓通商協議(半導体3素材輸出管理問題)で16時間の長時間協議で結論が出なかったにもかかわらず、韓国が強硬手段に出ず「協議続行」に同意した。抗議声明も出さなかったのだ。

これは、従来の姿勢から見て大きな変化である。その後、韓国外交部からGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄論をちらつかせることもなかった。

08年の危機構造に類似

韓国が、対日戦略を変えたのはウォン危機への認識が深まってきたのであろう。

ウォン相場が最近、頻繁に1ドル=1,200ウォンを割り込んでいるからだ。韓国当局の介入で「ウォン投機」の芽を摘んでいる感じだが、国際収支が変調を来たせば、介入で間に合わなくなろう。

韓国経済は、2008年危機に似通ってきたのだ。その特色は、次の点にある。

1)コロナ不況は、リーマンショックと同様に世界経済に大きな影響を与え、韓国の輸出を減少させる。今年の世界経済の伸び率は、2.5%を割る見通しが濃い。これは、世界経済が不況と見なされる。

2)輸出減は、経常収支赤字に転じる危険性を持ち、外貨準備高を減らすリスクをもたらす。そうなると、ウォン安相場に拍車がかかる。2008年に類似した国際収支構造が見込まれる。

3)韓国との通貨スワップ協定では、日米が未契約である。日米ともに韓国と、外交的な溝が深まっていることが背景にある。韓国は、いつまでも日本に楯突いていると、米国との関係までも悪化させる。そうなると、韓国経済はさらに落込む危険性が増す。

今後、韓国経済が直面する問題は、以上の3点に要約できよう。

特に、(3)の通貨スワップ協定で、日米が未契約状態であることは痛手だ。「ウォン」は、世界最強通貨「ドル」と安全通貨「円」のバックアップを失えば、彷徨しかねない危険性を持っている。

韓国が、前記の日韓協議で日本への抵抗姿勢に封印しているのは、その利害得失を計算している証拠と見られる。

韓国は、土壇場に来て自らが抱えるリスクに気付いたようである。だが、韓国の反日姿勢は強烈であっただけに、日本国内で日韓通貨スワップ協定に賛成する世論は高まらないであろう。韓国にとって、これが最大の誤算に違いない。

コメント


認証コード2227

コメントは管理者の承認後に表示されます。