「保守を捨てた韓国自由右派」

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1.駆け込み帰国

新型コロナウイルス蔓延対策として決定した中国と韓国からの入国を9日から制限されるのを前に駆け込み帰国が起こっています。

中部国際空港でも3月7日、駆け込みで帰国する人が相次ぎました。

中部国際空港の国際線便数は、新型コロナウイルスの感染拡大前に比べ約6割減少するとみられ、今後、中国と韓国以外の路線でも需要の低下から、さらに減便するとみられています。

日本が中韓からの入国制限措置を発表したのに対し、中国の趙立堅外務省副報道局長は、「各国が自国民と外国人の命と安全、健康を守り、地域と世界の公衆衛生の安全を保つため科学的で適当な措置を取ることは理解できる」とコメントし、人民日報系の環球時報も入国管理の強化について「各国の共通認識」と冷静な反応を見せました。

これに対し、やはり感情的な反応を示したのは韓国です。

日本政府が3月5日に入国制限強化を発表すると、翌日には康京和外相が冨田浩司駐韓大使を呼び、直々に「速やかな撤回」を強く求めたほか、即日、日本人への90日以内の短期滞在用の査証免除の停止を発表するなど、立て続けに報復としかいいようのない対応を見せました。

韓国外務省は「防疫以外の別の意図があるのではないかと疑わざるを得ない」と表明。康外相は、「非友好的なだけでなく非科学的だ……韓国政府の感染拡大防止の成果が出ている中で……背景を疑わざるを得ない」と被害妄想のようなコメントをしています。

2.科学的に判断する

これに対し、3月6日、衆議院外務委員会で茂木外相が「5日までに、人口1万人当たりの感染者数は韓国が最も多い1.12人、次に中国が0.58人」と述べ、6日の記者会見でも「あくまで日本国内での感染者の拡大を防止するための措置だ。

韓国で感染者数が急激に増え、6000人を超えているのは事実で、事実に基づく措置である」とし、科学的な防疫上の措置としました。政府関係者も「あくまで科学的に判断する。政治的な話ではない」としています。

日本側は数字で説明できるのに対し、韓国は数字よりも感情で説明しているように見えます。

というのも、中国やオーストラリアを始めとして既に100ヶ国にも及ぶ国が韓国からの旅行者の入国を制限、禁止しているにも関わらず、韓国が入国制限という措置を取っているのは日本に対してのみであるからです。

韓国外交省の関係者は韓国記者団に日本より厳しい入国禁止を行う豪州に対抗措置をとっていない点について「韓日関係と、韓国と豪州との関係が同じということはありえない」とも語ったそうですから、日本を目の敵にしていることを自分で白状しています。

流石に保守系の韓国メディアや政治家らは「日本への対応は感情的で過剰だ」とも批判。朝鮮日報は「中国には何も言わない政府が日本にだけ激しい憤怒をあらわにしている」、「選挙を前に再び『抗日運動歌』を歌う機会にしようというのか」と疑問を呈していますけれども、文在寅政権の本性を垣間見た感じがします。

読売新聞は、「新型コロナ拡散に文在寅政権が逆風を受けている状況で、日本に強い態度を見せなければ政権への批判が高まって4月の総選挙に悪影響を及ぼすと判断したものとみられる」と分析しています。

3.「ウリ」と「ナム」

確かに、日本に対してだけ入国制限をして他国に何もしない韓国の対応はちぐはぐであり、一貫性に欠けています。

拡大する武漢肺炎を食い止めるどころか、検査だけ進めて、その後の対応を疎かにしたため、医療崩壊をおこしてしっちゃかめっちゃかになっています。

そんな状況下で文在寅政権は総選挙に臨まなければならない訳です。

ただ、武漢肺炎が蔓延している大邱が保守が強い地域であることから切り捨ててしまえなどという発言も飛び出しています。

3月6日、韓国の左派の代表的論客である金於俊氏は、彼が持つTBSラジオ「キム・オジュンのニュース工場」で、「昨日大邱のコロナ感染者の割合が大邱市民560人に1人になった……このような傾向が続けば来週400人、300人に1人の割合で1人の割合でコロナ確定者大邱で出てくるだろう」と述べ、「中国が本当に問題だったら、人口2300万の首都圏はなぜ10万人当たり1人の割合で感染者が出てくるのか……

数値が明らかに述べている。私たちのコロナ事態は大邱事態であり、新天地事態だ」と強調。コロナ拡散が大邱の問題だと述べました。

また、民主党青年委員会に所属するある人は、3月1日、インターネットコミュニティに「政治コロナ事件のおかげで、文在寅の信頼が強くなりました」というタイトルの文を載せ、「今、文統領のおかげで、他の地域は安全だ。大邱は損切りしてもよい……

どうせ大邱・慶北は、将来統合党の地域である……大邱・慶北のコロナ感染者がいくら急増しても、他の地域まで届かない場合関係ない問題だ」と述べました。

大邱・慶北は韓国でも有数な保守王国なのですけれども、流石にこの切り捨てとも受け取られかねない発言は問題視され、民主党青年委員会は6日、倫理委員会を開き、この人物を補職解任したそうです。

身内でないなら全て敵。そこには所謂「ウリ」と「ナム」の考えが潜んでいるように見えます。

4.自由右派

失策続きというか、内政も外交も、何か上手くいった政策でもあるのかという感のある文在寅政権ですけれども、すでに「レイムダックに入った」と指摘する声もあります。

なんでも、青瓦台に近い学者によると、「昨秋の曺国法相スキャンダルで潮目が変わった。官僚が青瓦台の指示を聞かなくなった。彼らは青瓦台の指示の文書化を求めている。この先、どうなるかわからない政権なので指示内容を活字で残しておこうという官僚の保身だ。

これで与党が選挙に負けたら、行政はもっと動かなくなる。与党が過半数を取れなければ、国会は止まる」というような状態で、文大統領の地盤である釜山でも与党が負ける可能性があり、浮動票の多い首都圏でも「反文ムード」が広がっているそうです。

これが本当であれば、文在寅政権も流石に焦っていると思われます。それこそ反日ブーストを掛けてなんとか支持率を維持したいと考えているのかもしれませんけれども、保守だからと大邱・慶北を切り捨てるような発言が政府与党から飛び出そうものなら、もっと反発を招くことも十分考えられます。

そんな中、韓国の革新・保守対立とは別の新しい動きも起こってきています。

「自由右派」というグループです。

この「自由右派」は、日本でもベストセラーになっている『反日種族主義』(李栄薫編著)の執筆陣らが中心となり、歴史研究者、学者、ジャーナリスト、宗教指導者らを巻き込んだ「保守」とは名乗らないアンチ革新勢力です。

「自由右派」の中心人物のひとり、ジャーナリストの鄭奎載氏は「韓国の従来の政治的な保守派は、反日感情を持っている人が依然として多いのです。それは保守派の根が、実は民族主義にあるからです。しかし、『反日種族主義』が主張したように、自由主義史観にのっとり、事実は事実として理解して評価していく必要がある。

日韓関係をよくするというより、我々の長い歴史については正確な認識がなければならないということです。そういう意味でわれわれは『保守』という言葉は捨てて、自由主義右派という言葉を使うようになったのです」と述べています。

更に鄭氏は「韓国の李承晩政権、朴正熙政権について、近代史における位置付けを再評価する必要があります。そのうえで対日関係についても日本統治が何を破壊し何を残したのか、という韓国の新しい歴史観の構築を目指しているのです」と自由右派の目指す所を明らかにしています。

また、「月刊朝鮮」元編集長でジャーナリストの趙甲済氏も「文在寅政権は大韓民国の建国を認めていません。大韓民国は1948年8月15日に建国したが、文政権はこの日に『韓国政府』ができたという位置づけです。

金大中政権は1998年に建国50周年、李明博政権は2008年に建国60周年を祝ったが、文政権は2018年8月15日の建国70周年を『政府樹立70周年』としました。いま韓国は誕生日のない国になってしまったのです。

これは彼らが北朝鮮に正統性があると考えているからです。韓国の歴史をウソで創作している。こうした国家を壊す正統性の創作に対して立ち向かっているのが自由右派、反日種族主義のグループなのです」と自由右派を支持するコメントを述べています。

そこまでに3月8日現在で韓国の新型コロナウイルスは7134人と発表されていますけれども、ここまで増えてしまうと、韓国の総選挙が行われる4月15日までに終息できるとはちょっと考えにくい。

文在寅政権を斃すのは、もしかしたら新型コロナウイルスなのかもしれませんね。

日比野庵

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