「人類をサイレントインベージョンする新型コロナウイルス」

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1.人体へのサイレントインベージョン

世界が中国をシャットダウンし始めています。

1月31日、イタリア政府は6ヶ月の非常事態を宣言し、中国発着の航空便を当面の間停止すると発表しました。

これは、前日に観光でローマを訪れていた中国人夫婦の2人が新型コロナウイルスに感染していることを明らかになったことを受けての措置で、イタリアのANSA通信は、武漢市に住むイタリア人約70人が今週末にも特別便で帰国し、軍の施設で14日間隔離されるとしています。

イタリアのコンテ首相は「パニックになったり怖がったりする必要はない」と冷静な行動を呼び掛けていますけれども、ローマの国立サンタチェチーリア音楽院は29日、学院長のメッセージとして「中国、韓国、日本などの東洋人の生徒は、今月5日に医師の診察を受け、登校を認めるまでレッスンを中止し、病欠扱いとする」と発表しています。

ワクチンもなく、ウイルスの情報が乏しい中、人々が不安になるのは当たり前のことで、であるからこその非常事態宣言である筈です。コンテ首相の「怖がったりする必要はない」という呼びかけが力を持つのはどうやえば感染しなくて済むのかを明らかにしてからだと思います。

また、ロシアも1月30日、中国との国境を封鎖する対策を講じると発表。既に、ロシアの旅行会社やチャーター便の運航会社数社が中国行きの便の運航停止を発表しています

更に、アメリカも同様に非常事態宣言を出しました。

1月31日、アメリカのアザー厚生長官は、世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言を踏まえ、「アメリカとしての公衆衛生上の緊急事態を宣言する」と表明。アメリカ国内での感染拡大阻止に向け、湖北省に渡航したアメリカ国民を強制的に隔離するほか、過去14日間に中国に滞在した外国人の入国を拒否する措置を2月2日から実施しています。

日本と同様WHOの国境封鎖は推奨しないとのコメントをガン無視です。国家安全保障とはこういうものです。

これに対し、中国外務省の報道官は「WHOは渡航制限を控えるよう各国に促したが、アメリカはすぐさま正反対の動きに出た……実に卑劣だ」と批判しました。

中国が自衛の名の下に東シナ海などへ進出し、周辺国へサイレントインベ―ジョンをしているうちは中々意識されなかったのかもしれませんけれども、パンデミックは全然サイレントではありませんからね。

いや、むしろ、新型コロナウイルスの感染しても潜伏期間が長い上に初期症状が軽く、症状がはっきりしたときには既に肺炎になっているなんて特性は、人体に対する"サイレントインベ―ジョン"といえなくもありません。そんなウイルスが中国から発し、多くの人民を苦しめているのは、なんとも皮肉というか、因果応報を感じてしまいます。

2.中国に籠絡されたWHO

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界は中国との関わりを一時停止する措置に動き出しました。

中国の隠蔽体質は今に始まったことではありませんけれども、実態が分からない以上、世界が最大限の対策を取るのはある意味当たり前のことです。

日本のみならず、新型コロナウイルスが世界に散ってしまったのも、春節の時期であったことに加え、WHOの非常事態宣言が遅れたからだという指摘もあります。

WHOは当初、2度行った緊急理事会で非常事態宣言を見送りました。23~25日の状況報告書では、新型コロナウィルスの世界的危険水準を「普通」にしていたのを、後で「高い」に変えるなど、「中国の顔色を伺っている」という指摘を受けています。

WHOは1月30日になって、ようやく「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したのですけれども、テドロス事務局長は記者会見の場で中国政府は感染拡大阻止に並外れた措置を取った……中国政府の努力がなければ、国外感染はもっと増え、死者も出ていたかもしれない……中国は感染封じ込めで新たな基準を作った。誇張ではない」と褒め称えてみせました。

テドロス事務局長の中国との関係は前から指摘されていました。

エチオピア人のテドロス氏は2005年から2012年までエチオピアの保健大臣を務め、その後、2012年から2016年まで外務大臣を歴任しました。

エチオピアは「一帯一路」戦略のターゲットの一つであり、鉄道建設などにおいて中国が最大の投資国になっています。2017年の事務局長後任選挙で、中国はテドロス氏をバックアップして事務局長の座に就かせています。

エチオピアにとって、中国に媚びを売ることでチャイナマネーを呼び込む利益があることは分かりますが、そのせいで世界的パンデミックを起こされては堪りません。WHOおよびテドロス事務局長は遠からず、この責任を問われるような気がします。

3.真相は中国国外から

WHOのテドロス事務局長は、中国の感染封じ込めを評価し、国外感染はそれほどでもないと、強調していますけれども、本当にそうなのかについては大いに疑問があります。

勿論、新型コロナウイルス感染者に関する中国政府の発表が信用できないからですけれども、逆にいえば、中国国外での新型コロナウイルス感染者数をカウントすることで、その信憑性を確認できるという側面はあるかもしれません。

実際、武漢からのチャーター便で帰国された方の感染者数は2月1日現在で計8人。。チャーター便で帰ってきた人を700人とみても1%以上が感染していることになります。

中国当局は新型コロナウイルス感染者を1万人強と発表していますけれども、武漢の人口1100万人の1%でも11万人になります。中国政府の発表とは1桁違います。

新型コロナウイルスの感染者について、香港大の梁卓偉医学院長らの研究チームは1月31日のイギリス科学誌ランセットで、武漢市やその周辺都市の感染者数は1月25日時点で75815人に上り、主要都市では武漢から1~2週間程度遅れて感染者が急増している可能性があると発表しています。

この数字は中国当局の集計を使わず、1月28日までに武漢からタイや日本、アメリカ、フランスなどの外国に移動し、移動先で確認された感染者数に基づき推定したもので、1人の感染者からうつる人数を2.68人、感染者数が2倍に増えるのに掛かる日数を6.4日と計算。交通資料などから、武漢から中国の主要都市に移動した感染者は重慶で461人、北京で113人、広州で111人、上海で98人、深センで80人と推定したのだそうです。

筆者としては、こちらの推計の方がずっと信頼できるように思います。

4.隠蔽すればするほど長引く

もし、感染者の実態が香港大の推計どおりで7万人以上に上っているにも関わらず、中国政府が隠蔽を続け、WHOが中国擁護を続けるのなら、武漢肺炎の収束は長引くのではないかと筆者はみています。

なぜなら、世界が中国本土の新型コロナウイルスを収束しようと思ったとしても、情報が隠蔽されたままでは、効率的かつ適切な対応が出来なくなる可能性があるからです。

例えば、罹患者が1000人で全員隔離できているときと、罹患者が10万人を超えて病院にも行けず、道端のそこら中が死体で溢れている状況とで、同じ対応になるとはとても思えません。

今後、世界各国も続々と非常事態宣言を出してくることが予想されますし、そうなれば、まず自国民を守ることを第一優先して、中国本土への対応は後回しになります。

WHOも中国の対応は素晴らしいと持ち上げてしまい、大規模な介入を自分で出来なくさせてしまっています。

また仮に何か月後にワクチンが出来たとしても、1万あるいは何十万もの感染者に用意するとなると、いつになるのか分かりません。

「スケールデメリットは習近平への天命か」のエントリーでも述べましたけれども、今回の新型コロナウイルスについては、中国の人口の多さが逆にスケールデメリットになってしまっています。

5.武漢肺炎の無限ループという恐怖

本来であれば、情報を全面公開して、世界に頭を下げて協力を請うべきなのに、中国政府はそれができません。

やっていることは、殆ど都市封鎖だけ。筆者には、江戸火消しではありませんけれども、火を消すよりも、燃えている周囲の建物を壊して、ひたすら延焼を防ぐという対象療法にしか見えません。

けれどもこの方法だとたとえ延焼は防ぐことが出来たとしても、火事の現場が完全に燃え尽きるまで鎮火しないことになります。つまり、極端なことをいえば、武漢を中心とした封鎖都市に住む人が全員新型コロナウイルス罹患して、全員治るまで終わらないことになります。

しかも、一部には、新型コロナウイルスに感染して治癒した後も再感染するリスクがあるという情報もあります。

もし、そうなったら、武漢などの封鎖都市は新型コロナウイルス感染の無限ループに入ってしまうことになります。下手なSF映画でもない展開です。

まぁ、実際はそこまで極端なことにはならないと信じたいですけれども、今の中国政府の隠蔽と金の力で批判を抑え込むやり方、一言でいえば一党独裁政治ですけれども、その限界が露呈しているといえます。

易姓革命の思想からいえば、天は習近平の政治に断を下そうとしているのではないかとさえ思いますね。

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