「2020年導入か、」

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2020年導入か、中国デジタル人民元の前例なき威力

中国は2020年のフィンテック・イノベーションでデビューを飾る可能性がある。中国は国の通貨として世界初のデジタル通貨を発行する準備を進めている。当初は消費者の利用に焦点を絞った、慎重なスタートとなりそうだ。中国銀行システムでのより広範な使用は、混乱を伴う次のステップとなるだろう。

国際決済銀行(BIS)が2019年に実施した調査によると、世界主要金融当局の70%がデジタル通貨発行について研究している。中国人民銀行(中央銀行)はフェイスブック(FB.O)が発行を計画するリブアやビットコインなどの民間の暗号資産が正規の通貨にとって代わることを懸念し、主要国のなかで一番乗りで独自のデジタル通貨を発行する公算だ。

デジタル人民元に関する情報は乏しいが、人民銀行デジタル通貨研究所の穆長春所長は11月、商業銀行や、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)(0700.HK)、アリババ(BABA.N)傘下のアントフィナンシャルという国内オンライン決済サービス大手を通じて流通させるとの見通しを示した。モバイル決済の利用者は、違いにほとんど気づかないとみられるという。

しかし、デジタル通貨の基礎である分散型台帳というテクノロジーによって、当局は事実上インターネット上の資金の動きを捕捉し監視できる、これまでにない能力を持つことになる。詐欺や脱税、資金洗浄(マネーロンダリング)を取り締まる強力な武器を当局が持つともいえる。

ホールセールの金融市場でデジタル通貨が使用できるようになれば、銀行間決済、その他の取引の効率性や安全性が増す。中国金融市場のより遅れた分野で使えるようにすれば、公式データで2兆4000億元(3410億ドル)とされる不良債権の処理にも役立つ可能性がある。

中国が抱える最大の問題の一つに、債券や譲渡性預金、株などを複数のローンに重複して担保として差し入れる違法だが広く行われている慣行がある。こうした慣行も、分散型台帳技術を利用すれば、従来のデータベースよりも効率的に検知できる。国内企業の多くはなお、銀行の割引手形を現金に相当するものとして決済に使っている。手形などもデジタル化すれば詐欺のリスクが低下する。

デジタル通貨構想を急速に進めるのはリスクも伴う。だが、習近平国家主席がブロックチェーンの推進を掲げていることもあり、当局は何らかの成果を出す必要に迫られていると考えられる。人民銀行は、中国の次のフィンテックのスターになるだろう。

●背景となるニュース

*中国人民銀行デジタル通貨研究所の穆長春所長は12日、中国が発行を準備しているデジタル通貨を巡り、国民に関する情報を全て支配しようとする意図はないと説明、プライバシーの確保と当局に必要な情報の取得とのバランスを図る方針示す。

*人民銀が先ず、商業銀行などの金融機関に対してデジタル通貨を発行し、これらの金融機関が一般市民に流通させるという2段階のアプローチになる見通し。

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