「本当に地球が危ない」

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世界の研究者が認識する危機的状況とは?

何かにつけて平成最後の年と言われた2018年、身の危険を感じるほどの水害に見舞われる機会が頻発した。そして10月、危機感を煽られる新たな報告も発表された。

2030年には地球の気温が1℃上昇するというのだ。気候変動がひとたび進めば、今回どころではない被害が地球規模で発生する。ゲリラ豪雨や大型台風の多発、局地的な「どか雪」など、これまでは“大丈夫”とされてきた地域も油断はできない。しかし、人間はまだ、「いい方の未来」を選択できる所に立っている。四方を海にかこまれた小さな島国の日本にとって、気候変動は国土を失う死活問題、この瀬戸際の選択が、未来を大きく左右するのだ。

破壊的な気候変動のシナリオは「遠い未来の話ではなく、現実味を帯びてきた」と話すのはMS&ADインターリスク総研株式会社マネジメント第三部 環境・CSRグループ 上席研究員の寺崎康介氏。

このままいけば最悪の場合、2100年には気温は4℃上昇し、海面上昇の影響から、水没する地域も出てきてしまう。緑豊かな地球を子どもたちに受け継ぐには、「今の決断が大きな影響を与える」と分析する寺崎氏、「いい方の未来」を選ぶために、今できることとはなんだろうか。

「本当に地球が危ない」。世界の研究者が認識する危機的状況とは?

産業革命以来、気温はすでに1℃上昇、このままCO2の排出を続ければ、気温上昇は益々加速し、100年に一度と言われる大規模な洪水被害は頻発、大型の台風が発生する確率も上がるという予測があります。観測データの充実や気候や洪水モデルなどの進歩により、精度の高い予測が行われるようになり、これまでは立証の難しかった温暖化と異常気象の結びつきが、具体的な事象について分析されるようになってきました。

例えば、今年の熱波。気象研究所の今田由紀子先生や国立環境研究所の塩竈秀夫先生をはじめとする研究グループは、もし温暖化がなければ今年のような異常高温が発生する可能性は、ほぼ0%であるという分析結果を具体的に示しました。

一方で、これまでの温暖化を考慮すると、今年の熱波の発生確率は約20%だということです。つまり今年の熱波は、温暖化に起因するものと言えます。温暖化が進めば、今の地球の状態を保つことができなくなるのは明らかです。

世界平均地上気温変化

国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書(2014年発表)によると、温室効果ガスであるCO2の濃度を最悪のケースで想定した「RCP8.5」モデルでは、2100年に4℃程度気温が上昇すると予測されている。

このまま温暖化が進行した場合、中国北部などでは、湿球温度が人の生存限界を超える35℃※1近くとなる熱波が頻繁に襲う可能性があるとの論文も最近、公表されました※2。

パリ協定では、気温の上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑えようとの目標値が掲げられましたが、仮に上昇を2℃で抑えたとしても、影響がないわけではありません。

例えば2℃上昇のシナリオにおいて、バンコクなどを流れるチャオプラヤ川では、20世紀末に100年に1回程度の頻度で生じる規模の洪水(100年洪水)が、21世紀末には30から50年に1度という頻度で発生するとも言われています。しかし4℃上昇した場合は、その何倍もの頻度になります

※3。つまり気候変動を緩和しつつ、適応も進めることが重要です。

温暖化の影響で海面が上昇することも指摘されており、日本では大阪湾、伊勢湾、東京湾などの地域で、海水面が上がることによって、ゼロメートル地帯に位置する人口が大幅に増えると分析されています。その結果、高潮による浸水被害が増大する恐れがあると言われています。

海面水位変化予測

IPCCの第5次評価報告書による地球の海面水位の変化予測。RCP8.5シナリオでは、2100年に最大で82cmも海面水位が上昇すると予測されている。

※複数の気候予測モデルに基づく予測データ1986〜2005年の平均値を0.0とする

※赤はRCP8.5、青はRCP2.6の予測、陰影は、個々のモデルの年平均値の標準偏差の範囲を示す

※グラデーション(青)は、各RCPシナリオに対して、2081-2100年の平均がとる可能性が高い値の範囲を示す

いずれにしても、これらは全て、地球の温暖化、気候変動がもたらすことですから、世界規模での対策を考えていかねばなりません。このままでは「本当に地球は危ない」というのが、世界の大部分の政策関係者や研究者たちの共通の認識です。

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