2018年11月1日よりタイトルをWCA(世界の時事)に変更しました。
「「初詣」の知られざる開運作法」
「初詣」の知られざる開運作法、大凶のおみくじは福を呼ぶ?
お正月といえば初詣。開運のための参拝作法はあるのか。知られざる初詣の常識を専門家が教える
昨年はこの時期に「開運祈願の方法」をお伝えしたが、今年も神社仏閣に詳しい神社探究家の浜田浩太郎氏に、「そもそも初詣とはなんぞや?」という基礎知識、そして願いが叶う初詣のやり方をレクチャーしてもらおう。
初詣は近代になって
始まった新しい風習だった?
やっぱり初詣って、年の始めには欠かせない行事ですよね? 神社に行って開運祈願をするのは“当たり前”のようですが、そもそも初詣って、いつから始まった風習なんですか?
新しい年に、その年の安寧を願って神社仏閣に参拝するのが初詣ですね。普段、神社仏閣に行かない人も、この初詣は欠かせない風習であり、昔から行われていた風習だと思われる方も多いと思います。
しかし実は、初詣は近代になって始まった新しい風習なんですよ。
え~、そうなんですか? 大昔からの風習ではないんですか? でも、神社って大昔からそこに存在していません?
そうですね、古代から存在している神社も多いですが、大昔には初詣という習慣はなかったんです。中世の時代に入ると、公家や武家が大晦日の夕方から、自分たちの土地の氏神がいる神社に一晩中籠って、新しい年を迎える「年籠り(としごもり)」と呼ばれる風習を行うようになりました。
やがて江戸時代に入ると、身分を問わず大晦日の除夜詣が始まったんですね。それから、徐々に現在の初詣の原型となる元旦詣が盛んになってきたのです。
さらに江戸時代の元旦詣には、恵方参りと呼ばれる風習が加わりました。
お正月の歳神様は鏡餅に住んでいた
初詣は近代になって
始まった新しい風習だった?
やっぱり初詣って、年の始めには欠かせない行事ですよね? 神社に行って開運祈願をするのは“当たり前”のようですが、そもそも初詣って、いつから始まった風習なんですか?
新しい年に、その年の安寧を願って神社仏閣に参拝するのが初詣ですね。普段、神社仏閣に行かない人も、この初詣は欠かせない風習であり、昔から行われていた風習だと思われる方も多いと思います。
しかし実は、初詣は近代になって始まった新しい風習なんですよ。
え~、そうなんですか? 大昔からの風習ではないんですか? でも、神社って大昔からそこに存在していません?
そうですね、古代から存在している神社も多いですが、大昔には初詣という習慣はなかったんです。中世の時代に入ると、公家や武家が大晦日の夕方から、自分たちの土地の氏神がいる神社に一晩中籠って、新しい年を迎える「年籠り(としごもり)」と呼ばれる風習を行うようになりました。
やがて江戸時代に入ると、身分を問わず大晦日の除夜詣が始まったんですね。それから、徐々に現在の初詣の原型となる元旦詣が盛んになってきたのです。
さらに江戸時代の元旦詣には、恵方参りと呼ばれる風習が加わりました。
お正月の歳神様は鏡餅に住んでいた
「初詣」の知られざる開運作法、大凶のおみくじは福を呼ぶ?
古事記の時代からおられる神様なのですね……。江戸時代から流行り出したという恵方参りですが、自宅で歳神をお待ちするのではなく、わざわざお迎えに行き出したってことですか?
そうです。住んでいる場所から見て、恵方に当たる社寺にお参りするようになっていったんですが、もともとは江戸の風習ではなく、京都や大阪といった上方での節分の習わしだったんです。
その痕跡が京都市の世界遺産、二条城の南にある神泉苑という場所で見られます。神泉苑は平安京遷都のときに当時の大内裏の南に造られた池を中心とした天皇の庭園です。天皇や貴族が花見や観月などを楽しんだ場所なんですよ。
この神泉苑に、恵方社と呼ばれる歳神(大歳神)を祀る小さな祠があるんです。
神泉苑にある恵方社は、毎年大晦日の晩に恵方の向きに祠を回転させるという独特の祀り方をしている、日本唯一の社です。
鉄道各社の間で始まった
恵方参りの人々の誘致合戦
「泣くよ、鴬、平安京(794年)」から続いているってことなんですね? 1200年越えですか……。
そうなりますね。やがて、この歳神は氏神、鎮守の神という、いわゆる地域の神々と混在していきます。江戸時代はその年の恵方にある、歩いて行ける神様の元へ参拝していたのですが、明治に入り、鉄道網が敷かれるようになると、人々は遠方の有名な寺社に恵方参りをするようになりました。
すると、鉄道各社間で恵方参りの人々の誘致合戦が行われるようになったんですね。しかし、恵方は年によって方角が変わるものですから、非常に具合がよろしくない。そこで、恵方参りという言葉を使わずに、元旦にお参りすることを“初詣”と広告で謳うようにしたのです。
これが大正時代末期頃のことになります。
2020年の「恵方」はどっちだ?
ええ~!? 初詣って大正時代から始まったってことなのですか?
そうなんですよ、実はあまり古いものではないんです。初詣という言葉は、恵方参りの風習が薄れてきた大正末期生まれです。
鉄道各社が毎年正月に、その鉄道沿線の神社仏閣をそれぞれ勝手に恵方の神社仏閣だと宣伝したため、人々は電車に乗って、遠方の神社仏閣へと参拝したのですが、それを「初詣」と称したために、結果的に恵方の考え方や恵方参りの意義が薄れてしまったということです。
しかし、この恵方の考え方や恵方参りは、恵方巻などに代表されるように、今では、旧正月(節分)の頃に移ってきています。
正月から節分へ
2020年の恵方は「少し西」のほう
なるほど。現代の歳神様はお正月から立春まで大忙しですね。
そうかもしれませんね(笑)。恵方は、先ほど申し上げたように、その年の福徳を司る神、歳徳神(神道でいう歳神)がおられる方角を指しますが、これは神道に影響を及ぼしてきた陰陽道の考え方から来ているんです。
ちなみに2020年の恵方は、西南西(少し西)です。
そうですか! 少し西(西南西)ですか……。
では、初詣で神々のご利益をいただくコツを紹介しましょう。初詣は、もちろん神社仏閣へ参拝することですが、実は初詣は家を出発するときから始まっています。
まず、家の玄関を掃き清めましょう。そして、歳神や神々を迎える門松を飾りましょう。
大凶を引いても落ち込む必要なし
家を出発するところから「初詣」
大凶を引いても落ち込む必要なし
門松は、神々が来られる目印であり、神々が宿る依り代です。そして、その来られる神々の霊力をいただくために、鏡餅を供えることも大切です。また初日の出を拝んだり、元旦の太陽の光を浴びたりすることも重要です。
初詣に向かう前に、家で神々を迎える準備が出来たら、神社仏閣に参拝しましょう。
神社の場合、地域の氏神神社でもいいですし、普段崇敬する崇敬神社でも構いません。お寺の場合も同様です。大切なのは、新年を迎えて、神々に旧年の感謝をし、新年の誓いを宣言するという気持ちです。
ちなみに、祈りは意宣りに通じます。意宣りとは、自分の意志を神々の前で宣言することを表します。特に、初詣と呼ばれる新年の参拝では、この意宣りは大切なのです。
初詣での参拝は、人出が多いため参拝の時間が限られたり、お賽銭を入れる場合、遠くから投げ入れる必要が生じますが、参拝の基本は普段の参拝と同じです。大切なのは、新年を迎えての参拝の心構えだと思います。
さて、祈り(意宣り)を済ませたら、おみくじを引いてみましょう。おみくじは、神々からの心のメッセージとも言われています。新年最初の神々からの心のメッセージは、その年の生き方、行動のアドバイスでもあります。
ちなみに、大吉や吉などのメッセージなら嬉しいですが、新年早々、凶や大凶のおみくじだと凹んでしまいますよね。でも、大丈夫!凶を引いたからといって、決して落ち込む必要はありません。これは、「これ以上悪くならないので、これを出発点として頑張りなさい」という有難いメッセージです。
つまり、これからは運気が上がるわけですから、自分の意志通り実行しなさいということで、「災い転じて福となす」という諺もこのことに関係しています。
縁起物にこもる神様の「力」
また初詣では、自分のことばかりでなく、国家や社会の安寧もぜひ祈願してください。安寧とは、災害や事件のない平和なことです。平安時代の古い祝詞に、「平けく安らけく」という一文があります。まさに、平安時代の平安は、この願いを込めた名称であり、平安を願う一文ですが、平穏に安泰にいうことで、安寧にということです。
国家や社会の安寧を祈ることで、自分自身の安寧も実現できるのです。ですから初詣では、国家や社会の安寧もぜひ祈願してください。このことが、神々のご利益をいただくコツでもあります。
縁起物を持ち帰ると
神様の「力」をもらえる
初詣では、新年ならではの縁起物が多数あります。縁起物の縁起とは、もともとは仏教用語ですが、縁起がいいとか、縁起をかつぐなど日常的に使われる言葉でもあります。縁起物とは、まさに縁起がいいもの、縁起がよくなるもので、福をもたらすものです。
代表的なものとしては、魔を撃ち破るという意味の破魔矢があります。矢は武器ですが、魔を滅ぼし平和をつくり出すという神々の霊力が宿っている武器なのです。
縁起物は、お札やお守りと同じく、新年の初詣に新たにいただくと、神々の新しい霊力をいただけると思います。その縁起物を、ご家庭に持ち帰ることももちろん大切です。
初詣は、新年に最初に神々にご挨拶する大切な参拝です。そして、神社仏閣、神仏、先祖を身近に感じられる有難い参拝でもあります。そのことに感謝して、初詣に行きましょう。
わかりました。来るお正月は良いお参りができそうです!
初詣は1年の始まり。歳神様を気持ちよくお迎えすることが開運の第一歩となろう。
新たなる年が読者の皆様にとって、より良い年となりますように。