「李洛淵の言葉はポーズだけで終わるか」

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1.基本的に守っていくことが前提だ

10月23日、超党派でつくる日韓議員連盟の額賀福志郎会長は、天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に参列するために来日した韓国の李洛淵首相と東京都内のホテルで会談しました。

会談では、日韓関係の現状打開に向けて意見交換したのですけれども、李洛淵首相は1965年の日韓基本条約について「基本的に守っていくことが前提だ」と語ったと報じられています。

筆者は10月18日のエントリー「『即位礼』出席の韓国首相は手ぶらで帰るか」で、李首相が安倍総理と会談をするのなら、日韓基本条約を破棄するのか維持するのかどちらなんだと詰め寄ってもよいのではないかと述べましたけれども、額賀氏はそれに近い確認をしたのかもしれません。

そして、その場で李首相から「基本的に守っていくことが前提だ」という言質を取ったこと自体は一定の評価をしてもよいと思います。

これについて朝鮮日報は、消息筋の話として「安倍総理は李洛淵首相から『1965年に締結した韓日請求権協定を守っていくことが韓国の立場』という言葉を聞きたがっている」と報じていますから、韓国側もこの点がポイントであることは承知していると思われます。

ただ、李首相の言葉に”基本的に”という枕言葉が入っていることや、会談後、額賀氏が、記者団に「お互いに知恵を絞って云々」などと余計な発言をしたのはマイナスです。

条約を守るのは当たり前のことで、基本も例外もありませんし、韓国が一方的に国際法違反をしている状態で、日本が知恵を絞ってあげる理由はありません。よもや、日本が譲歩するなどととはあってはならないことです。

そもそも、李首相は、元徴用工訴訟の対応策については「様々な議論をしてきたが、結論を出すには限界がある」と匙を投げているのです。そんな人を相手に「お互いに知恵を絞って」なんてなったら、実際に智慧を絞るのは日本だけということになりかねません。

更には、李首相の発言そのものを文大統領が引っ繰り返してくることだって考えられます。まぁ、疑い出せば切りがないことは分かっていますけれども、そう警戒せざるをえないほど、韓国は信用を失っています。

2.ポーズだけでは何の意味もない

安倍総理との面会は、予定通り首相官邸で行われました。当初、李首相側は面談時間を20分間希望したのですけれども、安倍総理側は10分間にこだわり、「10分+α」ということで合意したと韓国のメディアが報じています。

安倍総理の即位礼正殿の儀の前後に安倍総理のスケジュールを見れば分かるとおり、文字通り分刻みの会談が目白押しです。

即位礼正殿の儀、前日の21日の首相動静を見ると次の通り。
首相動静(10月21日)

午前8時現在、東京・富ケ谷の私邸。朝の来客なし。
午前8時10分、私邸発。
午前8時24分、皇居着。「即位礼正殿の儀」の所作確認。杉田和博官房副長官、山崎重孝皇位継承式典事務局長、山本信一郎宮内庁長官同席。
午前9時、皇居発。
午前9時10分、東京・元赤坂の迎賓館着。
午前9時24分から同38分まで、モルディブのソーリフ大統領と会談。
午前9時52分から同10時15分まで、ネパールのバンダリ大統領と会談。
午前10時25分から同45分まで、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問と会談。
午前10時53分から同11時7分まで、オマーンのアスアド国王代理国際関係・協力担当副首相と会談。
午前11時14分から同29分まで、スロバキアのチャプトバ大統領と会談。
午前11時36分から同52分まで、コートジボワールのワタラ大統領と会談。
午後0時44分から同1時13分まで、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談。
午後1時16分から同26分まで、フィンランドのニーニスト大統領と会談。
午後1時31分から同43分まで、ルーマニアのヨハニス大統領と会談。
午後1時49分から同2時まで、リトアニアのナウセーダ大統領と会談。
午後2時7分から同35分まで、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談。
午後2時45分から同58分まで、セルビアのブルナビッチ首相と会談。
午後3時7分から同20分まで、レソトの国王レツィエ3世と会談。
午後3時29分から同44分まで、ミクロネシア連邦のパニュエロ大統領と会談。
午後3時53分から同4時5分まで、パラオのレメンゲサウ大統領と会談。
午後4時16分から同31分まで、モンゴルのフレルスフ首相と会談。
午後4時53分から同5時15分まで、エスワティニ(旧スワジランド)の国王ムスワティ3世と会談。
午後5時18分から同51分まで、スぺインの国王フェリペ6世と会談。
午後6時から同22分まで、フランスのサルコジ元大統領と会談。
午後6時27分から同41分まで、コソボのサチ大統領と会談。
午後6時45分から同7時2分まで、ニジェールのイスフ大統領と会談。
午後7時9分から同24分まで、サウジアラビアのツルキ国務相と会談。
午後7時27分から同37分まで、ヨルダンのフセイン皇太子と会談。
午後8時34分、同所発。
午後8時39分、公邸着。
午後10時現在、公邸。来客なし。
安倍総理は、21日だけで各国王族・首脳、23人と会談しています。会談時間は各々10分少々。30分以上も会談できたのは、スぺイン国王フェリペ6世くらいです。レソト国王レツィエ3世、ヨルダンのフセイン皇太子ですら10分程度です。

こんな中、韓国の李首相だけ20分の時間を取るのは逆に特別扱いしていることになります。安倍総理が10分に拘ったのが本当だとしても無理からぬことだと思いますね。

ただ、実際の会見では、李首相がごねたのかどうか分かりませんけれども、予定を大幅に超える20分となりました。

けれども、肝心の内容は、日韓関係の厳しい状況をこのまま放置できないとの認識で一致したにとどまり、事前の予想どおり、特に成果なく終わりました。

尤も、李洛淵首相も、面談に多くは期待していないようで、韓国出国前にソウル空港で長嶺安政駐韓日本大使と歓談し、「今回の訪問ですべてが解決されるとは期待していないが、一歩前進する契機になると思う」と述べ、23日も、日韓関係の状況は依然として厳しいとした上で、「できる限り対話が促進されるよう雰囲気をつくることが目標だ」と語っています。

更に、韓国の首相室関係者も「今回の訪日で強制徴用問題などの懸案を具体的に議論するのは難しい……李首相と安倍首相、高位級で両国の未来志向的な方向に共感を形成すれば、これによって日韓関係が動く余地が生じる」と述べています。

けれども、ただ、会って親書を渡したからといって、それで雰囲気が良くなるとか、日韓関係が動くとは限りません。日本からみれば、韓国の態度が何一つ変わってないからです。

約束は守らない。嘘ばかりつく相手の親書をどうやれば信用できるのか。どうせ口先だけだと思われるのが関の山です。

韓国側ももはやポーズだけでは、何の意味もないことを知るべきだと思いますね。
 

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