「災害対策と遠い野党の信頼回復」

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1.受け入れたくなかった

10月15日、参院予算委員会は当初予定の7時間の審議に加え、台風19号に関する約1時間の「特別枠」を設け、集中審議を行いました。

これは、前日の14日、自民党の末松信介参院国対委員長と立憲民主党の芝博一が合意して決まったことなのですけれども、当初、立憲民主の芝参院国対委員長は台風19号による被害への対応を政府は優先すべきだとして、予算委の延期を要求していました。

これに対し、自民の末松参院国対委員長は、一旦、持ち帰って自民党内で協議し、台風19号に関する質疑を追加したうえで予算委を開催することを提案し、最終的に決まりました。

ただ、参院自民党幹部が「国会で災害について議論することが大事だ」と指摘したのに対し、立憲民主党幹部は「受け入れたくなかったが、審議拒否する類いではない。我々としてはしっかり質疑する」と語ったそうです。

勿論、災害には政府として対応することはいうまでもありません。ただ、災害発生して対策本部すら設置していないのならともかく、政府jは、14日に台風19号の非常災害対策本部会合を開き、「被災地が躊躇せず、全力で応急対策や復旧対策に取り組めるよう、激甚災害に指定する方向で調査を進める」との方針を示しています。

応急対策や復旧対策は現地の判断ですから、政府は資金面や足りないものを補給するなど後方支援がメインになるのは当然のことです。

激甚災害は、農林水産関連施設などの被害額が一定基準を上回る場合に政府が指定し、自治体の財政負担を軽くして早期の復旧・復興を支援する。実際、政府は被災者支援を迅速に進めるために設置した各省庁横断の「被災者生活支援チーム」の取り組みとして、政府職員約370人を被災地に派遣しています。各省庁横断での行動・指示は官邸や政府次元でないと無理ですから、政府としてやるべきことに取り組んでいると思います。

そして、政府与党は国会で災害について議論するのが大事だとし、台風19号に関する質疑を特別枠として追加した。特に瑕疵があるとは思えません。それを立憲民主は「受け入れたくなかった」とはどういうことなのか。

2.災害が起こらない改良工事が必要

15日に行われた参院予算委員会の台風19号災害に関する集中審議では、野党側は、決壊が相次いだ河川の堤防の耐久力や避難所運営の問題点を指摘しました。

立憲民主党の杉尾秀哉氏は、長野県の千曲川での堤防決壊をめぐり、復旧の加速を求めたうえで、「堤防の耐久力が弱かったのではないか。抜本的な復旧とともに災害が起こらない改良工事が必要」と主張。国民民主党の森ゆうこ氏はホームレスの男性の避難所受け入れを断った東京都台東区の対応を批判し、認識を質しました。

赤羽一嘉国土交通相は復旧について、「現場では『まだ足りない』という切実な声があると思うので、緊張感を持って進めなければならない……気候変動で豪雨が増加する状況変化に合わせた治水施設の整備は、重要だ」と答弁し、避難所受け入れについては安倍総理が「避難所は、被災者の生命身体を保護するために設置されたもの。避難した全ての被災者を適切に受け入れることが望ましい……関係自治体に事実関係を確認し、適切に対応する」との考えを示しました。

ただ、立憲民主や国民民主の旧民主党の面々は、民主党政権時代に事業仕分けと称して、公共事業を削った前科があります。

立憲の杉尾議員が、災害が起こらない堤防の改良工事が必要、というのなら、その前に民主党の仕分けは間違っていたという反省があってしかるべきだと思います。それもなしに、政府批判ばかりでは、国民とて、これでは任せられないとなります。

3.野党の信頼回復は遠い

昨年7月に西日本豪雨災害がありましたけれども、7月5日夜に自民党議員が議員宿舎で酒席を開いていたと、立憲民主の蓮舫議員が批判していました。

けれども、同じ7月5日、立憲民主の手塚よしお衆議院議員の政治活動25周年記念パーティーが開かれ、枝野幸男、岡田克也、海江田万里、野田佳彦、村田蓮舫、杉尾秀哉の各議員が出席しています。

更に、与党の豪雨対策が遅いと批判した7月7日には、立憲民主党長野県連合代表の杉尾秀哉参院議員が主導し、長野市内で結成大会を開催しています。

まぁ、災害対応の為の必要な手が打ってあれば、別に現地なり対策本部なりに張り付いていなくてもよいですし、パーティーを開くなとも言いませんけれども、与党を批判するのであれば、我が身を正してからでないと、中々信用は得られないものです。特に民主党は政権時代にやらかしていますから猶更です。

立憲の杉尾議員は「災害が起こらない堤防の改良工事」を求めましたけれども、それであれば、「治水は後世への遺産」のエントリーで触れたスーパー堤防も議論の遡上にあげるべきでしょう。もちろん治水は堤防だけでなく、河床を掘るなどの流量コントロールや、遊水池の設置など様々な対策があるはずです。

抵抗野党も批判だけでなく、逃げずに必要かつ実のある議論をしていただきたいと思いますね。

日比野庵

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