「年金を喰い物にする天下り官僚たちのピンハネ天国」

画像の説明

元国税が暴露。年金を喰い物にする天下り官僚たちのピンハネ天国

以前掲載の「元国税調査官が暴露。財務省が消費増税をゴリ押しする本当の理由」などで、消費税を増税する前に整理すべき「税金利権」があると指摘し続けてきた、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。大村さんは今回も自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、確定拠出年金や雇用保険、労災等を利用した「キャリア官僚によるピンハネの実態」を暴露しています。

年金を喰い物にする官僚たち

ついに、10月から消費税が上がりますね。筆者はこのメルマガで「今の日本の財政、税制の状況は欠陥だらけ、矛盾だらけ。これを改善せずに増税するなどはあり得ない」と主張してきました。今回は今の日本の財政欠陥の一つである「年金制度の欠陥」についてお話ししたいと思います。

現在の日本の歳出の中でもっとも大きいのは社会保障関連費です。社会保障関連費は、30兆円を超えています。深刻な少子高齢化社会を迎えている日本にとって、この社会保障関連費は非常に重要な支出です。が、この社会保障関連費は、天下り官僚たちのカッコウの利権温床になっているのです。
特に年金はその代表格です。今の年金制度は、いろいろ複雑になっていて、一般の人からはなかなかわかりにくいものになっています。なぜもっと単純なわかりやすい仕組みにできないものか、と不審に思っている人も多いはずです。なぜ年金がこれほど複雑な制度になっているのかというと、それはキャリア官僚の天下りが大きく関係しているのです。

今の日本の公的年金システムは、様々な機関がたくさんあります。それぞれが別個の仕組みで成り立っています。それが、年金や保険の制度を複雑化し、「消えた年金」などが生じる大きな要因となっています。

なぜたくさんの機関があるのかというと、機関をたくさんつくることで、キャリア官僚たちが天下り先を確保しているのです。

たとえば、公務員の社会保障を管理する団体には、地方公務員共済組合、国家公務員共済組合という組織があります。いずれもキャリア官僚が数名ずつ天下りしています。国家公務員も地方公務員も、その年金の原資というのは、100%税金です。だから公務員の年金を扱う団体というのは、当然のことながら税金を支出してつくられています。

つまり地方公務員共済組合、国家公務員共済組合も、その原資は100%が税金なのです。そこに天下りの席を用意しているのだから、税金で天下り先を確保しているということになります。
そして、この天下りの報酬は、決して安くないのです。一人あたり1,000万円前後もするのです。

公的年金の管理などは、いろんな団体が乱立するよりも一元管理した方が、効率的で公平になるはずです。これまでも何度も公的年金の複雑な制度を一元化するべき、という議論が起こっています。しかし、多々の団体をつくることで、キャリア官僚たちが天下りの席を確保しているので、これらの団体を整理することができないのです。そのために、日本の公的年金システム自体に巨大な無駄を生じさせているのです。

「確定拠出年金」という巨大利権

公的年金が、いかにキャリア官僚に食い物にされているか、それを象徴するのが「確定拠出年金」です。
確定拠出年金というのは、個人が加入して、運用まで行う「公的年金」です。iDeCoという名称で、国などがたくさん宣伝していますので、ご存知の方が多いはずです。

この確定拠出年金は、現在の公的年金だけでは、将来、年金額が不足するのは目に見えているので、個人個人で年金を積み立ててもらおうという趣旨でつくられたものです。加入は自由で、掛け金も自分で自由に決められるもので、税制上の優遇措置もあります。
実は、この確定拠出年金には大きな落とし穴があります。手数料が異常に高いのです。

まず、確定拠出年金に入った場合、口座開設手数料として2,777円払わなければなりません。また毎月の手数料も数百円から数千円かかります。実はこの手数料の大半は国の機関が分捕っているのです。

口座開設手数料2,777円と毎月103円の口座管理費を「国民年金基金連合会」という機関が徴収しています。が、「国民年金基金連合会」に支払っているこの手数料は、なぜ必要なのかまったく意味がわからないものです。

確定拠出年金は、窓口となっている金融機関が、掛け金の預かり、運用の手続きなどすべてを行なってくれます。「国民年金基金連合」が行なう業務などは事実上ないのです。にもかかわらず、開設時に3,000円近くと、毎月103円も取っているのです。これは、ピンハネ以外の何モノでもありません。

雇用保険や労災でもピンハネが

確定拠出年金の利益の半分は手数料で取られる
確定拠出年金は、加入することによって平均で1~2万円の節税になります。しかし国と金融機関への手数料が年間数千円かかるので、節税額の半分くらいが手数料で消えてしまうのです。

しかも、確定拠出年金は給付時にも手数料がしっかりかかってきます。給付時に取られる手数料は、給付1回につき432円です。これも「国民年金基金連合」に吸い上げられます。この国がピンハネしている手数料の受取先である「国民年金基金連合」というのは、厚生労働省などの天下り先になっている機関です。

つまりは、霞が関の官僚たちの天下り先にお金を回すために、「確定拠出年金」は手数料を異常に高く設定しているのです。将来不足するであろう年金を補うために国民が自分で年金を積み立てるように作った制度でさえ、役人はピンハネしているのです。しかも、一人一人から年間1,200円以上とっているわけだから、その額はかなり巨額となります。もし1,000万人が加入すれば、120億円になります。

こういう仕組みは、何も確定拠出年金に限ったものではありません。国民生活のあらゆる部分に及ぶのです。霞が関の官僚たちは国民にとって必要な制度をつくるとき、必ず、ピンハネする仕組みをつくって、自分たちに利益を誘導するのです。

雇用保険、労災もピンハネされている

キャリア官僚にピンハネされているのは、確定拠出年金だけではありません。国民生活のあらゆる場所に、官僚のピンハネの仕組みがあるのです。たとえば、雇用保険、労災などもそうです。

雇用保険、労災は、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」、独立行政法人「労働者健康福祉機構」などの運営費も支出しています。この「労働政策研究・研修機構」「労働者健康福祉機構」というのは、労働保険業務を補完するような役割を持っています。

が、両機構とも、別に厚生労働省がやればいいんじゃない?という業務しか行っていないのです。ざっくり言えば、厚生労働省の業務の一部を、この「労働政策研究・研修機構」「労働者健康福祉機構」に振り分けているということです。

そして、この「労働政策研究・研修機構」「労働者健康福祉機構」も、厚生労働省の官僚の出向先、天下り先になっているのです。つまりは、雇用保険、労災の財源を使って、官僚たちは天下り先を確保しているのです。
そもそも、雇用保険や、労災というのは、労働者の雇用補償や健康補償のためにあるものです。しかし、日本の雇用保険は非常にお粗末なものです。先進国に比べれば、給付額や給付期間がはるかに短いのです。それが、中高年の自殺や、子供たちの貧困につながっているのです。

それも、雇用保険の財源が、本来使われるべきところに使われずに、天下り官僚などに費消されているからなのです。
またキャリア官僚によるピンハネは、他にも多々あります。健康保険にも、官僚の天下り先になっている機関が多々あるのです。社会保険やそれに類するものは、ほとんどが何らかの形で、国家にピンハネされているといえます。

税金や社会保険料というのは、官僚たちの利権がびっしり張り付いているのです。増税などを言い出す前に、まずは税金利権を全部整理し、国民が払いすぎている税金や社会保険料を返還すべきです。

MAG2

コメント


認証コード4410

コメントは管理者の承認後に表示されます。