「韓国の言論弾圧とノープラン外交」

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1.言論弾圧を始めた文在寅政権

7月17日、韓国大統領府のコ・ミンジョン報道官は記者会見で、日本政府による輸出管理強化について報じた保守系大手紙の朝鮮日報と中央日報を名指しで批判しました。コ報道官は、日本語版サイトの記事で見出しを変えているケースがあると指摘し、「韓国企業が困難に直面する中、何が韓国と韓国民のためなのか答えるべきだ」と苦言を呈しました。

槍玉に上がった記事は、朝鮮日報の「反日韓国はどの面下げて日本からの投資を期待してるの?」と中央日報の「韓国は日本をあまりにも知らなすぎる」です。

コ報道官は、問題の朝鮮日報の記事は韓国語版では「日本の韓国投資1年間でマイナス40%…」を主見出しにしていたのに対して、日本語版では「韓国はどの面下げて日本からの投資を期待してるの?」という見出しになっていると指摘。また、中央日報のコラムや朝鮮日報の別の記事が日本のポータルサイトで2、3位に上っているとし、日本人がこうした記事を通じて「韓国世論を理解している」と批判しました。

また、韓国大統領府で司法分野を管轄するチョグク民情首席秘書官もフェイスブックで両紙日本語版の見出しを挙げ、「日本で嫌韓感情の高まりをあおるこんな『売国的』タイトルを選んだ人間は誰か?」と批判。更に別の高官も「国益の視点でみるよう望む」と強調しています。

件の記事を読む限り、少なくとも日本からの視点では、その主張はともかく取材に基づいた内容であり、一つの意見として尊重されるべきものであるように見えます。

筆者は、たとえ反対意見であっても、それを報じる自由があればこそ国益に資する面があると思いますし、むしろ、事実を知らせないとか、捻じ曲げる報道こそが国益を害するのだと思いますね。

件の記事の見出しも、電車の吊革広告にあるような若干週刊誌的なものであるものの、記事の内容から乖離している訳でもなく、そう目くじらを立てるようなものでもないように思われます。むしろ、日本の週刊誌の記事見出しの方が余程過激です。

昨日のエントリーでは、文在寅大統領は反対世論を抑え込めば、反日でまだまだいけると考えているかもしれないと述べましたけれども、世論というか発信元のマスコミを抑えに掛かっていますね。

一部からは言論統制を敷いたという批判の声も上がっているようですけれども、都合の悪いことは一切聞かない文在寅大統領ならば、批判を黙殺するかまたは圧力を掛けて黙らせるかするかもしれません。東京新聞の”イソ子”こと望月記者のような人がいたとして、彼女が文政権に質問しようものなら、たちまち摘み出されるような気がしますね。

これで、韓国マスコミが文在寅政権に"忖度"して政権批判を控えるのかどうか、ちょっと注目してみたいと思います。

2.ノープランの文在寅

政権批判の声はマスコミだけではありません。

7月18日、文在寅大統領は与野党の代表5人と会合し、日本の輸出優遇措置撤廃に対応するために、力の結集を呼びかけました。

大統領府によると、文大統領は「現在、最も至急で重要なことは日本の輸出制限措置にどう対応するかだ。また、韓国の主力製造産業の核心素材や部品の過度な日本依存をいかに減らしていくのか、共に知恵を集めていくことだ……現在の日韓の葛藤を早期に解消し、両国の友好協力関係を回復して一層発展させる方策まで共に議論できればと思う」と述べました。

共同発表文によると、文氏と与野党代表は、政府・与野党が一体となった「非常協力機構」を設置し、半導体素材の輸出管理厳格化を「不当な経済報復」だとして即時撤回を迫っていくことで合意したそうですけれども、「非常協力機構」なるものが何をしてくれるのか分かりませんし、即時撤回を日本に求めるなど、月初から言っていることが変わっていません。

輸出管理厳格化に向けて、各省庁に準備とそれに伴う法案を考えさせているから協力して欲しいというなら、まだ分からなくも有りませんけれども、「共に知恵を集めていくことだ」では、実態はノープランじゃないのかとさえ思えてきます。

確かに対日依存を減らしていくのは中長期的な対策には違いありませんけれども、今になって、そんなことを言い出す辺り、自分達の対日外交が何を意味するのか全く分かっていなかった傍証であると思いますね。

文大統領が与野党代表と大統領府で会談したのは約1年4ヶ月ぶりで、更に保守系の最大野党、自由韓国党の黄教安代表と国政問題をめぐり意見交換したのは初めてのこと。文大統領は与野各党代表と意見を交わす姿を見せられたことの意義を強調したそうですけれども、国民向けのパフォーマンスの意味合いもあると自らバラした形です。

パフォーマンスばかりで何もできない文大統領には、数年前、日本でもあった悪夢の民主党政権で、「最低」と「最悪」の二つ名で呼ばれた二人の首相を彷彿とさせます。見守るだけでは何も変わりません。

3.自らを振り返らない韓国与野党

この会合での文大統領の要請に対し、保守系の最大野党、自由韓国党の黄教安代表は「日本が両国関係を破綻に追いやる経済報復をとることは非常に誤ったことだ。厳しく糾弾する。日本政府が間違った措置を撤回しなければならない」と強く批判する一方、会談の冒頭では、文政権が日韓関係の悪化を放置してきたのは「明白な間違いだった」と批判し、日本への特使派遣や早期の首脳会談による事態打開を求めています。

こちらも冒頭では政権批判して会談中には日本を批判するなど、世論を意識しているのか、文大統領に忖度したのか、ちょっとよく分かりません。それ以前に、打開策として提示しているのが、輸出管理厳格化ではなく、日本への特使派遣や早期の首脳会談と言っている段階で、そもそもズレています。

また、中央日報は他党の代表のコメントを報じていますけれども、特使を派遣するだとか、日本を糾弾するだとか、そんなのばっかりで、貿易管理体制の再構築など、自らの在り方を見直す意見が殆どないのが驚きです。

相手を変えさせるばかりで自分は何も変えないでは、会談も協議もあったものではありません。ノープランでは外交は出来ないのです。

アメリカ国務省の関係者は、ワシントン内の日韓外交の違いについて、「韓国の外交官は会うとすぐにわれわれを教化しようとする。それから何々してほしいとお願いする。要請を聞き入れるとその後しばらく連絡が途切れる。少しするとまた連絡が来るが、会うとまた要請だ。日本の外交官は会うと先に『私はあなたのために何ができるか』と聞く。助けようとしてくれる。だからこちらも『われわれのほうでは何を助られるだろうか』ということになる」 と述べたそうですけれども、この傾向は韓国与野党でも同じようです。

日本としては、韓国が世界標準でみて"普通"な外交が出来るまで、感情を一切入れず、塩対応でよいのではないかと思いますね。

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