「韓国、日本の輸出規制で中国から調達試みるも代替は困難か」

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韓国、日本の輸出規制で中国から調達試みるも代替は困難か

日本は7月4日から、半導体、有機ELパネル製造に必須の感光材(レジスト)、エッチングガス(フッ化水素)、ディスプレイ用樹脂材料(フッ化ポリイミド)を韓国に輸出する際、個別に許可を求めることとした。
 
日本経済新聞によれば、韓国はレジストでは91.9%、フッ化水素では43.9%(中国が46.3%)、フッ化ポリイミドでは93.7%を日本から調達している。グローバルでみてもこれらの製品は日本企業のシェアが大きい。
 
一部の韓国企業はこの措置によって、大きなダメージを受けるとみられ、彼らは現在、その対策に追われている。
 
中国本土のマスコミ情報によれば、サムスン電子、SKハイニックスは現在、中国本土や台湾などのサプライヤーからこれらの商品を仕入れるべく、在庫に余裕のある企業を探している。また、LGは中国のフッ化水素を用いて代替できるかどうか、テストを行っている。
 
中国企業でも、この機に乗じて、販売を伸ばそうとするところもある。
 
例えば多フツ多化工(002407、深センA株)は昨年、韓国に対してフッ化水素酸(フッ化水素ガスを水に溶解させた製品)の輸出を開始している。既にサムスン電子、SKハイニックスのサプライチェーンに組み込まれており、その製品は3D-NAND、DRAMの製造過程で使用されている。2019年末には年産5000トンレベルの大型生産設備が完成、2020年第1四半期には稼働する見込みである。
 
中国はフッ素系製品の原材料となる蛍石の世界最大の生産国であり、フッ化水素に関しては、純度の低い製品であれば、高い生産能力がある。多くの企業が参入しているが、その中で、多フツ多化工以外にも、三美股フェン(603379、上海A株)、巨化股フェン(600160、上海A株)、晶瑞股フェン(300655、深センA株)といった企業は、電子部品製造レベルで使える製品を作る能力があるだろう。

中国以外ではロシアがフッ化水素の提供を提案しているようだ。いずれも、すぐには無理だとしても、半年、1年後ということであれば、対応可能であるかもしれない。
 
レジストについては、現状で中国企業が有機EL製造に使われるような高品質の製品を作ることは難しいようだ。ただし、晶瑞股フェン(300655、深センA株)では、日本企業から専門家を招き、研究開発グループを発足させている。また、中古ではあるが必要な製造装置を購入済みである。そのほか、強力新材(300429、深センA株)も、将来的には高品質のレジストを造る能力があるとみられている。
 
一方、ディスプレイ用樹脂材料の製造については、現段階では、中国企業にとっては難易度が高いようだ。

「ホワイト国」でなくなれば韓国経済に大打撃も
 
日本はさらに、追加の措置も検討している。日本は安全保障上の信頼関係を築いている国として韓国を「ホワイト国」に指定しているが、これを外すことを視野に入れている。ホワイト国でなくなれば、軍事転用の可能性がある広範な品目について、韓国は輸入の都度、日本から審査・許可を求められる可能性が生じる。別の分野についても、原材料、部品の調達ができずに、経営に深刻な影響を受ける韓国企業が出てきそうだ。
 
韓国は相対的に人口が少なく、国土が狭く、資源が乏しい。その結果、産業構造に厚みがない。韓国のエレクトロニクス産業は確かに世界を席巻しているが、そうしたリーディング産業でさえも、いろいろな細かい技術、部品については、日本からの輸入に頼っているのが現状である。
 
2017年における韓国の貿易依存度(輸出入金額/名目GDP、UNCTADより)は67.6%で、中国の32.3%、日本の27.4%、アメリカの20.0%と比べると、飛びぬけて高い。韓国は貿易を経済発展の大きなエンジンとする国家であることがわかる。
 
しかし、韓国が貿易立国であるのは、グローバルに開かれた自由な貿易が確保された上でのことであり、韓国は本来、政治的には全方位外交が求められる国家である。
 
文在寅大統領はこうした世界における韓国の基本的な位置付けを理解していないように見える。市民運動や、人権運動は尊いが、経済が破綻してしまえばそれどころではない。韓国のこの厳しい現状は、国民が経済、外交に精通していない文在寅氏を大統領に選んでしまったことによる必然的な結果であるように思う。
 
日本で韓国に厳しい政権が続く限り、韓国経済はしばらくの間、逆風が吹きすさぶことになりそうだ。

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