「黄昏のサムソン」

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日本の半導体材料輸出規制が開始されました。

サムスン電子やSKハイニックスと取引するフッ化水素加工業者会社によると、7月4日から適用するとした規制強化が事実上2日から始まり、輸入に遅れが生じているそうです。

これまでは、輸出許可を得るために添付書類を3種類出せば、1週間で輸出許可が出ていたのですけれどもが、今回の措置で個別許可に変わった結果、経産省に9種類の書類を提出し、検討期間も90日までに増えることになります。

この会社は、台湾や中国でフッ化水素を確保しようと掛けずり回っているものの、大幅に足りないとしています。

韓国の聯合ニュースよれば、サムスン電子の李在鎔副会長はサムスンの半導体事業を統括する幹部と複数にわたり会合を持ち、日本訪問を検討。緊急来日して半導体材料の輸出管理強化を巡り日本の企業関係者と話し合うと報じています。

無論、サムスンとSKハイニックスは今回の措置が明らかになってから直ぐに対応に動き出し、購入担当を日本・台湾に派遣していました。彼らはステラケミファや森田化学など現地のフッ化水素企業を一つ一つ回って少量を掻き集めて回ったのですけれども、フッ化水素については精々一週間程度しか確保できなかったようです。

日本の関連企業にも政府から事前に明確な打診はなく「寝耳に水」状態だったようで、前もって増産体制を取っていた筈もなく、サムスンとSKハイニックスはすごすごと帰る羽目になりました。

森田化学は「事前の書類提出などに手間がかかることが予想されるが、輸出を継続したい」とコメントしていますけれども、事態解決のボールは韓国が持っています。文在寅政権が事態収拾に動かない限り無理でしょうね。

今回の措置にサムスン電子は相当危機感を持っているようです。

今から25年前の1994年、サムスン電子は「サムスン半導体が滅ぶ2つのシナリオ」というテーマで社内の戦略会議を開いたことがあります。

その2つのシナリオとは、「アメリカのインテルがメモリ事業に参入すること」と「日本が韓国牽制のために半導体製造装置の韓国輸出を禁止する」ことでした。

当時は単なる仮想シナリオに過ぎませんでしたけれども、これを見た幹部たちの顔は固まり、ある役員は、「考えただけでも胸がドキっとした」と漏らしたそうです。

当時の会議を主宰していたジン・デジェ前サムスン電子社長は朝鮮日報のインタビューに「25年が過ぎた今、当時予想した日本の輸出禁止シナリオが現実化されたという事実が非常に驚くべきことであり残念だ……我々は素材の国産化に少なくとも1?2年はかかり、おそらく永遠に代替できない可能性もある」と述べています。

ここにきてサムスン電子の収益も悪化しています。

7月5日、サムスン電子は今年4~6月期の売上高が56兆ウォン(約5兆1700億円)で前年同期間比4%減、営業利益は6兆5000億ウォン(約6000億円)で56%の減益という連結決算の速報値を発表しました。

近年、スマートフォン市場の競争激化と半導体メモリの価格下落と相俟ってで収益性が悪化しているのですけれども、それに加えて、今回の輸出規制強化措置です。

これで生産ラインが止まるとなれば、相当な痛手になります。

既に、サムスン電子やSKハイニックスのCEOが「日本による輸出規制を解かなければ今月末から工場の稼働が中断する可能性がある」と述べ、韓国の政府関係者も「一部の半導体メーカーはエッチングガスなどいくつかの素材の在庫が2-4週間分しか在庫がなく、それにより早ければ今月末にも工場が止まるだろう」とやはり今月末からの生産ライン停止を警告しています。

かといって、世界はそれを待ってくれる訳ではありません。アメリカの半導体大手マイクロン・テクノロジーは、今回の事態を見越していたかのように、7月11日に主力の広島工場の拡張を終え、生産能力を増強しています。

今回の輸出規制強化措置が長期化すれば、他社に半導体メモリのシェアを奪われるでしょうね。

こうした国内からの突き上げに、5日、韓国大統領府の関係者は「5大グループを含む財界トップらと文大統領が会う日程を調整している……急遽設けられた日程なので、参加対象は最終的に確定されていないが、1月のような大規模な会合ではないだろう」と文在寅大統領が対応に乗り出すと発表しました。

文大統領は、今年1月、大手・中小企業家130人余りを招いて対話したことがあるのですけれども、今回は1月のそれとは異なり、財界の中心人物だけを招待し、突っ込んだ話をするとしています。

最早韓国は、日本に土下座して、徴用工判決問題を始めとして日本の要求を全て飲む他ないと思われますけれども、それだけで事態が収拾するとは限りません。

なぜなら、フッ化水素の北朝鮮への横流し疑惑が浮上しているからです。

小野寺五典前防衛相は「今までウラン濃縮素材について韓国企業が"100欲しい"と言ったらは100渡してた。しかし工業製品に使うのは70位で残りを何に使うか韓国は返答しなかったので、必要な量を渡すために規制した。……世界は大量破壊兵器が広まらないように制限してる。半導体素材のフッ化ポリイミドは戦闘機・レジストはレーダー・フッ化水素はVX・サリン・ウラン濃縮過程の素材。日本はシェアが高いので輸入も管理してる。信用出来ない韓国は厳格管理対象となったが禁輸ではない」と述べています。

数字まで出すところを見ると、日本政府は相当な部分まで横流しの証拠を掴んでいるのではないかと思いますね。

文大統領にこの問題を捌く力はないと思いますけれども、さりとて放置すれば、経済は更に悪化しこそすれ、改善する見込みは殆どありません。

ありとあらゆる事が壁にぶつかっている文在寅大統領。もしかしたら、韓国滅亡の引き金を引く最悪の大統領になるかもしれませんね。

日比野庵
 

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