「宇宙軍設立準備完了 」

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宇宙軍設立準備完了

昨日のエントリーでは、半島有事の可能性が高くなったのではないか、そのため日本の閣僚人事にも影響があるのではないかと述べましたけれども、一方、アメリカ側はシャナハン国防長官代行の国防長官への昇格が予定されています。

シャナハン国防長官代行は、既に、国防総省の事実上のトップにいますけれども、彼自身は軍隊経験はありません。

シャナハン国防長官代行は、アメリカ航空宇宙大手ボーイングの元副社長で、同社に30年以上勤務した経歴の持ち主です。

シャナハン氏は昨年末のマティス前国防長官辞任に伴い、今年頭から国防長官代行に昇格していますけれども、その前は、国防副長官を務めていました。彼は、昨年7月に国防副長官に指名、就任しているのですけれども、故マケイン上院議員は当時、外交政策に関する質問へのシャナハン氏の回答内容や有力な防衛請負業者でもあるボーイングの元幹部という経歴に言及し、シャナハン氏の指名承認について懸念を表明していたそうですから、外交政策は正直素人の域を出ていないかもしれません。

では、彼は何故、当時、国防副長官に抜擢されたのか。

マティス前長官が軍や同盟国に関わる政策に注力する傍ら、シャナハン氏は省内の改革や予算の問題、「宇宙軍」の構想を担当し、国際情勢や対テロ活動に携わることはなかったようです。

ある政府高官はシャナハン国防長官代行について、本質的に「省内の業務を回す」のが仕事だったと説明。シャナハン国防長官代行ほど「国防総省内部の仕組みに精通している人物はおそらくいない」とのことです。

つまり、国防総省の”内政”のエキスパートだったということです。もちろん、ボーイング副社長だった経験も活かされているでしょう。

5月9日、ホワイトハウスは、トランプ大統領がシャナハン国防長官代行を国防長官に指名すると発表。上院の承認を経て国防長官に就任することになります。

内政のエキスパートが表舞台に立つわけです。

ホワイトハウスのサンダース報道官は「国のための優れた仕事と指導力を示したことから、大統領はシャナハン氏を国防長官に指名する意向だ」と発表しており、トランプ大統領の意向が強く働いていることは間違いなく、国防総省の改革というか組織再編を視野に入れているのではないかと思いますね。

それは何かというと、もちろん「宇宙軍」創設です。

昨年6月18日、トランプ大統領は「宇宙軍」を創設する大統領令を発表しました。トランプ大統領は、「私は国防総省に対し、軍隊の第6部門としての宇宙軍を設立するために必要なプロセスを直ちに始めるよう命令した……アメリカが宇宙に存在感を示すだけでは不十分。宇宙にアメリカの覇権を打ち立てなければならない」と宇宙軍の創設は国家の安全保障と、雇用創出による経済発展を促すと語り、更に「アメリカ人を再び月に送る」と約束。最終的には火星にも人を送りたいと述べています。

宇宙軍については、トランプ大統領は先日の訪日の際にも触れているのですね。

5月27日に安倍総理とトランプ大統領の共同記者会見で、トランプ大統領が語った宇宙軍についての発言部分を次に引用します。

安倍総理ときょうは、劇的に私たちの協力関係を拡大することで合意しました。これはアメリカの宇宙飛行士を宇宙に送る計画です。私たちは月に行き、すぐに火星をも目指すでしょう。非常に興奮するプロジェクトです。そして軍としても宇宙ほど重要な点はありません。これはエキサイティングな出発点となるでしょう。それ以外の分野でも協力していくことができます

これについて前日の5月26日にホワイトハウス関係者が同行記者に「明日の共同会見で、大統領が2024年に人類を再び月に着陸させる計画を日本と共同で推進する考えを明らかにする。これは日米の強固な関係を宇宙規模まで拡大するメッセージである。インパクトがあると思うよ。中国にとっても強いメッセージになる」と語っています。

これを受け、翌28日、平井卓也宇宙政策担当相は記者会見で「アメリカは宇宙分野における重要なパートナーだ。協力がいっそう強化されることを期待している」と歓迎し、アメリカが主導して実現を目指す有人の月探査計画「ゲートウェイ」構想への協力のあり方について、年内をめどに議論をとりまとめる考えを示しました。

トランプ大統領は、昨年6月に「宇宙軍」創設を国防総省に命じ、翌7月にシャナハン氏を国防副長官に指名。国防総省内の業務を回させつつ、「宇宙軍」創設に携わらせ、1年かけて国防総省内部の仕組みに精通させたのかもしれません。あるいは、航空優勢ならぬ宇宙優勢を確立し、中国に対する海上劣勢をカバーしようという狙いもあるのかもしれません。

そのシャナハン国防長官代行を、今度は国防長官に昇格させる。もしかしたら国防総省内での「宇宙軍」の大枠は固まった可能性も考えられるでしょう。

日本に有人の月探査計画「ゲートウェイ」構想への参加を促したのも、アメリカ側の準備が整ったというサインかもしれません。

アメリカの国防長官のカウンターパートは、日本では防衛大臣になりますから、かなり上のレベルからの連携と協力を求められるのみならず、国防を宇宙の目からも行うということを意味します。

となると、日本も本気で対応する必要があります。単に半島有事に対応するだけでなく、その先をも見据える必要がある。防衛大臣はじめ、防衛省、自衛隊全体に大きな変化が出てくる可能性もあります。

夏の参院選で与党が勝つ前提の話ですけれども、内閣改造が為された場合、防衛大臣が交代するのか。交代するなら誰になるのか。

夏以降、防衛大臣の重要性がかなり高まるのではないかと思いますね。

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