「内閣にあって一人あさっての法を向く防衛大臣」

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トランプ米大統領が現地時間の5月15日、国家緊急事態を宣言し、米国企業による非米国企業の通信機器使用を禁止する大統領令に署名した。

大統領令には「外国の敵対者の管轄権または指示によって所有または支配される人が製造・提供する情報技術を米国内で無制限に使うことは、情報の脆弱性を作り出し、これを悪用する外国の敵対者の能力を増強する」とあるが、「外国の敵対者」というのはもちろん中共で、「管轄権または指示によって所有または支配される人」はファーウェイを指すのは明確だ。翌16日には、米商務省がファーウェイ(華為技術)への米国製品の輸出を事実上禁じる規制が、同日付で正式に発効したと発表している。

規制は、ファーウェイ本社のみならず、支那国内で半導体や部品を手掛ける関連会社、日本や台湾などアジア、欧州、中東などに所在する各国・地域法人を含めるという徹底ぶりだ。これを受け、米グーグルがファーウェイに対し、スマートフォン向けソフトの提供を停止した。ファーウェイのユーザー離れは加速度的に起きるだろう。日本を含む友好国にも同調を求めると思われ、枠組みが構築されれば、先の大戦の前に米国などが主導したABCD包囲網を彷彿とさせるものになる。

トランプ大統領に対しては賛否両論があるが、こういう荒っぽい手法は、トランプ氏以外のリーダーにはできなかっただろうと思う。半分は、貿易問題を超えた安全保障政策であり、もう半分はポピュリズムだ。劇場型ではあるが、そのポピュリズムであっても、その真ん中には国益という概念を見失ってはいない。高く上げたハードルを、いつか下ろす日は来るだろう。問題は、そのハードルが下がるまでに、中共がどれほどの妥協をするかだ。

日本も、歩みは決して早くはないが、外交での妥協をしなくなりつつある。戦時労働者賠償問題という解決済みの案件を蒸し返した南朝鮮に対して、日本政府は日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置を青瓦台に通告した。

この問題では、今年1月、南鮮司法が日本企業の資産差し押さえを決定した際、日本政府は青瓦台に協議を求めているが、それ以降、4か月以上に渡って青瓦台はなんのアクションもとらず、回答も無し。彼らは、他者に求めることは得意でも、他者から求められることには拒否反応を示す。彼らは、自分たちが永遠に「与えられる立場」だと思っているのだ。

こと南鮮については、安倍政権にもっと強い態度で臨むことを求める声も少なくない。当然、私自身もその考えに近いのだが、事がこじれまくった後に、日本はできる限りのことはやったという証拠も必要なのだろう。そもそも、なぁなぁの関係だった二国間の距離を適切にとっていること自体、日本外交にとっては進歩である。その点で、官邸と外務省は同じ方向を向いている。

ところが、全く違う方向を向いているのが、防衛相の岩屋氏である。岩屋氏は18日、大分県別府市で講演し、「いろいろ問題は起きたが、元の関係に戻したい。良好な関係をつくることが日本の安全保障のためになり、国と地域の安定につながる」と述べたそうだ。「元」とはいつの時点のことを言うのかは不明だが、歴史の何処を辿っても、日韓が友好的であった時代を探すのは難しい。

岩屋氏の発言には、素人目から見ても、いくつかの間違いがある。「有効な関係を作ることが日本の安全保障のためになる」というのは、一見正しく思えるが、相手国によることも忘れてはならない。南鮮は北との統一を模索している。もし、核を持った北と南が統一されれば、朝鮮半島に核を持った敵性国家が誕生する。岩屋氏には、そういう想像力がないと思われる。

最大の間違いは、防衛関係だけでも火器管制レーダー照射、旭日旗を掲げた艦船の入港拒否など、相手に謝罪と改善を求めるべき案件があるにもかかわらず、それらの問題についての相手のアクションがある前に「元の関係に戻したい」と言葉を発することだ。南鮮側がそれらの問題を「終わったこと」として勝手に棚に上げる理由になるのだ。防衛省は、来月初めにシンガポールで開かれるシャングリラ会合で、日韓防衛相会談を実施する方向で調整しているという。やっていることがデタラメすぎる。

岩屋氏は、安倍政権最大の人事ミスだろう。夏にダブル選になるとすれば、改造人事が行われる。その場合、真っ先に更迭してもらいたいのが防衛相だ。

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