「北朝鮮、米朝会談の中心人物ら地位に変化か-妹の与正氏ら姿消す」

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北朝鮮は4日、短距離の飛翔体を多数発射したが、舞台裏では2月に物別れに終わったベトナム・ハノイでの米朝首脳会談以降、北朝鮮の外交政策を担っていた幹部人員に浮沈が見られている。

米朝交渉に参加した外交官の1人は昇進した一方、金正恩朝鮮労働党委員長の妹の金与正氏や米国担当特別代表の金革哲氏、米朝会談をお膳立てするため事前に米国に派遣された金英哲党副委員長らは、最近の金委員長のロシア訪問に随行しないなど表舞台から姿を消した。立場に変化のあった外交幹部らは、以下の通り。

金英哲党副委員長

金英哲氏は先月、朝鮮労働党の統一戦線部長の役職を知名度の低い人物と交代させられ、ロシアで行われたプーチン大統領と金委員長との会談でも随行団に含まれなかった。降格があったかを巡り専門家の意見は分かれているが、同氏は金委員長を筆頭に14人からなる国務委員会メンバーに再任されており、党のさまざまな役職に引き続き就いているとみられている。

韓国の野党所属議員で国会の李恵薫・情報委員長は、「金英哲氏が引き続き重要な役割を担うのかはまだ分からない。米朝会談失敗の責任をとらされているのか明確な答えは聞いていないが、そうだという印象は受けている」と語った。
  
かつて国連でトランプ米大統領を「精神的に錯乱した人物で、誇大妄想に満ちている」と非難したベテラン外交官の李容浩氏は、米朝会談後も北朝鮮の外交政策の中枢を担っている。4月に国務委員に再任されたことに加え、ウラジオストクで開かれたロ朝首脳会談を含む最近の外交イベントでも金正恩氏のそばにたびたび登場している。

そのようなイベントから金英哲氏のような力を持つ他の高官が姿を消したため、李容浩氏や外務省の影響力が増した可能性がある。李氏は2016年から外相を務めているため、同氏の存在は対米戦略の変化ではなく継続を示唆する。

米朝会談後、最も予想外の人事の1つは崔善姫氏の昇進だろう。李容浩外相と並んで国務委員に選出され、第1外務次官として指名を受けた。ロ朝首脳会談の晩さん会では金委員長と同じテーブルに座り、外国メディアに対しては同委員長の個人的な見解とする内容を伝えた。

韓国の国家情報院傘下のシンクタンク、国家安保戦略研究院の研究員キム・インテ氏は「金正恩氏が崔善姫氏に寄せる信頼は格別だ」とし、「崔氏の役割は必然的に高まるだろう」と述べた。

金与正党第1副部長

金委員長の個人アシスタントかつ一族の代理人などの役回りを担った金与正氏は、同委員長の最側近の1人として台頭していた。一族で初めてソウルを訪問し、トランプ米大統領や中国の習近平国家主席との首脳会談にも随行、米朝会談でハノイに向かう途中では停車中の列車から外に出て一服する金正恩氏にたばこの灰皿を差し出す気遣いも見せた。

ただ、ここ数週間は姿を見せず、さまざまな臆測を呼んでいる。4月に新たに選出された党政治局のメンバーに含まれておらず、ロ朝首脳会談にも参加しなかった。実際、4月初めの人事刷新以降、国営メディアに全く映っていないと北朝鮮情報サイトのNKproは伝えている。

NKproのソウル在勤シニアアナリスト、イ・レイチェル・ミニョン氏は、金与正氏が降格となったか判断するには時期尚早だとしつつ、「金正恩氏のロシア訪問時に姿がどこにも見当たらなかったのは極めて尋常でないように見受けられる」と指摘した。

金革哲米国担当特別代表

核抑止力が専門として知られるベテラン外交官の金革哲氏は、米国のビーガン北朝鮮担当特別代表のカウンターパートとして今年初めに任命された。だがハノイでの米朝会談後、国営メディアでの報道で革哲氏は言及されなくなった。これは革哲氏が北朝鮮の権力構造の中で比較的低い地位にいることを反映しているか、権力中枢から排除されたかを示唆している可能性がある。

韓国の李恵薫議員は、革哲氏の処罰の有無を同国情報機関は確認できないと発言。北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の韓国首席代表を務めた千英宇氏は「自分が知る限り、革哲氏にハノイで何ら落ち度はなく、処分を受ける理由は見当たらない」と述べた。

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