「相手にされなかった文在寅」

画像の説明

色褪せた米韓同盟を見せつけたトランプと相手にされなかった文在寅

4月11日、米韓首脳会談が行われました。

もうすでに色んなところで報じられていますけれども、一対一での実質的な会談は驚きの2分間でした。

これは、当初30分予定されていた米韓首脳会談で記者を招いての冒頭質疑でトランプ大統領が語るも語り、27分も費やしたからです。

しかも、その中で報道陣から、南北共同事業である開城工業団地や、金剛山観光再開について問われると、「今は適切な時期ではない。適切な時期を迎えれば、大きな支援が行われるだろう。韓国、日本、多くの国々も支援に手を挙げると考えている」ときっぱりと否定。金正恩委員長との3回目の首脳会談についても、急がない方針を打ち出すなど、文大統領の出る幕なしだったようです。

しかも、その記者質問の中には、ゴルフのマスターズ・トーナメントについて「誰が勝つと思うか?」というのがあり、トランプ大統領はタイガー・ウッズなど有力選手の名前まで挙げて冗舌に答えていたそうで、もう文大統領と話したくないという態度をこれでもかと見せつけました。

そもそも通訳の時間を考えると2分間など、一言二言しか交わせない時間です。下手をすれば「開城工業団地に、金剛山観光再開をしてくれ」との文大統領の要請に、トランプ大統領の「ノー」の一言で終わってしまっている可能性すらあります。

一応、レコードチャイナによれば、トランプ大統領は、北朝鮮への制裁を強調しつつも、韓国が北朝鮮に食糧供給など人道的支援を行うことについては肯定的な考えを示したようです。

それでも、2分では深い話など到底出来る筈もなく、平たくいえば限りなく「成果ゼロ」といえるでしょうね。ただトランプ大統領との記念写真が取れれば御の字くらいの感じでしょうか。

もっとも、こちらの楽韓WEBさんでは、その2分すらなかったようだとしています。

振り返ってみれば、元々、この会談はアメリカにとって歓迎できるものではありませんでした。

奇しくも、この日は1919年、中国上海で独立運動家らによる「大韓民国臨時政府」が設立された日で、今年で100年になります。

文在寅大統領は、4月11日を建国の日としています。

韓国は、朝鮮半島の南北分断下で李承晩初代大統領が就任した194年8月15日を建国記念日としています。しかし、文在寅政権は昨年8月の建国記念日を「政府樹立70周年」とし、100年前の1919年3月に日本の朝鮮半島統治に対する「三・一独立運動」が起きたことを受け、「新たな100年」というスローガンを掲げています。

9日の閣議で文大統領は「大韓民国臨時政府は韓国のルーツであり、今の韓国を作った原動力だ……三・一運動で誕生した臨時政府は解放まで日本に立ち向かい、自主独立運動の中心として使命を果たした」と述べています。4月11日夜に予定されている臨時政府樹立100周年の式典を大々的に祝う手筈であったものと思われます。

ところがアメリカはこの日を会談の日に指定した。この日しかスケジュールが空かないといったかどうかは分かりませんけれども、文大統領にとって大切な4月11日にぶつけてきたということは、端的に言って、会いたくないという裏のメッセージが込められていたのだと思います。

ジャーナリストの室谷克実氏は「トランプ政権が、会談日として11日を提示したのは意図的だ。文氏に対して『無理に来なくていい』というメッセージだったのではないか」と述べていますけれども、その通りです。まぁ、京都でいう「ぶぶ漬け」を出された訳ですね。

それが分かっていたのか、分かっていないのか、文大統領は平然と「ぶぶ漬け」を食いに来た。トランプ政権もさぞかし呆れたことでしょうね。

そんな雰囲気を察してか、前日空港に降り立った文大統領を出迎えたアメリカの儀仗隊が手にした韓国の太極旗が色褪せていたのではないかという指摘が出て騒ぎになっていたようです。捉えようによっては、「同盟は色褪せた」とのメッセージということになりますから、気にするのも分からないではありません。

件の写真を筆者も確認しましたけれども、確かに、太極旗の中の青色が「水色」っぽく薄れてみえます。ただ、朴槿恵大統領が訪米したときの同じアングルの写真と比較すると、太極旗の地の白の部分がやや白色っぽくなっていますから、何等かの補正でより強調され、そのように見えた可能性はあると思います。

それでも、意図的にせよ、そうでないにせよ、そうした写真を掲載され、それが物議を醸すこと自体が今の米韓関係を端的に表しているのだとも言えます。

韓国野党「自由韓国党」のナ・ギョンウォン院内代表は、首脳会談前日の10日、国会で開かれた院内代表-重鎮議員連席会議に出席し、文大統領に対して「今回の会談を通して米国の考えを変えようという意図なら、むしろ逆効果になる……我々に必要なのは『good enough deal (十分な合意)』ではなく『finally good deal (最終的に良い合意)』」とし、「『先に非核化・後に協力』だけが最終的に良いディール」だと警告しています。

明日以降、米韓首脳会談についての情報が出てくるかと思いますけれども、まぁ2分ではgoodもfinallyもありません。ただある意味では米韓同盟の破局を表面化させなかったという「成果」はあったのかもしれません。

どちらにせよ、アメリカからみて韓国は「色褪せた同盟国」であることを内外に知らせることになった、文大統領の訪米ではないかと思いますね。

コメント


認証コード8052

コメントは管理者の承認後に表示されます。