「植林で再生目指す」

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香港の「香」を守れ――伐採で減少の香木、植林で再生目指す

香港(CNN) 中国本土からわずか2キロ足らずの林の中、深い茂みと大量の蚊に守られて、その木はある。樹齢200年になる野生の香木。「これが香木だということは、近くの村の人でさえも、私以外は誰も知らない」とチャン・クンウィン氏(54)は話す。

チャン氏は先祖代々受け継いできた事業として、香港で唯一の香木植林業を営み、過去4年で1万本を植えてきた。同氏の植林地の香木は、合計すると30万本にもなる。子どもの頃から一緒に育ってきた香木を守り、それを2人の息子にも受け継いで欲しいという思いは強い。

アガーウッド(沈香=ジンコウ)と呼ばれるジンチョウゲ科の香木は、かつての香港ではありふれた存在だった。数百年前まで香港は香の主要供給地で、香港の「香」の名はこれに由来するとの説もある。しかし不法な伐採によって今では希少な存在になった。

チャンさんにとっては香木を保護したいという思いだけでなく、実入りの良さも魅力だ。若木は1本当たり600ドル(約4万6000円)の値段が付く。植林した1万本を売れば、数百万ドルになる計算だ。

しかも10年待てば、香やハーブティーの原料のハーブ、漢方薬の原料になり、さらに大きな収益が期待できる。この木から作られる彫刻は12万5000ドル(約1000万円)にもなるといい、ウェブサイトや口コミで聞きつけたバイヤーが、台湾や中国本土から買い付けに来る。

香港大学の専門家によれば、香木は値段の高さと供給が限られていることから、中国本土から香港にやって来て不法に伐採していく業者も後を絶たないという。

90年前から合法的に香木の取引を手掛けてきたウィン・リー・サンダルウッド社は、香木や線香の販売店を営む。香木は最も高いものでキロ当たり2500ドル。線香は月に1度、香と水、それに秘密の材料を混ぜて従業員が手作りしているという。

香木を買いに来る客は過去5年で着実に増え、店は繁盛していると店員は話す。

チャン氏は香木が香港の伝統産品であることを忘れて欲しくないと語り、「私の香木にはもっと大きくなってほしい。香港の都市化が進んでも、もっとたくさんの木を植えることは可能であり、そうすべきだと思っている」と話している。

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