「リニアは誤差1センチの精密停車 技術確立、安全も向上」

画像の説明

リニアは誤差1センチの精密停車 技術確立、安全も向上

JR東海が東京・品川-名古屋間で二〇二七年の開業を目指すリニア中央新幹線は、駅での停止位置の誤差一センチ以内という精密な自動運転を実現する。

電流で車両の位置を把握する技術を磨き、「神業」の域に達した精度は、現在の東海道新幹線の百倍。騒音は時速五百キロでも新幹線並みに抑え、正確なダイヤと安全性、快適な車内空間を両立させる。

既存の新幹線と異なり、指令所からコンピューター制御で運行管理するため運転士がいないリニアは、線路にあたる「ガイドウェイ」に流れる電流を検知することで、車両の現在地を把握する。

JR東海は一九九七年から試験車両「L0(エルゼロ)系」などを使い、山梨県内の実験線でこれまでに地球六十六周分、計二百六十七万キロを走行。位置を一センチ刻みで把握する技術を確立し、客が乗降する駅での停止位置のずれも前後一センチ以内に収めるめどが立った。

JR東海によると、運転士が操る東海道新幹線は、各駅ホームの端にある「停止位置目標」に先頭部分を合わせて停車する。「のぞみ」停車駅を中心に設置が進むホームドアの幅に限界があることなどから、許される誤差は前後最大一メートルずつ。単純計算でリニアは百倍の精度を実現する。

精度の向上は、正確なダイヤ、ホームの設計の容易さに加え、安全性の向上にもつながる。JR東海山梨実験センターの神津(こうづ)正明副所長(52)は「対向列車とすれ違う時刻や地点、先行する列車との間隔なども寸分たがわず把握でき、災害などの異常時に力を発揮する」と指摘する。

列車間の距離を正確に把握できることから、全ての列車を一斉に減速、加速させるなど既存の新幹線、在来線にはできない対応が可能に。危険の効果的な回避や、乱れたダイヤの素早い回復が期待できる。

JR東海は二〇年春にL0系の改良型試験車を完成させる予定。関係者によると、内装などの見直しで車内の騒音を減らす改良を続け、最高速度の時速約五百キロで走る場合でも、時速二百八十五キロの現行新幹線「N700A」並みの音量を目指す方針だ。

N700Aの数値は非公表だが、本紙が今年十二月に名古屋-東京間で計測すると、普通席でおおむね七〇~九〇デシベル。

浮上して高速で走るL0系の騒音は主に風切り音で、断熱材や内装のつなぎ目のふさぎ方を工夫するなどして、車内への侵入を抑えるという。

コメント


認証コード7954

コメントは管理者の承認後に表示されます。