「ビットコイン暴落で」

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仮想通貨業界にレイオフの波、ビットコイン暴落で

誕生間もない仮想通貨市場が前例のない規模の相場急落に見舞われる中、仮想通貨企業は生き残りをかけてレイオフを実施している。

ブロックチェーン技術を手掛ける米新興企業コンセンシスは6日、従業員の13%を削減する方針を明らかにした。その数日前には事業モデルの刷新を発表している。

ブロックチェーンベースのソーシャルネットワークを運営するスチームイットは先週、仮想通貨急落を理由に従業員の7割をレイオフした。2017年の仮想通貨急騰のさなかに資金調達した複数の中小企業が、すでに大幅に事業を縮小したり、ひっそりと廃業したりしている。

ブロックチェーンの新たな活用法を編み出した多くの新興企業が、昨年の市場のブームを背景に大量採用に乗り出した。ブロックチェーンはビットコインなど仮想通貨を支える分散型台帳技術だ。こうした新興業界は、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)で何十億ドルもの資金を獲得し、事業拡大につなげた。

ところがその後に相場は暴落。ビットコインの価格は17年12月につけた最高値から80%余り下落した。仮想通貨の時価総額は現在約1110億ドル(約12兆5800億円)で、過去最高だった今年1月上旬の8270億ドルを87%下回る。大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(E&Y)によると、17年に実施されたICOの約86%は、発行されたトークンがICO価格を下回る水準で取引され、30%はほとんど無価値になっている。

コンセンシスの創業者、ジョゼフ・ルービン氏は「現実が見え始めており、われわれはビジネス重視の引き締まった組織にならなければならない」と語る。同社はプラットフォーム「イーサリアム」上にサービスを構築する新興企業向けに開発事業を運営し、サービスや支援の代償としてこうした新興企業の株式を受け取っている。

コンセンシスは17年に黒字化しなかったが、今年もその見込みはない。イーサリアムの共同創業者でもあるルービン氏は、事業の成長の方に注力していたという。コンセンシスはプロジェクトで具体的な目標を掲げず、同社が資金提供した新興企業も収益や一定の投資利益率(ROI)を上げることは期待されなかった。だが、これからは期待されるとルービン氏は述べている。

同氏によると、仮想通貨の売り浴びせは再編に拍車をかけたが、原動力だったわけではない。背景となったのはむしろ、他の新興企業やプラットフォーム、さらにIBMやマイクロソフトといった大手企業との競争だ。

17年10月に求人サイト「クリプト・ジョブズ・リスト」を立ち上げたラマン・シャルパウ氏は、従来型のベンチャーキャピタルファンドが支援する大企業は、そうでない企業に比べ不景気によく耐えているようだと指摘する。

ICO助言会社のトークンエージェンシーは相場急落を受けて人員削減を余儀なくされた。17年1月にロブ・ベンケ氏が同社を創業した当時、従業員は3人だった。ICO市場の急成長で従業員数もほどなく20人に膨らんだ。

だが同社は特にイーサなど仮想通貨で支払いを受けていたため、相場の変動に影響されやすかった。今年5月には10人をレイオフ。それ以降さらに削減し、今では従業員数がわずか4人となっている。

ベンケ氏はこの状況について、収益性のある製品を市場に投入するよう仮想通貨の新たなエコシステムに迫るものだと指摘。「流れを一変するのは、実際に人々の生活に触れる本物の製品だと思う」と語った。

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