「日産搾取のカラクリ」

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仏ルノー「日産搾取のカラクリ」全解明!株配当と売却で1兆円超

仏ルノーによる救済劇から19年。立ち直った日産自動車は、ルノーの業績に大きく貢献している。日産の株式の43.4%を保有しているので、その持ち分の利益を計上できるからだ。例えば、2017年12月期のルノーの純利益52億1000万ユーロのうち、過半に当たる27億9100万ユーロが日産の貢献分である。

もっとも、これは会計上の話であって、ルノーの懐に入ってくるおカネそのものではない。日産株への投資の見返りとして、現実に入ってくるおカネは日産からの配当と日産株式の売却収入だ。

まず、配当収入を見てみよう。日産は、ルノーと提携した翌期の2000年度(01年3月期)から復配し、リーマンショック後の10年3月期に無配になった後、再び復配した。

期末時点でのルノーの日産の保有株数に配当額を掛けて受取額を算出した結果が下図だ。19年間の受取配当額合計は8674億円に達する。すでに、ルノーの日産株式購入額である7094億円を優に超えている。

業績が停滞しても増える上納金

ルノーの保有株数に変化があるものの、グラフはほぼ1株当たり配当金額と軌を一にしているとみてよい。ここで、問題となるのが日産の業績と配当との関係だ。

基礎的な業績指標である経常損益の動きをグラフ上で配当額と重ねてみた。

04年3月期から08年3月期まで日産の業績はほぼ横ばいなのに、1株当たり配当額は19円から40円に増えている。リーマンショック後も10年度から13年度の業績停滞期に10円から30円に増加、15年度から17年度にかけては経常利益が横ばい、減益となったのに、42円から53円へと増配された。

株主への還元を優先したといえば、聞こえはいいが、保有比率が4割を超える筆頭株主が他ならぬルノーである。まして05年以降は、ゴーン氏がルノーと日産のトップを兼ねているとなれば、業績停滞が続いたルノーのために、そしてルノーのトップであるゴーン氏のために日産から搾取したといわれても仕方ない。

そして、日産株の売却である。ルノーの出資比率の44.33%から43.4%への引き下げや日産の自社株消却に伴う出資比率維持のための売却が11年、16年、17年の各3月期に行われた。

それぞれの期の株価の最安値水準である600円、920円、890円で売却したとしても、ルノーは少なくとも1413億円の売却収入を得ている。

受け取った配当金総額と株式の売却収入の合計は1兆円を超えることになる。フランスで子会社からの受取配当金への課税が優遇されていることを考慮すれば、ルノーの日産への投資はほぼ回収済みといってもいいだろう。

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