「中国不動産デベロッパー」

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中国不動産デベロッパー、「新常態」は2桁の調達コスト

中国の不動産デベロッパーは高い利回りでの社債発行が常態化し、調達コストの膨張が顕著だ。利回り上昇の背景には、中国不動産市場の冷え込みに投資家がリスク回避姿勢を強めていることや米金利の上昇がある。

時代中国(旧時代地産)が1月に3年物を起債した際の発行利回りは6.25%だったが、最近の2年物起債では11%と約2倍の水準を強いられた。

中国の不動産投資は10月に伸びが10ヵ月ぶりの水準に鈍り、住宅販売も再び減少。市況の軟化に直面した不動産開発業者は事業拡大計画を棚上げした。

今月初めの18億ドルの起債で表面金利が当時最高だった中国恒大集団も、19日の2年物、10億ドルの追加発行では11%となった。

中国恒大が18億ドルを起債した際には、負債額の大きい同社が高い表面金利で社債を発行すれば同業他社への圧力が増し、借り入れコストを全体的に押し上げると、銀行関係者やアナリストが警鐘を鳴らした。

実際に開発業者は今年のオフショアでの借り入れ割り当てが期限切れとなる前に、高い表面金利で投資家の買いを呼び込もうと雪崩を打って起債に走り、こうした危惧が現実のものとなっている。

ANZの社債アナリストのオーウェン・ガリモア氏は「ダブルB格付けの発行体は2年という短めの社債発行で10─11%の利回りを求められており、発行利回りの水準は毎週のように上がっている。最悪の場合は10%台半ばもあり得る」と述べた。

極めてさえない年

雅居楽集団は7月に3年物の発行利回りが8.5%だったが、先週の2年物、4億ドル(S&Pの格付けがダブルB)の起債は9.5%だった。

ロイターが入手したタームシートによると、緑地香港控股も今週の1年半、2億ドルの社債の発行利回りが9.25%となった。6月の1年物起債では7.875%だった。

リフィニティブのデータでは、過去2年間に期間2年の社債を1億ドル以上の規模で起債し、発行利回りが2桁に達したのはわずか15社で、うち12社が中国の不動産開発会社だ。

リフィニティブによると、来年償還期限を迎える社債はオンショアとオフショアの両方の起債分の合計が961億ドルとなり、発行利回りの見直しが進んでいる。

銀行関係者の話によると、投資家はジャンク(投資不適格級)の社債を購入する際にはより大きなプレミアムを要求し、期間の長い社債を敬遠しており、起債を実行に移すのはどんどん難しくなっている。

シティグループのクレジット部門のスペシャリスト、マンジェシュ・ベルマ氏は「以前は7%でも投資家の関心を集められたが、今は7%どころか、9%でもまったくだめだ」と話した。

発行利回りの上昇を受けて発行済み社債の価格は下落し、今年は債券投資家にとって極めてさえない年になった。

時代中国が1月に発行した社債は現在、1ドルに対して90.8セントの水準で取引されており、利回りは11.16%に上昇。雅居楽集団が7月に発行した社債も価格が1ドルに対して96.6セントに下がり、利回りは9.94%に上がった。

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