「泣き寝入りしかできぬ市民の阿鼻叫喚」

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中国で金融業者が相次ぎ倒産。泣き寝入りしかできぬ市民の阿鼻叫喚

銀行金利を遥かに上回る利率を売りに中国で急速に広まったピア・ツー・ピア(P2P)金融が続々と破綻、中には日本円にして数千万の被害に遭った投資家も存在し、大きな社会問題となっています。

台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、P2P金融が立ち行かなくなった理由を紹介するとともに、抗議集会に参加しようとした被害者に対する中国政府の非道な扱いについても記しています。

【中国】ハイリスク金融の破綻続々の中国、ついに景気悪化報道も規制
● 中国でネット金融P2P業者が相次ぎ倒産 7月にすでに131社

独裁色を強めている習近平体制のほころびが、経済面で露呈してきたようです。中国で大流行している「P2P(ピア・ツー・ピア)金融」プラットフォームの倒産や閉鎖が相次いでいます。

これは、インターネット上で中小企業や個人である借り手と一般投資家を仲介する融通事業で、より多くの貸し手を呼び込むために、銀行の預金金利よりはるかに高い利回りを掲げ、なかには10%や20%の利回りを提示する業者もいるといいます。しかし、うまい話には落とし穴があるのが世の常です。当然ながら、一部の業者は市民の資金をだまし取る詐欺集団でした。

P2Pについて、もう少し詳しい説明を以下、記事を引用します。

P2P金融は、個人投資家から資金を集め、小規模な企業や個人の借り手に融資して高いリターンを約束するもので、中国では2011年、ほぼ規制のない状態で始まって盛んになった。ピークとなった2015年には、こうしたビジネスが約3,500社を数えた。

だが、中国政府が国内の肥大化したノンバンク融資セクターを含む債務バブルの抑制と経済のリスク低減を目指すキャンペーンを開始した後、投資家が資金を引き揚げ始めたことにより、ほころびが目立つようになった。

P2P金融という分野を開拓したのはレンディングクラブ(LC.N)などの米国企業だが、大規模な拡大がみられたのは中国である。資金調達に悩む中小企業を対象とした政府の金融イノベーション推進に企業がただ乗りした格好だ。

業界の拡大があまりにも急だったため、規制当局も追いつけなかった。P2P金融サイトの多くは、商業銀行にとってはリスクが高すぎるとみなされかねない顧客に融資している。融資が焦げ付きそうな場合に資金を即座に引き揚げたいという投資家が多すぎると、流動性危機につながる場合がある。

また、露骨な詐欺の例もみられる。最も有名なのはe租宝で、90万人以上の投資家を巻き込む76億ドル(約8,400億円)規模の、いわゆる「ネズミ講」詐欺である。

中信証券による7月の調査報告では、中国国内の株式市場に上場している企業100社超がP2P金融ビジネスに関与しており、そのうち32社はP2P金融企業の株式を30%以上保有している。

● 焦点:中国「金融難民」の怒り爆発、P2P業者の破綻急増

つまり、ハイリスク・ハイリターンな投資として、一般投資家に爆発的な人気を得て急速に中国国内で広がりました。その後、今年夏ごろまでは参入業者もどんどん増え、投資者も増え、流動資金も潤沢にありました。

政府の被害者に対する非道な扱い

投資した資金を回収できないと知った投資者たちは、SNSで声をかけあい抗議集会を開こうと北京に集合しましたが、情報を事前にキャッチしていた警察に待ち伏せされ、抗議集会が予定されていた場所についた参加者は全員強制的にバスに乗せられ収容所に運ばれたそうです。

中国政府は、少しでも秩序が乱されることで、政府への不満が表面化して集団抗議に発展することを最も恐れています。たとえ資金を持ち逃げされた被害者たちが、政府への陳情のために集会を開こうとしていても、その機会は絶対に与えてはいけないのです。当然ながら、中国国内のマスコミもこのことは知ってて知らぬフリです。

中国人はだんだんと豊かになってきており、休みには海外旅行を楽しむようになりました。少しでも資金に余裕があれば、投資して増やそうとする。中国のバブル経済の様子が、このP2Pの件でもよくわかります。

抗議に参加しようとした人々の多くは、指紋と血液サンプルの採取を強制され、北京への旅行を禁止された。130万元(約2,100万円)の損失を経験した上海のP2P投資家によれば、抗議を前に北京行きの列車から排除された人さえいたという。彼女は身の安全を懸念して、氏名を明かすことを拒んだ。

● 焦点:中国「金融難民」の怒り爆発、P2P業者の破綻急増

このように、政府が人々の頭を押さえつけ声を上げることさえもできないようにする。被害にあった投資家のなかには、日本円にして1,000万円単位での損害を被った人も多くいます。彼らの怒りや不満は、マグマのように中国内に蓄積し、活火山のようにいつ爆発するかわからない状態にあるのです。

カネで中国を揺さぶるアメリカ

数字の粉飾と、作られた不動産バブルによってこれをなんとか維持してきましたが、ここに米中貿易戦争という、自国だけではどうにもならない事態が発生しました。もはや偽りの経済繁栄を継続することは不可能となりつつあります。

そのため、中国では経済情勢について悲観的に報道するメディアへの取締を強化するようになりました。つまり、中国では景気悪化予測を報じることが禁じられるようになったのです。

● 中国、メディアの締め付けを強化 経済悲観論が原因か

米中貿易戦争は冷戦の後につづく「戦争」であり、サイバーウォー以上の米中対立です。一部では、これはトランプ大統領による瞬発的な摩擦だという見方もありますが、一方では米中「百年戦争」だという声もあります。

この経済戦争が表面化してからの中国経済は大混乱で、株が大暴落しています。逆にアメリカは好景気です。どちらに分があるかは明白です。

また、米中貿易戦争については、トランプ大統領一人で決められることではありません。アメリカ議会が対中姿勢の厳格化に賛成しており、アメリカとしての覚悟を物語るものです。

これは実に中国の弱みに付け込んだ戦略です。軍事はカネになります。中国の対外戦略はカネが最優先されることから、アメリカはカネで中国をゆさぶっているのです。

米中貿易戦争が長期戦になれば、得するのは日本や台湾、または欧米の企業などです。中国政府は、果たしてチャイナマネーがアメリカに流出するのを阻止できるでしょうか。

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