「消えた中国実業家とNY高級不動産の関係」

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消えた中国実業家とNY高級不動産の関係
中国で捜査対象になった葉簡明氏

中国石油会社の会長で人民解放軍とつながりのある葉簡明氏に関連した複数の会社は、ニューヨーク有数の高級不動産に約8300万ドル(現行レートで約93億円)を投じ、さらに8000万ドルの購入を予定していた。葉氏が今年早くに姿を消す前のことだ。 

複数の関係者によると、葉氏関連のある会社が2017年5月、バークレイズの最高経営責任者(CEO)を務めたボブ・ダイヤモンド氏のペントハウスを5055万ドルで購入した。セントラルパークウエスト15にある約490平方メートル、4寝室の物件だった。ダイヤモンド氏は広報担当者を通じてコメントを控えるとした。

 関係者によると、その1カ月後には、葉氏に関連したある会社が、パークアベニュー432のマンションの86階にある約370平方メートルの物件に約3300万ドルを投じた。その物件は、ある有限会社がデベロッパーのマックロウ・プロパティーズおよびCIMグループから購入。不動産サイトのストリートイージーによれば、その後、月額8万ドルの賃貸物件として掲載されていた。

両物件の売却に関連した公式記録には、資金調達の記録はない。

その後17年12月には、葉氏関連の会社がビンセント・ビオラ氏の8000万ドルのタウンハウスを購入する契約を結んだ。ビオラ氏はナショナル・ホッケーリーグ(NHL)のフロリダ・パンサーズを保有する富豪で、一時はドナルド・トランプ大統領から陸軍長官に指名された人物だ。ビオラ氏はコメント要請に返答しなかった。

この物件は東69丁目12に位置し、ホームシアターやパニックルームもある約1800平方メートルの豪邸だ。取引が実現していれば、ニューヨーク市でのタウンハウス売却額の記録を塗り替えていたはずだった。

関係者らによれば、この契約は18年の早い時期に白紙になった。葉氏が行方不明になった頃だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は3月に、葉氏が中国で当局の捜査対象になっていると報じた。葉氏のコメントは得られていない。ストリートイージーによれば、この物件は8800万ドルで再び売りに出された。

2つの取引は、アジアの資本家ゴンウェン・ドン氏のロングアイランドの家を所在地とする複数の有限会社の名義で執行された。事業登録の書類に葉氏の名前はないが、取引について知る複数の関係者によれば会社を支配しているのは葉氏だ。ドン氏のコメントは得られていない。

葉氏は上海の複合企業、国華信能源(CEFCチャイナ・エナジー)の会長だ。同社は近年、積極的に海外拡大を進めていた。ロシアのエネルギー大手ロスネフチの株式90億ドル相当を取得する契約、10億ドルを超えるチェコへの投資、シンガポールやルーマニアやアブダビでのエネルギー取引などだ。上海で最高クラスの不動産も購入した。その過程で、葉氏は多くの国の有力政治家や企業幹部と親しくなった。

葉氏の近況は分からず、そのビジネス帝国は危うい状況にある。CEFCは契約を解消したり資産を売却したりしている。同社はコメント要請に返答しなかった。

17年11月、葉氏の腹心で元香港当局者のパトリック・ホー氏が米司法省に起訴された。

CEFCが資金拠出する慈善団体を通じたアフリカの指導者2人への贈賄を指揮したとされる。葉氏の名前は挙げられておらず、裁判所の書類によるとホー氏は公判で起訴内容を否定する意向を示している。ホー氏の弁護士はコメント要請に返答しなかった。

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