「すでに開戦」

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トランプ大統領の対中国への追加関税発言に市場が反応しています。

9月10日、アメリカ株式市場でダウ工業株30種平均は続落。前週末比59ドル47セント安の2万5857ドル07セントで終りました。

名指しで「生産拠点をアメリカに移せ」と圧力を掛けられたアップルは、追加関税が収益に与える影響が懸念され4日連続で下落。更に中国本土と台湾のAppleサプライヤーの株価が大きく下がっています。

ワイヤレスイヤホンAirPodsや、iPhoneのアンテナ、ケースなどを製造する企業である中国のLuxshare Precision、Shenzhen Sunway Communication、Suzhou Dongshan Precision Manufacturingの株価は10%近く下落。カメラレンズを製造する台湾のLargan Precisionの株価が8%近く下がりましたから相当な影響です。

また、アップルだけでなく中国から部品を調達する半導体メーカーのインテルも下落しました。

今のところエコノミストの間では通商摩擦が経済に即座に及ぼす影響は限定的との見方が優勢らしいのですけれども、中国人民銀行前総裁の周小川氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、経済への信頼に対する影響はより大きいだろうと述べています。

また、IHSマークイットのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏は「アメリカによる大規模な追加関税措置が迫っており、中国の輸出業者は今後ひどい打撃を受け、2019年の中国の国内総生産伸び率は落ち込む公算が大きい……

アメリカが中国への関税措置を強化し続けたら、当局が影響緩和策を講じても、輸出セクターにはこの先、長期にわたる厳しい道のりが待ち構えている」と指摘しています。

では、このトランプ大統領の対中国強硬路線がいつまで続くのか。

これについて、愛知淑徳大学の真田幸光教授は、今行われているのは貿易摩擦ではなく、覇権争いであり「終わり」のない戦いだと指摘しています。

真田教授によると、トランプ政権は中国の国力を削ぐために人民元が基軸通貨にならないよう揺さぶりを掛け、中国株を叩いてくると述べています。

そして、これらの戦略はトランプ大統領の参謀であるナヴァロ国家通商会議議長が2015年に書いた『Crouching Tiger:邦訳/米中もし戦わば』に予言されていると指摘してます。

こちらにその著書に関する記事がありますけれども、ナヴァロ氏は「中国と対話によって問題を解決することは極めて困難である」とした上で、アメリカの取るべき道について次のように述べています。

米国に求められるのは、経済面における中国への依存を減らすこと。その
ために、関税を高くして中国製品の輸入を減らし、法人税減税で米国企業の魅力を高め、知的財産権の保護を強化して中国企業が違法な手段で技術を獲得することを阻止する。

同時に、軍事面でも、米軍基地を強化し、最新鋭の第5世代の戦闘機を増産するなどして、中国の脅威に対抗すべきだ。

そして、中国の拡大を阻止するため重要なのは、アジアの同盟国との連携であり、米国は同盟国を守るという鉄則を貫く必要がある

この視点でみると、トランプ大統領の対中貿易制裁関税はまんまナヴァロ氏の主張を具体化したものであることが分かります。

先に紹介した愛知淑徳大学の真田教授は、対中貿易制裁関税についてトランプ大統領は「中国がアメリカの技術を盗んでいるから関税を上げた」と言っているが、中国がどう行動したら"盗むのをやめた"とするのか示しておらず、「まだ、中国は盗みをやめない」と言えば、関税を戻さなくていいと述べています。

つまり、アメリカの気が済むまで制裁関税は続けることが出来るということですね。

トランプ大統領がナヴァロ氏の対中戦略に沿って動いているとするならば、制裁関税についての目下のゴールは、アメリカ経済の中国への依存が減ったときということになります。

となると、アップルやその他中国に進出しているアメリカ、あるいは同盟国も含んだ企業が中国から撤退するまで続くことも視野に入ってきます。

既に、アメリカのフォード社は中国製小型車の輸入を撤回しましたし、中国での生産見直しを始めた日本企業もぽつぽつ出始めているようです。

米中貿易"摩擦"は簡単に終わらないと考えた方がよいかもしれませんね。

日比野庵

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