がんステージ4は「手遅れ」でも「死のふち」でもない

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がんステージ4は「手遅れ」でも「死のふち」でもない!誤解を医師が指摘

「がんが治ると言われたのに、再発した」「ステージ4と言われた。

もうなすすべがない」。医師からのこうした言葉にショックを受けた、というがん患者の話をよく聞きます。しかし、言葉の意図を医師に確認すると「そんなことは言っていません」ということが多いのも事実です。

患者の理解が不足する背景には、医師とのコミュニケーションが不十分で「がん用語」に対する誤解を是正できないことがあります。好評発売中の週刊朝日ムック「がんで困ったときに開く本2019」では、がん患者や家族が誤解しがちな代表的ながん用語について、専門家に正しい意味を解説してもらっています。ここでは、「ステージ4、進行がん」について紹介します。

「ステージ4は『末期がん』『手術のできない手遅れのがん』と思い込んでしまう患者さんが多いのですが、それは誤りです」(帝京大学病院腫瘍内科准教授の渡邊清高医師)

ステージ(病期)とは、がんの進行度をあらわす分類です。最初に発生したがんの大きさや周囲のリンパ節への転移の有無、程度、離れた臓器への転移の有無などから決定します。

 
がんの部位や種類によってもステージの基準は異なりますが、固形がんの場合、ステージ0~1期は病巣の広がりが限定されていて、手術や内視鏡治療などでがんを取りきれることが多いです。こうした治療によって高い確率で治癒が期待できるものを早期がんといいます。なお、ステージは術後の組織検査の結果などにより、変わることもあります。
 
進行がんは早期がんを超えて広がったがんのことです。ステージ4はリンパ節や離れた臓器への転移(遠隔転移)を基準とするものが多いです。

ステージ4でも生きられる

「しかし、医療の進歩により、進行がんで根治を目指した治療ができなくても、がんを縮小させたり、症状を抑えたりしてがんとともに生きていくことが可能になっています」(渡邊医師)

介護保険制度と末期がん

ステージ別の5年生存率を見ると、どの部位のがんでもステージ4で一定の生存率があることがわかります。
 
予後がきびしいといわれている食道がんでは12.4%です。

「これは2007年~09年の症例から出たデータですので、現在はもっと高いでしょう。ステージ4=死のふちではないことがわかっていただけると思います」(東京女子医科大学病院がんセンター長の林和彦医師)
 
生存率が向上している大きな背景に薬物療法の進歩があります。

「ステージ4で遠隔転移がある場合は、薬物療法が中心となりますが、治療によって転移病変のがんが大きく縮小したり、消失したりした場合、手術によってがんを取りきれる可能性が高まります。

こうした手術をコンバージョン手術といいます。手術ができる状態になればステージは4からIIIに下がることが多く、これをダウンステージといいます」(林医師)

介護保険制度と末期がん

大腸がんのステージ4はコンバージョン手術によって多くの患者が助かるようになったといいます。

「治療の進歩にともなって、ステージの診断法が変わったものもあります。例えば膵臓がんは、遠隔転移やリンパ節転移がなくても周囲の血管やリンパ管に浸潤しているものはステージ4とされ、手術の適応とはなりませんでした。

しかし、放射線や薬物療法により、腫瘍が小さくなると手術ができることがわかってきたため、新しいガイドラインではこうした段階のものはステージ3に変更されています」(林医師)
 
こうした背景から医療現場ではもう「末期がん」という言葉は使われなくなっています。ただし、介護保険制度の手続きにおいては、使用されることがあります。
 
実は40歳以上65歳未満の人ががんで介護保険制度を使う場合、対象は「がんの末期にあたる人」と定められているのです。
 
ここでいうがんの末期の定義は、「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難または治癒が不可能な状態で、おおむね余命が6ヵ月程度」とされ、診断基準にしたがって、医師が判断します。

「しかし、余命については、あくまでもデータから提示されるがんの予後を示しているにすぎません。つまり、ここで使う『がんの末期』は便宜上のものだととらえてください」(林医師)

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