「南北」

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後ずれする南北首脳会談、追い込まれた文韓国政権

終戦宣言や経済協力を進展させるのか

韓国と北朝鮮は13日、 板門店の北朝鮮側施設「統一閣」で閣僚級会談を開き、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長との第3次南北首脳会談を9月中に平壌(ピョンヤン)で開催することに合意した。

韓国の国営通信社の 『連合ニュース』は第3次南北会談が「年内の終戦宣言に向けた大きな一歩」となると評価したが、主導権を北朝鮮側に奪われたあげく、具体的な日付も決められなかった3度目の南北首脳会談に対し、韓国のマスコミはあまり肯定的ではない。

米国との非核化交渉が膠着状態に陥ると、北朝鮮は、まるで腹いせでもするかのように韓国政府に対して強い非難を浴びせてきた。7月20日、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は、文在寅大統領に向かって「まるで裁判官にでもなったつもりで、朝米共同声明の約束を守らないと国際社会から厳重な審判を受けることになる」と非難した。

7月21日には、韓国の経済危機や失業問題、物価上昇などを取り上げ、「南朝鮮(韓国)で経済破綻と失業事態がそのまま民生破綻につながっている」と報じた。他にも、メディアを総動員して、板門店合意が履行されていないと韓国政府を猛烈に非難し、終戦宣言と南北経済協力推進を重ねて求めてきた。

非難を重ねた北朝鮮が8月9日、突然、板門店宣言の履行状況と南北首脳会談の準備などを論議するための南北会談を韓国側に提案してきた。文在寅政府は待っていたように当日に提案を受け入れ、次の週明けの13日に南北級閣僚級会談が設けられたわけだ。

北朝鮮の突然の態度変化について、有力紙の『文化日報』は「韓国政府の持続的な水面下の接触の結果」と解釈した。同紙は「(韓国)大統領府は9月の国連総会で終戦宣言の署名を推進するという計画を持っている」と報じた。

具体的には「8月中にポンペイオ米国務長官が訪朝し、米朝間で非核化措置についての具体的な合意が行われれば、国連総会が開かれる期間に北朝鮮の金正恩国務委員長を米国に招請し、終戦宣言に対する検討が行われる」という計画だ。

そのために、韓国の大統領府は韓国の国家情報院と米国の中央情報局(IA)、北朝鮮の統一戦線部との三角のチャンネルを稼動して水面下で協議を進め、米国が要求する核施設の申告リスト提出などをしなければならないと北朝鮮に伝えてきたという。

こうした中、北朝鮮が韓国に会談を提案したのは、「韓国側の要請を一定程度受け入れる考えを明らかにしたものだ」と、大統領府は見ていると説明した。

一方、『韓国日報』は、当初の期待とは違って、具体的な会談日程が発表できなかった点をあげ、「北朝鮮側が先に閣僚級会談を提案しながら首脳会談を議題にあげたことで、大統領府は3度目の首脳会談が8月末に平壌で開催されると思っていたが、北朝鮮側に冷や水を浴びせられた」と評価した。

同紙はまた、「李善権(リ・ソングォン)北朝鮮祖国平和統一委員会委員長は、会談の最終発言で、“もし南北会談と個別接触で提起した問題が解決されなければ、予想しなかった問題が生じる可能性もあり、また日程と関連した全ての問題が難航する可能性もある”と脅かした」と指摘し、首脳会談が順調に進まないだろうと解説している。

『朝鮮日報』は第3次南北首脳会談の開催日として9月中旬が有力になっことで、9月18日から開かれる国連総会で終戦宣言を推進しようとする文在寅政府が時間的に相当な負担を抱えるようになったと指摘した。

同紙によると、韓国と北朝鮮との水面下の接触では、韓国政府は8月末会談を希望し、北朝鮮は9.9節(9月9日の建国記念式)に合わせて9月初めの開催を希望した。

しかし、9・9節に要人を派遣することについて批判的な態度を取っている米国や、「北朝鮮の体制宣伝に引き立て役になった」という国際社会の非難を恐れた文在寅政府としては、9・9節が過ぎた9月中旬へ首脳会談を見送るしかなくなった。

実際に閣僚級会談直後、大統領府の報道官は、南北首脳会談の開催時期について、「9月初めは難しそうだ」と発言した。

結局、「首脳会談が9月中旬に見合わされことによって、朝鮮半島仲裁者役割を担いたいという文政府の計画がかなり狂い始めている」と、朝鮮日報は分析した。

『中央日報』は 李善権代表と同行した北朝鮮側代表団が、ほとんど鉄道道路など南北経済協力分野の担当者であることを指摘し、「閣僚級会談で、(北朝鮮側は)対北朝鮮制裁に縛られて南北経済協力に積極的に取り込んでない文政権に対して問題提起をした可能性が大きい」と分析した。

同紙は、李委員長が特に南北間の未解決問題や南北関係改善を妨げる障害物の解決を強調したのも、進展しない南北経済協力に対する不満を表したことだと付け加えた。

IMF(国際通貨基金)危機以来の最悪の経済不況、北朝鮮産の石炭の輸入事件、側近のインターネット世論操作の疑いなどで、支持率下落が止まらない文在寅政権は、平壌での南北首脳会談を通じて局面転換を模索するとみられる。しかし、待望の平壌行きが叶うまで文大統領の前には「いばらの道」が待っていると思われる。

米国務省は14日、第3次南北首脳会談が確定したことについて、「北朝鮮の核問題が解決されてからこそ、南北関係改善も可能だ」と言い、北朝鮮の非核化問題に進展がない限り、終戦宣言はないという立場を再度確認した。

一方、北朝鮮は対外用の宣伝媒体『統一新報』を通じて、「終戦宣言などの段階的かつ同時的な行動を通じて信頼を実践しない限り、非核化問題は進展できない」と、主張した。

平壌で開かれる3度目の首脳会談は文在寅政権の今後を左右する重要な会談になるだろう。

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