「慰安婦」情報戦への反撃

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中国・韓国から「慰安婦問題」で仕掛けられている情報戦にどう反撃するか。

■1.「慰安婦像によって分断された町として記憶されてはなりません」

オーストラリア・シドニー近郊、人口約4万人の町ストラスフィールド。その駅前の公有地に、2014年、「慰安婦像」が建てられようとしていた。ここは中国・韓国系移民が人口の約3割、1万人を超え、対する日本人は子供も含めて70人ほどだった。

4月1日に市議会で公聴会が開かれることになり、ストラスフィールドに住む日本人の母親からの「日本人に集まって欲しい」というメールが、オーストラリアに永住して企業で働いていた山岡鉄秀氏の所に舞い込んできたのは、その前日のことだった。

子どもたちが差別やいじめを受けないかと怯(おび)えているお母さんたちの事を思うと、「見て見ぬふりはできない」と山岡氏は思った。メールを出したお母さんと連絡をつけ、反論の仕方について、こう意見を述べた。

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相手はいつものように歴史問題で日本を糾弾してくるはずだ。しかし、その土俵に乗って反論すべきではない。事実関係がどうであれ、そんな問題をローカル・コミュニティに持ち込んだらダメだという原則論を一貫して主張すべきだ。[1, p12]
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翌日の公聴会では4人ずつがスピーチをした。相手側は中国人、韓国人だけだったが、こちらは地元のオーストラリア人、アメリカ人を含み、山岡氏がアンカーを務めた。

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これまでのところ、ストラスフィールドは、多文化主義が最も成功した町です。その評判は維持しなくてはなりません。慰安婦像によって分断された町として記憶されてはなりません。市議会のみなさんもきっとそう思うのではないでしょうか。[1, p14]
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終始一貫、淡々と、しかし情感を込めて、コミュニティの融和の大切さを訴えた。公聴会の結果は「市で判断できる問題ではないので州や連邦の大臣に意見を求めます」。中韓団体のごり押しの政治力を考慮して即時却下にはならなかったが、棚上げにはできた。

山岡氏の新著『日本よ、情報戦はこう戦え!』[1]には、ここで発揮された情報戦のノウハウがふんだんにちりばめられている。

■2.「中韓主導のまさに情報戦」

山岡氏がシドニーで駐在員の日本人社長たちと飲んでいる時の事である。氏が「慰安婦問題とは、事実を突き詰めて、何があったのか何がなかったのかということを明確にしておかないと、のちのち禍根を残すことになりますよ」と言ったら、皆、真面目な顔をして「そんなの、謝ってさっさと金払って終わりにしちゃえばいいんじゃないの」と言っていた。

また、世界的に名の通ったビジネス・コンサルタント大前研一氏も、元慰安婦たちは「日本にひと言、謝ってほしい、それで韓国人は納得する」というような事を述べていた。

駐在員社長やら、コンサルタントなど、国際社会で仕事をしている人々が、「さっさと金払って」とか「ひと言、謝って」などで問題が解決すると思っている「国際社会オンチ」ぶりには驚かされる。

結局、こういう人々は海外といっても、良識の通じる日系企業や現地の一流企業としかつきあっていないのではないか。「ストラスフォードの慰安婦設置の動きは、中国共産党からの指令により、中国人主導で韓国人の反日感情を利用した運動であることは、疑う余地はなかった」と山岡氏は言う。

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日本人は情報戦に関しては、思考停止状態に等しい。慰安婦像設置の動きなどは、中韓主導のまさに情報戦なのである。歴史を歪曲して切り取った情報戦を仕掛けられているというのが、慰安婦問題の本質と言える。[1, p23]
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情報戦を仕掛けられながら、「さっさと金をはらって」とか「ひと言、謝って」というのは、まさに「思考停止状態」に他ならない。

■3.我が国は、情報戦の総攻撃を受けている

スイス政府が国民に配布している『民間防衛』では、敵からの侵略には次の段階があるとしている。

第1段階 工作員を送り込み、政府上層部の掌握と洗脳
第2段階 宣伝。メディアの掌握。大衆の扇動。無意識の誘導。
第3段階 教育の掌握。国家意識の破壊。
第4段階 抵抗意識の破壊。平和や人類愛をプロパガンダとして利用
第5段階 教育やメディアを利用して、自分で考える力を奪う
最終段階 国民が無抵抗で腑抜けになったときに大量移住して侵略完了

現代日本においても、いちいち思い当たるふしがある。たとえば第1段階として、自民党の中にも福田元首相のように「南京大虐殺記念館」を訪問する人もいるし、かつての民主党政権に至っては、蓮舫のような国籍も定かでない議員や帰化議員が権力を握っていた。

第2段階でも、NHKや民放、新聞の偏向報道ぶりは弊誌でさんざん取り上げてきた。第3段階では日教組を中心とした偏向教育はすでに長い歴史がある。「従軍慰安婦」や「南京大虐殺」は平和や人類愛をプロパガンダとして利用する第4段階であろう。第5段階の「自分で考える力を奪う」の成果は、「さっさと金をはらって」とか「ひと言、謝って」とか言う人にすでに表れている。

いずれにせよ、第2段階から第5段階まではすべて情報戦なのである。我が国は、情報戦の総攻撃を受けている、と言ってよい状態なのだ。

■4.「誰も韓国大使に文句を言っていない」

公聴会の2週間ほど前、山岡氏があるランチの席で、韓国大使と一緒になる機会があった。大使が席を立とうとした時に、山岡氏は「大使、大使」と呼びかけ、「慰安婦像を建てようという人たちがいるらしいと聞いたので、非常に懸念しているのだが」と言った。

韓国大使が驚いた顔で「それは民間がやっていることで、政府としては関知していない」と答えたので、山岡氏が「政府として関知していないのだったら、これから関知してやめるようにいったらどうです? そんなことをオーストラリアでやってもしようがないでしょう。迷惑です」と言うと、「そんな苦情を言ってきた日本人は君が初めてだ」と非常に驚いた。

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つまり、オーストラリアに日本人はたくさんいるのに、誰も韓国大使に文句を言っていない。日本人は、みんな黙ってしまうのだ。そうそうたる企業の社長たちがいても、もちろん誰も何も言わない。日本の大使も外交官も一言も意見していなかったのだろう。[1, p53]
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敵は情報戦の攻撃を次々と仕掛けてきているのに、日本人はみな他人事だと思って、知らんぷりをしている、という状態のようだ。これは正しく第3段階の「国家意識の破壊」、第4段階の「抵抗意識の破壊」、第5段階の「自分で考える力を奪う」が奏功しているという事ではないか。

韓国大使は驚きのあと、少し気をとりなおして、「サッカースタジアムに『韓国人お断り』と書いてあった事件もあったじゃないか」と反論した。山岡氏はすかさず、こう言い返す。

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それは日本国内でも厳しい批判を受けていることで、そのこと自体が本質ではない。慰安婦像を設置して、協調的に平和に暮らしている我々の生活を乱す権利は、あなたたちにはないでしょう。[1, p55]
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韓国大使は、これには本当に驚いた顔をしていた。

■5.「議論の土俵を変える」

山岡氏の主張で注目すべきポイントは、「協調的に平和に暮らしている我々の生活を乱す権利は、あなたたちにはない」という点である。これは公聴会においても、「そんな問題をローカル・コミュニティに持ち込んだらダメ」と主張した事に通ずる。

すなわち、中国、韓国系移民が提起している慰安婦問題は棚上げにして、ローカル・コミュニティにこういう問題を持ち込んでいいのか、というように議論の土俵を変えてしまったことだ。

この土俵では慰安婦像を建てようとする中韓勢力は、ローカル・コミュニティに不和を持ち込もうとする悪役となる。また、地元のオーストラリア人や、中韓以外の外国人も味方につけられる。

国民が仲良く平和に暮らしている日本国内では、慰安婦問題のような対立があると、「さっさと金をはらって」とか「ひと言、謝って」とか、なるべく早く対立を解消しようとするが、それでは相手の思う壺である。情報戦を仕掛けられているという危機意識を持って、その情報戦にいかに勝つかを、考えなければならない。

そのための一つの戦術が、この「議論の土俵を変える」という手段なのである。

■6.中韓の誣告(ぶこく)という伝統

議論に勝つために、どう土俵を変えるのか。相手の得意な戦い方を良く知って、それを発揮させないように土俵を変えれば良い。この点で、中国、韓国の戦い方は世界でも特異なものである。

山岡氏は立命館大学の北村稔明・名誉教授から教わった「誣告(ぶこく)」という中国人の伝統を紹介している。これは「虚偽の事実で相手を貶(おとし)める」というやり方である。「南京大虐殺」はこの一例である。「従軍慰安婦」はこの伝統が韓国に伝わった結果だろう。

韓国で偽証罪が多いのは、この誣告の伝統の現れだと思われる。韓国で2010年に偽証罪で起訴された人は日本の66倍、日本の人口が韓国より2.5倍多いことを勘案すれば165倍に達する。これはもはや文化の違いとしか言いようがない。[a]

誣告の伝統を知っていれば、「さっさと金をはらって」とか「ひと言、謝って」などという反応は、相手の思う壺である事が見抜けるはずだ。

逆に、中国人、韓国人は誣告、偽証が国際社会の標準から見れば、どれほど信用を落とすものか分かっていない。議論の土俵を変えて、その主張が意図的な偽証であることを国際社会の前で明らかにするのが良い戦術なのである。それができれば、「慰安婦」像は彼らの「誣告の記念碑」となってしまう。

■7.韓国政府に「女性の人権を護れ」と抗議する

彼らの誣告を逆手にとって、「慰安婦」問題そのものの土俵を変えてしまう戦術を、山岡氏は紹介している。それは「朝鮮人慰安婦への同情」をベースにした訴え方である。

それによると、昔から朝鮮では女性の権利はないがしろにされており、宗主国・中国への貢ぎ物として差し出されていた。日本統治時代に公娼制度が導入され、売春そのものは禁止できなかったが、法律によって女性の権利が最低限守られるようになった。しかし、朝鮮人ブローカーが女性を欺し、誘拐した罪で日本の警察に逮捕された膨大な記録が残っている。

もしも韓国人が本当に女性の人権を憂慮しているなら、現在、世界中で売春業から抜けられない何万人もの韓国人女性の救済に奔走すべきである。これら、現代の人身売買の被害者たちは、100年以上前に日本政府が取り締まっていたのと、まさに同じような極悪ブローカーたちによって苦しめられているのだ。

海外で売春する韓国人女性は10万人に達するとみられ、アメリカやオーストラリアでも問題となっている。そのうち5万人は日本で働いているというから、日本政府も両国と組んで、女性の人権を護れ、と韓国政府に抗議する事ができよう。

■8.問題は事なかれ主義を許している国民の姿勢

山岡氏の現地の人々を巻き込んで「協調的に平和に暮らしている我々の生活を乱す権利は、あなたたちにはない」というアプローチと、「慰安婦」問題で現在の韓国人女性の権利を護れ、というアプローチには、二つの共通点がある。

第一は、アメリカ人やオーストラリア人など第三者も巻き込んで、国際常識の下での問題提起をする、という点である。そもそも平気で「嘘」をつく中韓と1対1で交渉しても、モンスター隣人と話し合うようなもので、まともな議論はできない。だからこそ、第三者を巻き込み、国際常識に沿った議論をすべきなのだ。

第二は、「ローカル・コミュニティでは協調的に平和に暮らすべき」とか、「若い女性を売春婦として輸出するようなことはすべきではない」という主張は、日本人の真心から出てくるもので、こういう「真実」と「真心」の訴えは、中韓の「嘘」に基づく誣告などよりも、はるかに世界の国々の支持を集めることができよう。

このように「慰安婦」でも「南京大虐殺」でも、誣告に勝つ情報戦略はいくらでもある。一民間人の山岡氏でもこれだけ戦えるのだから、外務省が真剣に立ち上がれば、いくらでも反撃できるはずだ。

問題は外務省の事なかれ主義であり、それを許しているのが、国民の「さっさと金をはらって」とか「ひと言、謝って」などの事なかれ主義なのである。それはすでに我々が情報戦の第3段階「国家意識の破壊」、第4段階の「抵抗意識の破壊」、第5段階の「自分で考える力を奪う」に相当やられてしまっているからだろう。

まずは我々自身が、これは国の未来を、我々の子孫の幸福を脅かしている情報戦だということを認識しなければならない。

                                       (文責 伊勢雅臣)

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★★★★★「国際派日本人という名称が気に入っています」(Amazon Customerさん)
 
子供の時から、国際人になろう考えていました。現在、国際的に活動する状況になっていますが、日本人としてのアイデンティティが重要であることを実感し、ネームプレートに日の丸があることを誇らしく思います。日本人としての根本を保持しつつ国際的に活躍する、まさに国際派日本人という言い方がもっとも理想的と思っています。
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■(デジタル難民さん)

日本国憲法については『憲法改正=九条改悪』と脊髄反射する「九条教信者」のような方々がいて、話がややこしくなっているように思います。

スポーツのルールでもそうですが、ルールは常に不都合が起きれば正しく変えられるべきであり、日本国憲法もその例外ではないと思います。(憲法自身が自分自身を変えることに言及している)

九条は変えるべきものであるかどうか決めつける以前に、「変えるべきものであるかどうか議論する」ことの自由は保証しなければならないし、またその議論を経て「変える/変えない」を決めるべきでしょう。

その結果として国民が「無改正期間で世界記録を更新」を選ぶならそれも大いによし、「改正件数で世界記録を更新」を選ぶならそれもまたよし、とするのがただしい民主主義のあり方ではないでしょうか。

「憲法改正」と口にすれば中身も聞かずに「九条改悪」と決めつけ議論すらさせないと言いたげに見える「九条教信者」の方が、むしろファシズムに近いと言うと言い過ぎでしょうか?

■伊勢雅臣より

「九条教信者」の中には、「平和や人類愛をプロパガンダとして利用」する情報戦にやられて「思考停止状態」に陥った人々と、日本が自衛力を高めては不都合な国のために、意図的にそのような情報戦を仕掛けている工作員がいると考えられます。

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