「高齢者は、UR賃貸に行き着く」

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分譲マンションを終の棲家にできぬ高齢者は、UR賃貸に行き着く

高齢者や子育て世代に人気を誇るUR都市機構の賃貸住宅。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、その人気の秘密はいったいどこにあるのかを探ってくれました。

分譲マンションを終の棲家にできない高齢者の悩みなどを聞く中で、廣田さんは「真逆」の発想を得たようです。

面倒な中に価値があるのかも?
こんにちは! 廣田信子です。

今、UR都市機構の賃貸住宅が人気で空室がないという話を多方面から聞きます。いよいよ、分譲マンションから賃貸マンションへのシフトが始まった? かというと、そんな単純な話じゃないのです。

よくテレビで、高齢者が部屋を借りられずに苦労するという話を取りあげています。不動産会社が、いくつもの物件に問い合わせても、年齢がネックで断られる…そんな場面を見ることがよくあります。

まだ60歳になったばかり、元公務員で年金収入がしっかりしていても、孤独死リスク等で、大家さんはしり込みするのです。事故物件であることの告知に厳しくなったので、よけいに敏感なのだと思います。

そんな中、UR都市機構の賃貸だけは、高齢者を積極的に受け入れます。

URが一人大家なので、社会的ニーズに合わせて、建て替えやエレベーター設置等の大規模な再生も可能で、次々と生まれ変わっています。

国の政策の一環でもあり、バリアフリー化され、家賃等の優遇措置もある高齢者向けの優良賃貸住宅が用意されているので、そこに高齢者が入居するというのは、よくわかりますが、ごく一般的な公団賃貸も、最近、高齢者の入居が一気に増えているようです。高齢者でも保証人なしで入居できるからです。

子供世代が自宅の近くのUR賃貸に、高齢の親を入居させるというパターンも、たいへん多く見かけます。近居割引もありますから…。

URは終の棲家になるか

最近、分譲マンションを終の棲家にできるか…という話を関係者としたときに、URをよく知る方が話されたことがリアルでした。

今の自宅マンションは広すぎる、あまり高齢になり過ぎないうちに、マンションを処分して、近くのUR賃貸に入居するのが、一番賢いかもしれないと思っている。

今なら、まだそこそこの価格で売れるが、10年たったら、広過ぎるマンションは、絶対に値崩れすると思うから、早ければ早い方がいい。こんな少子超高齢化時代に、広いマンションの需要が増えるはずがない。

夫婦二人で60平米あれば十分、120平米なんていらないよ。ただ物置部屋が増えているだけで、この物置部屋のために高い税金や管理費等を払っているのかと思うと、賢くないな~と自分でも思う。

それに、正直、将来のマンション再生をどうするのか…とか、管理組合運営をどうするのか…とか、70歳過ぎたら、もうそんなことから解放されたい。

でも、URの賃貸は家賃が高いでしょう? という声に、
専有部分を高齢者向けにリノベーションするのにいくらかかると思う? リノベ済みの賃貸物件に入居すれば、その費用もかからない。

分譲の税金や管理費等もけっこうな金額になる。今後、修繕積立金の額は上がることはあっても下がることはないだろうし…。

一時期、空き室が増えてたいへんだった郊外の高経年賃貸団地もすっかりリノベーションで生まれ変わって、今、けっこう埋まっているけど、分譲に住む経費とあまりかわらない家賃で住めるよ。

子供にマンションという負の遺産を残すこともないし…。

で、できるだけ健康に生きられるように心がけ、一人暮らしになって、認知症にでもなったら、施設かサ高住に入るよ。最近のサ高住って入居一時金なしで、けっこういいのがある。

賃貸なら、施設への住み替えも簡単で、子供に迷惑をかけない。自分が死んだあと、残った実家の相続や片づけで子供を悩ませないように、できる後始末はしておいて、きれいにこの世を去りたいよ~。
と。私は共感する部分が多々ありました。

でも、一方で、高齢になってから新たな居住地で住むことになった高齢者がお互いのつながりがないまま、多数集まって暮らす団地で、いかに高齢者を孤立させないかということが、大きな課題になっています。

共同で使える施設を用意したり、生活支援アドバイザーを置いたり…いろいろな試みがされていますが、解決するのは、なかなか難しいようです。高齢になればなるほど、新しい人間関係をつくるのは難しくなりますから。

それを思ったとき、自分たちで管理運営していかなくてはいけない、幾つになっても社会や人とかかかわらざるを得ない分譲マンションの宿命の中に、実は価値があるのかもしれない…と真逆のことを思いました。

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