「チャイナショック」

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「トランプ弾」が中国市場を直撃 世界を巻き込む「チャイナショック」にうろたえるな

いよいよ7月6日。トランプ米政権は知的財産権侵害を理由に対中制裁の第1弾を放つ。

中国の習近平政権はただちに米国に報復すると虚勢を張るが、借金まみれ中国経済は不安だらけだ。「トランプ弾」の直撃で、「チャイナショック」が世界中に飛び散りかねないが、うろたえるな。

チャイナショックとは、中国の株式市場の動揺が世界を巻き込むことだ。

2007年2月の上海株大暴落が最初のケースで、世界同時株安をもたらした。15年夏には人民元切り下げを機に上海株が急落し、中国からの資本逃避が激しくなった。習政権は資本規制を強化する一方で、不動産相場をつり上げた。さらに外為市場操作で人民元安に歯止めをかけて、投資家をかろうじてつなぎとめてきた。

それでも資本逃避は昨年、2000億ドル(約22兆円)に上った。
 
国有企業など産業界は国内外からの借金が膨らみ続けており、企業の借金総額は米国を6兆ドル、日本を15兆ドルも上回る。銀行や企業は外貨不足を補うため外国の銀行から2500億ドル借り入れ、その結果何とか外貨準備は3兆ドル台にとどまる。
 
金融が四苦八苦の中での米国との貿易戦争勃発である。

トランプ政権は知的財産権関連の制裁などに加え、中国に対して対米貿易黒字3750億ドルのうち2000億ドルの削減を要求している。対米輸出の急減は避けられず、中国企業の収益が大きく圧迫される。債務返済が滞ると、金融機関の不良債権が膨らむ恐れが高まる。
 
中国の金融は対米貿易黒字に支えられている。

発券銀行である中国人民銀行は流入する外貨を原資にして人民元資金を発行し、国有商業銀行を通じて企業や不動産開発業者、地方政府、家計に貸し出す。この金融の量的拡大によって、08年9月のリーマン・ショックを乗り切り、高度成長を維持し、合わせて軍拡路線を推進してきた。
 
外国との全ての商取引による外貨収支を示す経常収支黒字は昨年1650億ドルで、対米貿易黒字よりも2000億ドル以上少ない。トランプ政権はまさにその弱点を突く。貿易戦争に伴ってドルの流入が大きく減ると、人民元発行が制約を受け、金融を引き締めざるをえなくなる。すると需要が低迷し、企業収益も不動産相場も不振に陥り、借金を返せなくなる。
 
窮余の一策は人民元の切り下げだ。米国による対中制裁関税の度合いに応じて、人民元を安く誘導し、輸出競争力の低下を防ぐ。人民元の対ドル相場は米中貿易交渉が決裂した5月以降、少しずつ下がり続けている

明白な人民元切り下げをすれば金融市場が大きく揺れ、巨額の資本逃避が起きかねないから、当局は忍び足だが、敏感な中国投資家は上海株を売り急ぐ。

日本の市場もざわつくのだが、冷静に注視し、放っておけばよい。元凶は借金まみれの中国固有の脆(もろ)さにある。トランプ弾が来なくても遅かれ早かれ自壊は免れない。

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