「災害に備える」

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災害に備える

災害は、日本国内のどこに、いつやってくるのか、誰にもわかりません。
わからないから備えが必要です。
二度と大阪での少女のブロック塀の下敷き事故のようなことがあってはなりません。
そんなことは、誰にでもわかることです。
ならば、すぐに全国津々浦々、施設の点検が必要です。

子供達の通学路をはじめとした災害発生時の危険な場所の再点検と整備について、大阪での震災の報道のすぐあとから、福岡県行橋市では、市議の小坪慎也氏が猛然と立ち上がり、議会で全会一致で安全点検の実施とそのための予算の追加を実現しています。
<議会の模様の動画>

https://youtu.be/_6hIWJR0oe0(3分2秒から)

同様の動きを、全国の市町村に求めます。

冒頭にも書きましたが、そもそも震災は、いつやってくるのか、どこにやってくるのか、誰にも予測ができないものです。

政府や学会は、長年、東海大地震の備えばかりを主張し、その対策強化を行ってきましたが、現実に震災が起きたのは、東北であり関西です。

現にこうして、いつどこで起こるかなど誰にもわからないという証拠があがり、それによって多くの人命が失われているにも関わらず、相変わらず東海大地震のことしか取沙汰されていず、相変わらず公共工事の入札は品質を軽んじた価格競争に傾斜し、危険施設の点検は、東海地域以外には、どこの市町村でもまったく行われていません。

どこぞの市では、国から予算をもらったときに、モニュメントを市内の人通りの多い場所のあちこちに建てましたが、そのすべてが震災時に倒壊の危険が叫ばれているにも関わらず、すでに20年、放置されたままです。

それで「文化都市を目指す」というのですから、呆れてしまいます。

他にも豪雨に際しての土砂災害の危険地帯、福岡であったような道路の巨大陥没(この危険は日本中にあるといわれています)、学校の窓ガラスの災害用ガラスへの入れ替え、耐震補強工事、河川の堤防の点検、トンネル崩落事故対策等々、国の施設、県の施設、市の施設それぞれについて、点検と整備をしなければならない場所はものすごく多いのです。

災害がどこで起こるかわからないということは、全国で対策を講じる必要があるし、またいつ起こるかわからないということは、いまならまだ間に合う可能性があるということです。
特に子供達の関連については、待ったなしでの対応をお願いしたいと思います。

福岡県、行橋市では、実現に踏み切ったのです。
やればできるのです。
災害対策の話が出たところで、これから夏場に向けてのゲリラ豪雨について考えてみたいと思います。
雨量というのは1時間に降る雨の量のことで、5mmの雨であれば、直系20センチの雨量計に1時間でに5mmの雨が貯まる量の雨をいいます。

これが20ミリを越えると「どしゃ降り」、30ミリを越えると「バケツをひっくり返したような雨」、50ミリを越えると、もはや自動車のワイパーが間に合わなくなり、80ミリを越えると、一面水しぶきで真っ白になって傘をさしていてもびしょ濡れになります。
なんと雨が上から下だけでなく、下から上にも降るようになるのです。
つまり空から落ちてきた雨が、地面で跳ね返って、地表がまるでモヤがかかったようになり、傘も役にたたなくなるわけです。

我が国の観測史上で、1時間の降水量の最大のものは、千葉県と長崎県で記録されている153ミリです。
1999年10月27日に千葉県香取市、1982年7月23日には長崎県の長浦岳で記録されました。
千葉県香取の大雨では、亡くなった方が1人、床上・床下浸水があわせて約350棟、崖崩れが20~30か所も出ました。

近いところでは、2016年6月21日の熊本県甲佐の150ミリがあります。

いずれにせよ、自動車のワイパーが、最大雨量40ミリを基準にしていて、これを越えるとワイパーを全開にしても、前が見えません。
150ミリを越える雨がどれだけすごいものかご想像いただけると思います。

1日の降雨量では、過去最大のものが気象庁の管轄外の記録ですが、2004年8月1日の徳島県那賀町での1317ミリというものがあります。
直系20センチの円のなかに、1メートル30センチ以上もの雨が降るのです。

街は水浸しになり、溝や河川があふれて、低地は水没します。

近年、電柱をできるだけなくそうという動きから、電力の変圧器が電信柱ではなく、地表に置かれるようになりました。

つまり、大雨が降って街が水没すると、電力が使えなくなります。
高層ビルのエレベーターも使えないし、照明も消えます。

道路では信号機が停止します。
それで大渋滞となったところを鉄砲水に襲われれば、どれだけの被害が生まれるか想像するのも恐ろしい。

世界では年間降水量の世界一がインド・メーガーラヤ州の1万1,187ミリです。

年間に20センチの円の中に10メートルもの雨が降ったわけですが、これは日本の最大記録のおよそ2.5倍の降雨量です。
他所の国のことだと安心してはいられません。

近年、日本列島がだんだん熱帯化してきているともいわれ、ゲリラ豪雨が多発していますが、いつその規模がインドレベルになるかわからない。
そうなると日本で1時間に300ミリの大雨が降る可能性も出てきます。

それだけの雨が降ると、現在ある河川は、ほぼすべてが増水して付近に水が溢れ出します。

大型の一級河川は、国の管理でかなり高い堤防が築かれていますが、一級河川が二本も流れている私の住んでいる街では、市長が「我が市は、災害対策に万全を期して全力をあげて取り組みます」と話しています。

その堤防から水があふれるときは、高さ8メートルの浸水となります。
そのことを示した洪水ハザードマップも公開されています。

ところが、なぜか水害発生時に市が指定した避難場所に行くまでには、住民は片道8キロの道のりを、徒歩でいかなければならないとされています。

しかもこれまで一度も避難訓練や、避難誘導訓練が行われたことはありません。

それでも、他の市町村と比べると、まだ災害対策が進んでいる方なのだそうです。

理由は、国が造った東京外郭放水路のおかげです。

これは、国道16号線の地下に築かれた巨大な貯水施設で、大雨が降るとそこに雨水が貯められ、溜まった水は航空機用に開発された定格出力1万4千馬力のガスタービン4台で、毎秒200立方メートルの排水を行うという、化物じみた巨大施設です。

ちなみにこのとき貯水槽を築くために掘られた残土は、江戸川の堤防の盛土に使われました。

穴を掘れば残土が出る。

その残土を、どのように処置するかは、実は古代の日本でも、大きな問題になりました。

堤防もそうですが、残土はただ盛り土しただけでは、大雨のときに崩れてしまいます。

崩れないようにするためには、石と土を効果的に組み合わせ、また盛土の傾斜にも、注意を払わなければなりません。

そして、見たらわかりますが、現在築かれている一級河川の研究しつくされた堤防の傾斜角と、古墳の傾斜角はほとんど同じです。

話が脱線するので、古墳はさておき、要するに水害のみならず、日本は天然災害の宝庫です。

しかし、天然災害によって生じる被害の多くは人災です。
なぜなら、天然災害は、いつ起きるかわからないだけに、日頃からの備えが大事だからです。

先日も書きましたが、グローバル・スタンダードで、諸外国や先進諸国がそうだから、日本も同じで良いということはないのです。
現に日本は世界一の地震大国です。

1万年に一度、震度2くらいの地震がやってくるという国と、大地震が数十年おきには確実にやってくるという国では、建物の作りから、社会のシステムまで、同じということはありえないのです。

災害には備えが必要です。

そしてその災害は、日本国内のどこに、いつやってくるかは、誰にもわかりません。
そうであれば、日本全国、等しく常日頃から、災害対策をしっかりと組んでいかなければならないし、万一の場合の備えは、絶対に必要なことです。

江戸時代までの日本では、武士に俸禄取りと知行取りがありました。
20俵2人扶持みたいなものが、俸禄取り。
500石取りや千石取りといった武士が、知行取りです。

知行取りの武士は、知行地を持ちます。

その知行地から年貢をいただくのですが、その年貢は、万一凶作や天災で食糧不足になったときには、蔵米放出といって、集めた年貢で、被災地の救出に当たることになっていました。

もちろん、自国の知行地だけでは足りませんから、足りない分は旗本同士で融通し合ったり、それでも足りないときは、商家から借りたりしました。

このことは、年貢を払う側からすると、年貢を税としてただ取られるということではなくて、いわば保険のように、万一の場合には助けてもらうというシステムにもなっていたわけです。

目先の欲ばかりかいていると、そういう社会システムに目が届かなくなります。

なんでもかんでも江戸時代や、それ以前の律令体制が良いというつもりはありません。

ただ、日本は災害の多い国であるということを念頭において、万一の場合に民衆が困らない日本を築いていくことこそが、大事なことなのではないかと思うのです。

今年のゲリラ豪雨の季節は、もうすぐそこに迫っています。

ねずさん

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