「約90cmのミニ水車で用水路が発電所になる?」

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農業用水路の小さな水流でも発電可能な商品が登場!

全国自治体に朗報! 農業・工業用の「水路」を活用できる超小型水力発電機「NTNマイクロ水車」が、「WIND EXPO 2017 -第5回[国際]風力発電展-」(3月1~3日、東京ビッグサイト)で参考出展された。今後は水力・風力発電が、われわれの生活にグッと身近な存在になる?

小さな水流でもしっかり発電!

一般的にプロペラ式の発電装置といえば、灯台のようなビッグサイズのプロダクトが多い。しかし、NTNが開発した小型水力発電機「NTNマイクロ水車」の翼径はわずか最大120cmだ(60cmと90cmを含む3モデルを展開)。

軸受け(ベアリング)世界4位のシェアを誇る株式会社NTNのブース
コンパクト設計の理由は、農業・工業用の「水路」で使うことを想定しているから。2本の梁(はり)を水路の幅に合わせて取り付け、その上に移動式クレーン車で発電機とプロペラ水車を載せるだけで設置完了。一時的に水流をせき止める必要もなく、1台当たり約1時間で設置できるという。

「NTNマイクロ水車」の全貌。2本の梁でプロペラを水路に固定する
「昨年の夏に実施した福島県須賀川市の新安積疎水(しんあさかそすい)での実証実験を経て、今春本格的に販売をスタートする予定です」と語るのは、NTN広報・IR部の植田智子氏。価格は1kW(翼径90cm)のモデルで1台150万円から。現在、土地改良区などを中心に提案を進めているという。

田畑の隙間を縫って流れる水路で発電する。これぞ本当の「スキマスイッチ」というべきか。では、これ一台でどれくらいの電力を賄えるのか?

「3カ月にわたる前述の実証試験の結果では、同90cmのモデルでは、流速2m/sの水流の場合、1kw の発電電力になります。1日当たり24kWhとなるので、一般家庭約2軒分の消費電力(消費電力約10kw/軒計算)を賄うことができます」(同氏)

同一水路に直列設置しても装置間干渉が少なく出力が得られる
農林水産省によると、中小の農業用水路を含む日本の水路は約40万km。およそ地球10周分の距離に相当する。今後は「NTNマイクロ水車」によって、再生可能エネルギー源としての大きなポテンシャルを引き出されるかもしれない。

静かに発電する街路灯も活躍中!

他にもNTNは、われわれの生活圏でさりげなく活躍する発電装置を販売している。風力発電機と太陽光パネルを組み合わせた、独立電源型の「ハイブリッド街路灯」だ。

風力発電を担うウイングレットの下にソーラーパネルを配置

太陽光発電のみのソーラー街路灯よりも、安定した電力供給が期待できる
「弊社のハイブリッド街路灯は、独自の肉厚な翼形状と翼先端に設けたウィングレットで空気の剥離と渦乱流の発生を防ぎ、風切り音の発生を抑えることができます。また、垂直翼の採用により、どの方向から風を受けても風の力を最大限に引き出すことができる設計になっています」(同氏)

付属バッテリーは満充電状態で5日間の点灯が可能で、災害時の非常用電源としても使用できるという。

2016年夏に発表して以来、三重県で行われた「G7 伊勢志摩2016」でメディアセンターとなった三重県営サンアリーナなどに設置され、地域を照らす照明として使用されている。

三重県桑名市に設置されている「ハイブリッド街路灯」

今後は、公園や学校などの公共施設やバス停、駐車場、商業施設及び災害避難場所などでの活用を想定している。

こうした環境に優しい発電装置が街角に増えて、その存在をますます身近に感じられるようになれば、日本の未来はきっと「明るい」。

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