「米朝首脳会談 韓国の評価真っ二つ」

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右派は政治ショーと酷評 左派は「歴史的偉業」

全世界から期待を寄せられ、「歴史的な会談」とも呼ばれた、「6.12米朝首脳会談」は結局、包括的で象徴的な合意に終わった。

会談後に発表された合意文書には、これまで米国側が北朝鮮の非核化方式として強調してきた、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」や、核廃棄の期限などは含まれなかった。その代わり、北朝鮮が一貫して主張してきた「韓半島の完全な非核化」が明記された。

序文に「米国と朝鮮民主主義人民共和国の新しい関係の樹立が、世界の平和と反映に寄与するという確信と、相互間の信頼構築が朝鮮半島の非核化を増進するだろうという認識を持ち・・・」と明示されたことは、米朝関係改善が非核化よりも先行されなければならないように解釈できる。

合意文書発表後に開かれた記者会見で、トランプ大統領は米朝関係改善に対する考えをより鮮明にした。

米韓軍事演習に対して、「ウォーゲーム」「挑発的」と言い、「交渉中という状況の下で、軍事演習を行うのは不適切だと思う」と語った。

在韓米軍の削減についても示唆した。「在韓米軍問題は今回の議論から外されているが、将来は交渉しなければならないだろう」、「私は彼ら(在韓米軍)を引き戻したい。ある時点で、それができることを望んでいる」

北朝鮮の非核化に向けての具体策が含まれなかった合意文書や、米韓演習の中止と在韓米軍の撤収を示唆したトランプ大統領の発言は、多くの韓国人を不安にさせた。 特に、韓国の保守層を代弁するマスコミは米朝合意を酷評した。

「呆れるほど荒唐無稽な米朝会談、このままでは、北朝鮮が核保有国になる」「韓国をもてあそんだリアリティ・ショー」「専門家たち、トランプの完敗。

非核化は水の泡となり、米軍削減へ」「トランプ、韓米軍事演習の中止、米軍の撤退言及 『安保ショック』」「トランプ『CVIDを入れることには時間が足りなかった…会談の核心ではなかった』とちんぷんかんぷん」

韓国で最大発行部数を誇る右派の『朝鮮日報』は13日、社説やコラム、分析記事などを総動員して、前日行われた米朝会談を強く批判した。

『朝鮮日報』とともに、韓国の保守を代表する『中央日報』の紙面も、米朝会談の成果に対する酷評記事で埋め尽くされた。

「世紀の握手、それだけだった」 「金正恩(キム・ジョンウン)に会ったトランプ、CVIDは合意文に入れず、韓米軍事演習の中止で同盟を叩く」 「勝者は、金正恩。米国が北朝鮮に再びだまされた」 「トランプ、韓米訓練を罪悪視するように描写、非常に衝撃的…」

北朝鮮専門家たちと共有している私のカカオトーク(ラインのようなSNSメッセンジャー)でも似たような意見が主流だった。「トランプ氏が大変素晴らしいショーを企画し、金正恩という最高の出演者を登場させたのが世界の関心を集めた要因であろう。

今日一日中、トランプは劇場政治の典型を忠実に見せてくれた」(日刊紙記者) 「付属合意や次回協議が残っているため、判断するのはまだ早いが、板門店(パンムンジョム)会談の二の舞のような気がする。板門店宣言後、北朝鮮が取った行動から考えると、非核化への道がどれほど大変かも予想できる」(北朝鮮専門研究員) 

「韓国の安保を犠牲にして、トランプ氏と金正恩氏がリアリティー・ショーを開催したとしか考えようがない。これで金正恩は、核開発の目的を6割ほど達成したとみられる。終戦宣言>平和協定>米朝国交正常化が続けば、つぎは在韓米軍撤収だろう」(大学教授)

一方、韓国の代表的な左派の『ハンギョレ新聞』や『京郷(キョンヒャン)新聞』の論調は対照的である。 『ハンギョレ新聞』は社説を通じて、「互いの手を握った金正恩‐トランプ。『巨大な変化』が始まった」と評価した、

この他にもCVIDと米韓演習中止について「CVID明示はしなかったけど…トランプ『信頼なければ、署名しなかった』」「北朝鮮非核化の意志信頼したトランプ、『軍事脅威』中止の約束」という記事を通じて、トランプ大統領が金正恩氏の非核化の意志を全面的に信頼していると分析した。

『京郷新聞』は「北米の首脳、冷戦構造解体の偉大なスタートラインに立つ」「金正恩氏とトランプ、平和の行進を開始する」との社説で、今回の合意が朝鮮半島に終戦と平和をもたらすだろうと大きな期待を示した。

韓国大統領府も、シンガポール会談に対する全面的な支持を宣言した。「6.12セントーサ合意は、 地球上で最後に残った冷戦を終結させた事件として世界史に記録されるだろう」「米国と南北(北朝鮮と韓国)がともに収めた偉大な勝利」と賛辞を送った。トランプ大統領については「誰も達成できなかった偉業をついに達成した」、金正恩氏については「歴史的瞬間の主役として記憶される」と褒め称えた。

待ちに待った「非核化」の代わりに、「米朝国交正常化」と「在韓米軍撤収」が可視権内に入ってきた今、韓国国民の考えは果たしてどうだろうか。

右と左へ完全に分かれた韓国のマスコミの正反対の評価のうち、どちらが韓国国民を代弁してるのだろうか。今日行われる地方選挙の行方が、その答えになるだろう。

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