2018年11月1日よりタイトルをWCA(世界の時事)に変更しました。
「トランプ、米朝首脳会談中止を決断」
皆さんご存知と思いますが、トランプは5月24日、「米朝会談
中止」を決断しました。
BBC5月25日付に、トランプが金正恩にあてた書簡の全文が掲載
されています。
↓
<「シンガポールで6月12日に開催予定だった首脳会談は、双方が長く求めてきたもので、そのための最近の交渉や話し合いにあなたがかけてきた時間と忍耐と努力を、非常にありがたく思います。
会談は北朝鮮が求めたものだと知らされていましたが、それは私たちにはまったく大事なことではありません。
私は会談であなたとお会いするのをとても楽しみにしてい
ました。
残念ながら、あなたの最新発言が示した強烈な怒りとあからさまな敵対心を踏まえると、長く計画を重ねてきたこの会談を、現時点で実施するのは、不適切だと感じます。
そのため、この書簡をもってシンガポール首脳会談は、双方の利益のために、ただしそれは世界の不利益ですが、実現しないとご理解ください。
あなたは自分の核能力の話をしますが、我々のはあまりに巨大で強力なので、決して使わずに済むよう私は神に祈ります。
あなたとの間に素晴らしい対話が築かれつつあると感じていましたし、究極的に大事なのはその対話だけです。
いつの日か、ぜひともお会いしたいと願っています。
それまでの間、もうすでに家族と共にいる捕虜の解放に感謝します。
あれは素晴らしい対応で、とてもありがたく思っています。
なにより大事なこの首脳会談について、もし考えが変わるようでしたら、ぜひ遠慮なく私に電話するなり手紙を書くなりしてください。
世界と、そして特に北朝鮮は、永続的な平和と素晴らしい繁栄、そして富を得る、素晴らしい機会を失いました。
この失われた機会は歴史において本当に悲しい瞬間です」>
トランプさんにしては丁寧な印象ですが、
<あなたは自分の核能力の話をしますが、我々のはあまりに巨大で強力なので、決して使わずに済むよう私は神に祈ります。>
と書き、脅しています。
そして、金がアメリカ側の要求を受け入れる準備ができたら、「対話しよう」と、オファーしています。
<大事なこの首脳会談について、もし考えが変わるようでしたら、ぜひ遠慮なく私に電話するなり手紙を書くなりしてください。>
今回の話、RPEの読者さんは、驚かなかったことでしょう。
理由もはっきりわかっています。
金正恩は、金正日と同じように、「アメリカをだませる」と思っていた。
何度も書いていますが、念のためもう一度。
1994年6月、北朝鮮は、NPTからの脱退を宣言した。
同年10月、米朝合意。
アメリカは、北に軽水炉、食料、重油を提供。
北は、NPTに復帰し、「核開発凍結」を約束しました。
ところが、北はウソをついて、核開発をつづけた。
2003年、北朝鮮は、NPTを脱退。
6か国協議がはじまりました。
05年2月、北朝鮮、「核保有宣言」。
同年9月、北「すべての核兵器を廃棄する」宣言。
現状を見れば、北がウソをつきつづけてきたことは明白。
つまり金は、「制裁を解除させ、経済支援を受け取り、核はちゃっかり保有しつづけよう」と考えている。
ところが、安倍総理やボルトンさんから「だまされた過去」について聞いたトランプさんは、
「俺はだまされないぞ!」と決意していた。
そして、ボルトンさんやペンスさんは、「リビア方式」に言及していた。
これも何度も書いていますが、リビアのカダフィ大佐は03年、核開発を放棄しました。
結果、制裁や、テロ支援国家指定は解除され、欧米との関係がよくなった。
ところが8年後の2011年、欧米が支援する「反体制派」に捕まり、残虐に殺されました。
だから、金は金で、アメリカを信用できない。
「俺を丸裸(核放棄)にして、後で殺すつもりなのだろう!」と。
ま、「リビア方式」といわれたら、誰でもそう考えますね。
ボルトンさんやペンスさんは、米朝首脳会談をぶち壊したかっ
たのでしょう。
▼これからどうなる?
予想するのは難しいですが。
今回の一件で金は、「アメリカをだますことは難しいそうだ」と悟ったことでしょう。
選択は、三つですね。
1、アメリカの条件、すなわち核放棄、体制保証、その後制裁
解除 を受け入れる
(カダフィのように将来殺されるリスクを犯して・・・)
2、「核放棄はOKだが、確実な体制保証を望む」といい、「体
制保証の中身」テーマの対話を開始
3、覚悟して、アメリカと戦争する
一番いいのは、2番でしょうか。
結局、「北朝鮮核兵器放棄」と「体制保証」が世界の利益です。
日本、アメリカ、韓国は、「核で攻撃される恐怖」から解放される。
金は、いままでどおり北朝鮮を統治しつづけることができる。
制裁解除と経済支援で、国は豊かになる。
中国、ロシアは、「緩衝国家」北朝鮮が存続して幸せ。
しかし、既述のように、金にはアメリカを信用できない理由があります。
どうなるか注目していきましょう。
まったくこの世はウソばかり。
ウソだらけの世界で、事実、真実はどこにあるのでしょうか?