「理由」

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金正恩氏が習近平氏と会わなくてはならなかった理由

北朝鮮と中国は再び友好的な関係になるのか

中国の国営メディアは28日早朝、北朝鮮との国境を走る鴨緑江を渡り、武装した列車で到着し、礼を尽くした出迎えを受けていた謎の賓客が、北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長その人であることを認めた。

金委員長にとっては2011年に父・正日氏の死によって最高権力者の地位について以来、初めての、公の外遊となった。

6年超にわたる粛清と権力の基盤固め、核や弾道ミサイル技術の大きな前進を経て、金氏は習近平中国国家主席の招待に応じ、孤立した王国を後にした。

通常であればこの訪問は、北朝鮮の政治機構を確実に掌握し、外交を行う準備が整ったという金委員長の自信の表れととれるだろう。より不安定な状況であれば、海外訪問を急ぎ過ぎれば権威に対する挑戦、あるいはクーデターでさえ起きる可能性を危惧したかもしれない。

しかし、金委員長は今や海外を訪問する自信を得ただけでなく、核保有国で国連安全保障理事会の常任理事国である中国の指導者、習国家主席と肩を並べる首脳としての役割も演じている。

その習氏もまた、憲法改正によって、終身で国家主席の座にとどまれるようになった。このため、両者の個人的な関係性は重要だ。

中国は金氏が訪問してから米国にその旨を知らせたとされ、北東アジアにおける「舞踏会の華」という金委員長の立場がさらに強調されている。金氏は、核兵器によって北朝鮮が一定の地位と敬意が得られると考えている――今回の訪中はそれを裏付ける格好となった。

中国の明らかな不在

しかし今回の訪問を観察する上で、異例と言うほかない国際的な状況を我々は無視することはできない。

核と弾道ミサイル開発が完了したと述べた1月1日に放送された新年のあいさつを皮切りに、金委員長は南北の軍事境界線の向こう側への外交的働きかけを開始させた。

そしてそれはなお続いている。

29日には、両国の外交団が4月末に軍事境界線上の板門店で行われる3回目の南北首脳会談の議題をめぐる協議を開始する。

同時に、史上初の米朝首脳会談への準備も軌道に乗っているもようだ。ドナルド・トランプ米大統領は韓国の特使団が伝達した金委員長による首脳会談の申し出を受け入れ、朝鮮半島の非核化に向けて協議する予定だ。

米朝首脳会談の実現に向けた調整が続いている

一連の動きの中で、中国の不在は目立った。

地域の大国として、そして唯一の友好国であり最大の貿易相手国として、中国は北朝鮮に対し、物質的にも政治的にも非常に大きな影響力を持っている。その関係性は、かつて毛沢東が「唇亡歯寒(唇亡びて歯寒し)」と例えたほど緊密であり、相互に依存している。

2013年以降、ほとんどのアナリストたちが中国と北朝鮮の間に亀裂を見出してきた。金正日氏はこの年、義弟であり、両国間の経済関係の重要人物だった張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑した。

2016年から2017年にかけても、北朝鮮は中国にとって重要な時期に弾道ミサイルを発射した。2016年に杭州市で行われた先進・主要20カ国(G20)首脳会議や、2017年の一帯一路フォーラム、アモイでのBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議などだ。

これに対し、中国は2017年に国連安保理で、北朝鮮に対する新たな制裁に賛成している。

金委員長は夫人を伴って中国を訪問した

しかし、両国の間にいかなるわだかまりがあったとしても、金正恩氏が指導者になって以来、最初の首脳会談の相手に韓国の文大統領やトランプ米大統領を選ぶようなことにはならない。

代わりに金委員長は、祖父や父親と同様、中国を初めての外国訪問先に選んだ。

これからの数カ月は、北東アジアのパンドラの箱が開かれる時期になる。

韓国や中国の高官らは、金委員長が非核化を協議する意思を表明したと語っているが、いつもどおり、北朝鮮にとって何を意味しているかは米国とのものとは大きく相違する。

北朝鮮の頭の中では、非核化された「半島」とは、米国が韓国に核の傘を提供するのをやめた状態を意味する。

南北首脳会談の準備が始まり、混乱状態のホワイトハウスも足取りおぼつかない状態で北朝鮮との首脳会談に臨もうとするなか、中国は全く重要視しない態度を明確にしてきた。

2月と3月は韓国の文大統領が北朝鮮への対応で主導権を握っていたが、その時期はもうすぐ終わりを告げるかもしれない。

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