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「森友改竄」に染まり、安保・少子化置き去り 特異な予算審議の2カ月

2月2日から3月28日まで約2カ月にわたった平成30年度予算の審議は、とにかく「特異」だった。

衆院では裁量労働制に関する厚生労働省の不適切データ問題、参院では学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改(かい)竄(ざん)問題の追及に明け暮れ、予算に関する質問は後回しにされた感が否めない。北朝鮮や安全保障といった喫緊の重要課題の議論も置き去りにされた。

「多くの時間がこの問題に費やされたことに責任を感じている」

安倍晋三首相は28日の参院予算委員会で今回の予算審議を振り返った。参院での予算の審議時間は例年の8割前後の55時間にとどまった上、多くは森友問題に費やされた。

30年度予算は、社会保障費が32兆9732億円と全体の3割超を占め、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対応する地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」関連経費が計上された。

北朝鮮をめぐっては中朝首脳会談が開催されたほか、米朝首脳会談、南北首脳会談などが予定されている。にもかかわらず、28日の参院予算委でこうしたテーマを積極的に取り上げた野党議員はまれだった。

首相が2月14日の衆院予算委で専守防衛について「国土が戦場になりかねない」と日本の防衛戦略の危うさを指摘したり、小野寺五典防衛相が3月2日の参院予算委で海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母化の調査をしていると認めたりする場面もあった。こうした議論も森友問題の前にかすんでしまった。

公文書の改竄は国家統治の根幹に関わる。決裁文書改竄に関与した財務省職員の責任は大きいし、首相も自らが責任を痛感するのは当然のことである。だが、野党はひたすら安倍政権打倒のため「首相や安倍昭恵首相夫人らが関与した」というシナリオを描くことに熱中しすぎたイメージだ。

首相と野党党首が国内外の重要課題を討論する「党首討論」は一度も開かれていない。

有権者が野党に期待するのは、政権たたきよりも政権奪取を意識した建設的な政策論議に挑む姿勢ではないか。

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