「水没車」

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日本では使い物にならない「水没車」が海外で人気の理由
その車、廃車にするのはちょっと待って

「水没した車は使い物にならない」「下取りに出しても二束三文……」そんなふうに諦めたことがありませんか? 

実は、「海外輸出」という選択肢を選べば、想像以上の高値が付くことがあるのです。そのうわさを聞きつけて、世界規模で損害車のリユース&リサイクルを行っている、ある企業の車両保管場所を見学してきました

東日本大震災から7年

あの日、東北から関東の太平洋沿岸部を襲った大規模な津波は、多くの尊い命とともに、人々が営んでいた家屋・ 家財のほか、数多くの自動車やオートバイを飲み込みました。

あの震災で水害に見舞われた車は、およそ24万台と推計されていますが、登録前の新車なども入れると、その数はさらに増えるといわれています。
30年以内に起こると発表されている南海トラフ地震が来れば、いったいどうなるのか想像がつきませんが、おそらくおびただしい数の車が水害に遭うことでしょう。

車が巻き込まれる水害は、何も津波だけではありません。地球温暖化の影響か、このところ全国各地で大雨や台風による洪水や河川の氾濫が起こり、大きな被害が出ています。

こうした災害で大事な愛車が水につかってしてしまう……これは日本列島に住む我々にとって、決して他人ごとではないのです。

さて、ニュースなどで車が冠水している映像を見て、「なぜもっと早く避難しなかったんだろう?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

でも、一度体験した人ならわかると思いますが、津波や洪水は突然やってきます。簡単に逃げられるものではありません。

実は私も、自分で車を運転して取材先から帰宅する途中、成田空港の近くでその恐ろしい瞬間を体験したことがあります。

いわゆる「ゲリラ豪雨」のような大雨に見舞われたなあと思ったとたん、目の前の道路の水かさがいっきに増し、あれよあれよという間に車がプカプカと水の上に浮き始めたのです。

「これはまずい!!」

そう思って、とっさにハンドルを切ってエンジンをふかし、ぎりぎりのタイミングで道路わきの少し高い場所にある工場の敷地に車を移動させました。

その直後、私の前後にいた車は、そのままボンネットまで水につかってしまいました。そしてその場でエンジンが停止。同時に、電気系統がおかしくなってしまったのでしょう、何台ものクラクションが勝手に、異様な音を競い合うように鳴らし続けていました。

私の車は幸いエンジンストップは免れましたが、おそらく一瞬、冠水したためでしょう、あの日を境にエアコンの調子がおかしくなり、結局、修理をする羽目になったのです。

自分の車は自分で守るしかありません。突発的な水害による車の損害をカバーするためには、自動車保険の車両保険をかけておくしかありません。
もうひとつ付け加えるなら、地震による津波での車両被害は、一般的な車両保険ではカバーされないので、必ず「地震特約」をつけておく必要があります。

もちろん、地震保険を付けるとその分保険料が高くなるので迷う人は多いでしょう。でも、せっかく車両保険を掛けるのなら、契約時に必ず地震や津波のことを質問し、保険料がいくら違うのかを確認し、比較してみることをお勧めします。

とはいえ、車両保険は高いので「そんなものに入っていられない」という人は多いのが実情です。こうしたドライバーが突然の水害にあった場合は、いったいどうすればよいのでしょう。

早速インターネットで調べてみると、多くのサイトで、水害車についてのアドバイスを行っており、『残念ながら水没車は廃車にした方が良いケースがほとんどなのです』と言った書き込みが目につきました。

つまり、水につかってしまった車にはほとんど値段がつかない、ということです。

しかし、これを鵜呑みにしてはいけません。水害車だからと言って、簡単に廃車したり下取りに出すと、後で後悔することになるかもしれません。その前に、「海外輸出」というルートで愛車を売る方法を模索してみるのはどうでしょうか。

ハンドルまで水没した車でも…
水没車でも100万円以上で高価買取!

台風で川が増水した際、停車中に冠水し、水が青いラインまで上がってきたそうです。もちろん、クルマの中にも水が浸入し、まだ新しい車にもかかわらず、エンジンが使い物にならなくなってしまった。

台風で川が増水した際、停車中に冠水し、水が青いラインまで上がってきたそうです。もちろん、クルマの中にも水が浸入し、まだ新しい車にもかかわらず、エンジンが使い物にならなくなってしまったのです。

新しい車に買い替えたいと思っても、下取り価格は数万円。修理しようとディーラーで見積もりを取ったところ、なんと費用は200万円以上かかると言われたそうです。

ところが、「海外輸出」を専門に損害車の買い取りを行っている企業に査定を依頼したところ、なんと、120万円で買い取ってもらえたというのです。

このヴェルファイアを120万円で買い取ったのは、株式会社タウという企業です。

同社のWEBサイトをのぞいてみると、他にも事故車や水害車の買い取り事例が多数紹介されていました。

外国では日本の中古車が大人気

ではなぜ、国内のディーラーでほとんど値のつかない水害車が、これほど高い値段で取引されているのでしょうか?その理由を知るべく、早速、株式会社タウに話を聞きに行ってきました。

私が訪れたのは、川崎にある、輸出車が保管されている広大な車両保管場所です。そこには、これから外国へと送られていく数多くの事故車や水害車が、ずらりと並べられ、その順番を待っていました。同様の拠点は、国内に23か所あるそうです。

株式会社タウが、主力事業として取り組んできたのは、損害車のリユース・リサイクルです。

ちなみにタウという社名は、「トータル・オートモーティブ・ユーティリゼーション」の略だそうで、クルマや原動機付の商品を再利用するという意味を込めているそうです。

同社が言う「損害車」とは、事故や風水害で損傷を負ったクルマのことで、私もずっと思い込んでいたように、日本国内では「ほとんど価値が無いもの」として取り扱われているのが現状です。

ところが、世界を見渡すと、日本人にとっては「使い物にならない」と思い込んでいる損害車でも、旺盛な需要が存在する国々があるというのです。

事故で潰れた車も値が付く

株式会社タウの担当者はこう語ります。

「お客様から買い取りました損害車は、その価値を最大化するため、『カー・トリアージ』の概念に基づいて仕分けをし、『再生車』『スペアパーツ』『鉄資源』の3つの方法でリユース・リサイクルします。

再生車として諸外国に輸出された損害車は、元の姿に修復され、再びクルマとして積極的に再利用されています。

日本車は性能が高く、壊れにくいため人気が高く、また修復歴のある車に対するネガティブなイメージが低いため、ユーザーの抵抗感もほとんどありません。さらに海外での修理コストは日本の約5分の1ということもあり、中古車よりも安価に購入できるという合理的な考えを優先する人が多いようです」

そういえば、私は今年1月、スリランカを旅してきたのですが、あちらの道路では日本製のちょっと古い車やオートバイを数多く見かけました。
日本車は少々古くて凹んでいても、大人気なのだそうです。

スリランカの警察が乗っている、ボコボコのパジェロ

スリランカで見かけた郵政カブのパーツ屋さん

現在、株式会社タウが事故車や中古車の販売先として取り引きしている国は、ロシア、ボリビア、ニュージーランド、ジャマイカ、モンゴル、ミャンマー、アラブ首長国連合、チリ、ケニア、南アフリカ共和国、ジョージア、タンザニア、台湾などなど、110か国以上に上っているそうです。

もちろん、中古車の海外輸出を行っている企業は1社だけではありません。事故車や中古車の売却を考えている人は、この機会に色々調べてみてはいかがでしょうか。

レベル2(損害小) 買取価格80万円 エンジンかかる エアバック開く

レベル4(損傷中) 買取価格22万円 エンジンかかる エアバック開かない

レベル5(損害大) 買取価格19万円 エンジンかからない エアバック開かない

東日本大震災のときにも、全国のレッカー業者の協力を得て、多くの被災車両を引き上げたという株式会社タウ。社内広報誌には、こんな体験談が掲載されていました。

「納車してまだ3時間しか経っていない新車を引き上げました。お父さんが娘さん2人にプレゼントしたものだそうです。幸いにも皆さんは無事だったそうですが、変わり果てた車を見つめる姿はとても辛いものがありました」

「依頼先へ向かう道中では、突然住民の方に『この車を起こしてもらえませんか』と言われることもあり、その場合はできる限り協力するようにしています。通常の水害とは違い、海水に浸かった車両は鍵穴に砂が入ったり、サビによりサイドブレーキが下がらず動かない車が多くあります。また、十分なスペースが確保できない場所も多いため引き上げにも苦戦しますが、慎重にやりながらも迅速さを大切にしています」

海水に浸かった車は、台風など淡水の被害と違って腐食速度が3~5倍のはやさで進むと言われています。そのため、高圧洗浄機による迅速な洗浄をおこない、バッテリーもすぐに端子を外してテープでふさぎ、自然発火を防止するという対応が必要なのだそうです。

修理か買い替えどっちが得か
国内で相次ぐ洪水と車の被害

その後も日本では水害が相次いでおり、多くの車が冠水被害に遭っています。株式会社タウ1社が過去3年に引き上げた水害車だけでも、下記のような台数になるそうです。

<主な水害発生地域と取引台数>
●2015年/宮城県、茨城県、栃木県、埼玉県(計2310台)
●2016年/北海道、岩手県、茨城県、埼玉県、東京都、熊本県、宮崎県(計1240台)
●2017年/秋田県 福岡県、大分県(計880台)

では最後に、万一愛車が災害に見舞われたとき、何をポイントに、どのように判断すればよいか?株式会社タウからのアドバイスをご紹介したいと思います。

1.「お車への愛着がどの程度あるか?」

大切に乗ってきた車だからこそ、壊れてしまった愛車はしっかりと修理してあげたいですよね。例えば、次のような場合は修理してそのまま乗り続ける方が良いかもしれません。
・思い出が詰まっていてどうしても手放せない場合
・フレームまで損傷していない比較的軽微な事故で、修理をしても修復歴が付かない場合

2.「事故車のリスクをどう考えるか?」

修理技術は日々進歩しています。しかし、一度壊れてしまったクルマが、以前と全く同じ状態に戻ることはありません。修理の仕方によっては、損傷個所が再び故障したり、劣化が早まったりするケースがあります。
また、見た目がどんなキレイに直っていても、フレームまで損傷してしまったクルマは「修復歴車」として取り扱われます。修復歴車は、次にお車を手放されるときの査定額が、修復歴のない中古車と比較して20~50%減額されることがあります。
このようなリスクが心配なお客様は、事故車を売却して新しいお車に乗り換えることをおすすめいたします。

3.「修理代、保険金など経済的条件はどうか?」

エンジンが損傷するような事故や、エアバッグが開くような事故の場合、修理代金が100万円を超えてしまうことも珍しくありません。「そんなに修理費を払うなら、いっそ乗り換えたい!」という場合は、事故車の売却代金を資金にして、気持ちよく次の新しいお車に乗り換えるのも手かもしれません。事故による保険金の支払いが見込める場合は、さらに乗り換えがスムーズですね。

自然災害や事故、できれば遭遇したくはありませんが、日ごろから心の備えをしておくことは大切ですね。

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