「裏任務」

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米海軍の巨大病院船が極東に展開「裏任務」は朝鮮半島有事への最終準備

偶然にしてはあまりにタイミングが良過ぎるので、「裏の任務」があると、筆者は疑っている。

米海軍の病院船マーシーが6月に東京港に寄港する。この一報に接し、朝鮮半島有事に備えているのでは、との観測が頭から離れない。朝鮮労働党の金正恩委員長は平昌五輪と韓国の文在寅大統領の「北朝鮮好き」を利用し、米国のドナルド・トランプ大統領に対し米朝首脳会談を申し入れ、トランプ氏もとりあえずは受諾した。

「5月末まで」と期限を切って。首脳会談自体が撤回され、または開催されても決裂すれば、6月のマーシーの出番となる…

マーシー寄港は内閣府が2月下旬に公表し、安倍晋三首相も8日の参院予算委員会で明らかにした。首相は「船舶を利用した災害医療を考える機会にしたい。

知見を生かし、大規模災害時の医療体制の確保を進めたい」と語った。それはそれで事実だろう。東日本大震災で沿岸部の病院機能がダウンし、病院船の導入を訴える与党議員連盟が寄港を要請してもいた。

しかし、マーシーの「主任務」は上陸作戦を敢行する米軍傷病兵への医療支援で、国内外の災害被災者への医療支援は「副任務」に位置付けられる。

全長272・6メートル、全幅32・2メートル、排水量6万9360トンの巨大船には、重篤患者用の80床を含む症状別のベッドが1000床もある。12の手術室や集中治療室は無論、遺体安置所も完備する。

運用は、米陸海空軍の現役&予備役将兵らによってなされている。何より、湾岸戦争(1991年)の勃発誘因となったイラク軍のクウェート侵攻後、わずか13日後には母港カリフォルニア州サンディエゴを出港し、半年間もの長期にわたり多国籍軍の傷病兵690人を収容し、300件もの手術を実施した。

金正恩氏も東京港に入るマーシーのTV映像の向こうに、「超弩級戦艦」の幻影を見ることになる。

トランプ発言はハッタリではない

米朝首脳会談が予定される反面で、トランプ氏は安全保障関係者の助言を受け入れ、北朝鮮への軍事攻撃を着々と準備している。

米軍はパラリンピックが終われば、朝鮮半島内外で各種軍事演習を決行する。米大統領報道官は12日の記者会見で、北朝鮮側が言い出した

(1)核実験と弾道ミサイル発射の凍結
(2)非核化の意思
(3)米韓合同軍事演習への理解-の《3つの約束》を維持すれば、首脳会談は「予定通りに開かれる」と述べた。けれども《3つの約束》はあくまで会談開催の条件であり、制裁緩和や対北軍事攻撃放棄の条件ではない。

首脳会談が実現しても、トランプ氏が金正恩氏に対し
(1)核・化学・細菌兵器の完全廃棄
(2)核・化学・細菌兵器の実験や運搬手段たる弾道ミサイルの完全廃棄(3)検証可能で不可逆的な完全廃棄
(4)非人道行為の完全停止…など、当然とはいえ、北朝鮮には高ハードルの要求をセットで繰り出すシナリオは否定できない。筆者は、国際査察機関の常続的駐留をも求めると推測している。

北朝鮮側が軍事演習や高ハードルの要求に「反発」して「核・ミサイル開発」を継続する恐れは高い。が、「核・ミサイル開発」継続は不動の既定路線であり、「反発」もかねて用意の演技に過ぎない。

いや、むしろトランプ政権内外の関係者・専門家の半数以上は、北朝鮮が核・ミサイル開発継続を宣言する「その時」を待っているとする情報を、筆者は得ている。

今回の米朝の「対話ムード醸成」は事実上の「最後通牒」との“裏面”に注目し、わが国も準備を進める必要がある。

もちろん、トランプ政権は戦争を避けたい。現に、金正恩氏の会談要請を説明すべく訪米した韓国高官らは当初、8日にマティス国防長官らと会談した後、翌9日にトランプ氏と会う予定だった。だが、トランプ氏はいきなり8日に会い、金正恩氏と会談する旨を即答した。

北朝鮮に核・化学・生物兵器や弾道ミサイルを完全放棄させ、ノーベル平和賞受賞者といった「歴史上の人物」に躍り出たい思惑はあるはず。半面で「会談する旨を即答した」分、《3つの約束》を反故にされれば、反動が対北攻撃へと大きく駒を進める。

「大統領選でのトランプ陣営とロシアの共謀疑惑」「女性問題でポルノ女優に口止め料を払った疑惑」など、自身のスキャンダルより国民の目をそらす陽動作戦の側面もあろう。副次効果には期待するものの、それ以上の狙いはない。

米国政府は25年間も北朝鮮にだまされ、時間稼ぎさせられ続けた揚げ句、米国本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)のほぼ完成を許してしまった。トランプ政権は戦争完遂の姿勢で臨まない限り、北朝鮮をまともな国に転換させられぬ現実を学習している。

実際、戦争準備への兆候は少なくない。例えば、米海軍横須賀基地が母港の原子力空母ロナルド・レーガンは4月にも定期整備を終え、作戦行動に参加できる。今後は、原子力空母9隻が理論上は運用可能だ。

なぜなら昨年末、洋上に展開していた空母は全10隻中、中東を担任する1隻だけで、残りは全てドック入りしていた。地球上に米空母が1隻だけしか遊弋していない運用形態は極めて異常だ。

空母のメンテナンス・換装や乗員の休暇などを一挙に済ませた態勢を意味し、複数の空母打撃群を同時に同じ戦域に集中派遣する「大作戦前夜」に映る。

「もし制裁が効果を出さないのであれば第2段階に移行する。第2段階はとても荒っぽいものになるかもしれない」

こう警告したトランプ氏は「北朝鮮の完全破壊」にまで国連の場で明言。

10日も記者団に「(米朝首脳会談は)大きな成功を収めるだろう」と口に出しながら「すぐに席を立つかもしれない」とスゴ味を効かせた。トランプ氏の一連の発言は、同氏得意のハッタリではない、ということだ。

トランプ政権の底意を分析した一部欧州諸国は開戦後、速やかに韓国滞在の自国民を救出するため、太平洋やインド洋などに海軍艦艇を待機させてもいる。

ところで、朝鮮半島有事が現実と化せば、日本国内の重要施設や自衛隊・米軍基地に向けた北朝鮮工作員の破壊工作も十分あり得る。国会も機能不全に陥るに違いない。

もっとも、森友学園問題に著しく偏重している現下の国会も、こと安全保障問題に関しては機能不全と表現して差し支えあるまい。

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