「姿をあらわした習近平の野望 」

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2月25日、中国共産党中央委員会が憲法改正案を発表しました。

その中で、国家主席と副主席の任期について2期(1期5年)までと定められている規定を削除するという内容が盛り込まれ、話題となっています。

改正案は来月5日に開会する全国人民代表大会で可決される見通しとのことです。

未だ現行憲法を改正したことがない日本人にしてみれば、憲法改正と聞くと大事のように聞こえるかもしれませんけれども、これまで中国の国家主席は在任中に必ずと言っていいほど憲法改正をしてきました。

中国の憲法改正は、党大会で決定された事項が1~2年後に憲法改正の形で憲法に盛り込まれるという傾向があります。前回の党大会は昨年2017年に行われていますから、今年、改正案が出てきたのも、それらに則ったものだともいえるわけです。

中国ではこれまでに4つの憲法がありました。それぞれ制定された年から54年憲法、75年憲法、78年憲法、82年憲法と呼ばれています。

54年憲法から78年憲法までの3つの憲法は、社会主義法建設時期に制定されたもので、82年憲法だけが、改革開放時期に制定されたものです。

82年憲法は、鄧小平により78年憲法の全面改正をするために制定された憲法で、その内容は、文革の影響を完全に払拭し、54年憲法を、基本的に継受しつつ、発展させた憲法と位置付けられています。

今の中国はこの82年憲法が現行憲法となっているのですけれども、1980年代以降、計画経済から市場経済へ経済改革が急速に進展したこともあり、82年憲法は後追い的に修正を行うことになります。

1988年、1993年、1999年、2004年と都合4回にわたり改正されることになったのですけれども、これらの改正は全面改正ではなく、一部の条文について改正し、その改正された条文は憲法に追記される形式をとっています。

その4度の小改正の大まかな内容は次のとおり。
・88年改正……私営経済を法の定める範囲内で認めた。
・93年改正……計画経済の文言を全て廃止。変わって社会主義市場経済に関する規定を導入。
・99年改正……中国人民を指導する思想に鄧小平理論を明記。
・04年改正……中国人民を指導する思想に三つの代表論を明記。

ここで2004年改正になる三つの代表論とは、2002年11月の中国共産党第16回大会で、当時の江沢民主席が「中国の先進的な社会生産力の発展の要求」、「中国の先進的文化の前進の方向」、「中国の最も広範な人民の根本的利益」の三つの代表が共産党立党の基本、執政の本、力の源であるとした思想のことです。

1988年、1993年の改正が計画経済から市場経済への対応を謳っているのに対し、1999年、2004年改正は、鄧小平、江沢民の思想が盛り込まれています。

今回の改正案には、昨年の党大会で党規約に盛り込まれた習近平の指導理念を憲法にも盛り込み、習氏に集中した権力を固める内容になっているとも伝えられています。

82年憲法以降の改正で自らの思想を憲法に付け加えることが出来たのが、鄧小平と江沢民であり、胡錦濤はそれが出来なかったことを見ると、習近平が自らの指導理念を憲法に盛り込めたということは、鄧小平や江沢民に匹敵する権力を手中にしたと言えるかもしれません。

けれども、習近平主席は更にその先を狙っている。鄧小平が定めた任期規定の排除がそれです。

仮に習近平が主席の任期を撤廃し、10年を超えて国家主席を務めたとするならば、鄧小平や江沢民を超えることになりますし、20年を超えて主席の座に居続けることになれば、任期だけでいえば、かの毛沢東と比肩することになります。

今年で65歳になる習近平主席が80歳過ぎまで居すわれば、それも可能になります。

習近平は野望を剥き出しにしていますけれども、彼はこれまで9回も暗殺未遂に遭っています。

果たして彼の目論見通りにいくのか分かりませんけれども、警戒は怠ってはいけないと思いますね。

日比野庵
 

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