「ミヤンマー」

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スーチー氏はなぜ「裸の女王様」に成り果ててしまったのか?

    

迷走するミャンマーのアウンサン・スーチー国家顧問は大事な友人を失ってしまったようだ。

最近、スーチーのイメージをまた変えてしまうような出来事が報じられて、国際的に新たな批判を浴びている。2018年1月25日、英公共放送「BBC」はこう報じた。

「ベテランの米外交官であるビル・リチャードソンが、ミャンマーのスーチー国家顧問によってロヒンギャ危機を検討するために設置された国際パネルのメンバーを辞任した。リチャードソンは、そのパネルが『うわべにすぎない』として長年の友人であるスーチーを『モラル的なリーダーシップが欠如している』と非難した」

英「ロイター通信」はさらに突っ込んで、「リチャードソンは『ミャンマー政府のチアリーダー』の仲間にはなりたくないと述べた」と書いている。

さらには、リチャードソンは「彼女に親しみをもっていたが、基本的に悪いニュースは聞かないようになってしまった」とも述べている。

最近日本でもよく報じられるようになったこの「ロヒンギャ危機」だが、改めて、どういう問題なのか。

米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、「ここ5ヵ月で、70万人近くの(イスラム教徒の)ロヒンギャたちが、(政府からの迫害を受けて)ミャンマー西部のラカイン州からバングラデシュに逃れている。

ノーベル平和賞受賞者のスーチーは、ロヒンギャに対する処刑やレイプ、放火といったミャンマー軍の作戦について力強く反対の声を上げようとしてこなかった。国連と米国はミャンマー政府のこうした行為は民族浄化であると指摘している」という。

国際NPO「国境なき医師団」によれば、2017年の1ヵ月で6700人以上のロヒンギャたちが殺害されている。

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ロヒンギャの問題に加えて、こんな騒動も起きている。2017年12月、ミャンマー当局はロイター通信の記者2名を治安部隊の極秘資料を入手したとして逮捕し、裁判が続いている。14年間の禁固刑が言い渡される可能性が指摘されている。

リチャードソンはこの問題についてもスーチーに要望を伝えたという。米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、彼がこの問題をスーチーに述べたら、スーチーは「激怒」したと言い、こう述懐する。

「彼女の顔は小刻みに震え、彼女がもしすぐそばにいたら私を叩いていたことだろう。怒り狂っていた」

同紙はリチャードソンを引用して、さらに辛辣にスーチーを非難する。

「スーチーは常に彼女がいかに素晴らしいかを話す人たちに囲まれている……彼女は、悪いニュースは聞きたくなかったり、現実の状況を上げてこないおかしな人たちとつるんでいるなど、政治家や指導者たちが陥る典型的な状況に陥っている」

つまり「裸の王様」状態になっているようだ。

リチャードソンは、1994年に自宅軟禁中だったスーチーと家族以外で面会した最初の人物で、長年のスーチーの理解者だった。

だが、そんな恩人とも、決裂してしまったようだ。

こうした騒動を国民はどう見ているのか。ミャンマー人は複雑だろう。著者も軍政時代からミャンマーの知り合いとやりとりし、民政移管後すぐにミャンマーを訪問した。

そんな経験から現地のミャンマー人の多くがロヒンギャに同情していないのを実際に耳にしているし、スーチーがさらなる改革といった国民の求めていることに応えられていないこともわかっている。

だがスーチー以外に期待を寄せる相手が存在しないという現実がある。

スーチー率いるミャンマーはどこに向かうのだろうか。

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