「“水増し”鮮明、信憑性にも疑念」

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17年中国GDP、地方合算が中央発表を52兆円超過 “水増し”鮮明、信憑性にも疑念

中国全土に31ある省クラスの地方政府が3日までに個別公表した
2017年の域内総生産(GDP)統計を産経新聞が独自に集計したところ、中国国家統計局が1月18日に発表した全土のGDP統計総額(速報値)を2兆9769億元(約52兆円)も超過していたことが分かった。

中国ではかねて地方政府による統計の“水増し”疑惑が指摘されてきた。習近平指導部は昨年から、地方の統計当局を監視する組織の設置など対応策を強めたが、効果は限定的で、中国の統計全体の信憑性も疑われる事態となっている。

国家統計局は、香港とマカオを除く全土の17年GDPを名目で82兆7122億元と発表。地方政府からの報告も参考にした公式統計だった。だが、中国中央テレビ(CCTV)などが報じた地方政府の個別統計を合算したところ、中央の発表を3・6%上回った。

地方GDPの合算が中央統計を超過した額は、省クラスで国内11位の上海市(3兆134億元)にほぼ匹敵する規模となった。

中国は昨年4月、「統計執法監督局」を新設して地方の統計当局を監視する態勢を強化し、8月には統計の捏造を厳罰に処する「統計法実施条例」を施行。横行するデータの水増しなどの撲滅に本腰を入れた。

その結果、内モンゴル自治区や天津市で財政収入や工業生産額などの水増しが相次ぎ発覚し、GDPを下方修正させた。物価変動の影響を除く17年の実質成長率で、内モンゴルは前年比4・0%、天津市は3・6%と、いずれも全国平均の6・9%を下回った。昨年1月には遼寧省が意図的な統計捏造を認めている。

その一方、17年の成長率で10・2%だった貴州省を始め、31地方のうち22地方までが6・9%を超過。中央と地方の整合性がとれなかった。省クラス最大規模の広東省(8兆9879億元)は7・5%だった。

習指導部は経済成長を量から質に転換させる方針を打ち出しているが、地域の経済成長が地方政府の幹部の人事評価に反映される時代が長く続いたため、統計の捏造体質がしみついている。インフラ建設を重複してカウントするなどの手口も横行している。

地方政府の統計水増しは00年代後半から顕著になってきた。中国の成長率は鈍化が続いてきたが、17年の6・9%で7年ぶりに前年を上回り、経済が加速に転じたことになっている。

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