「約束は破るためにある!?」

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民進系野党と韓国・文在寅大統領はソックリ

【韓国・文在寅政権の行方は】

民進党と希望の党が幹部間で合意していた統一会派結成を先送りした。平成24年の政権陥落以来、旧民主党・民進党、およびそこから派生した希望の党などの野党の「コップの中の争い」はこれで何度目だろうか。

野党とはいえ、国民の税金から歳費をもらっているのに、まるで政局遊びに興じているようで、腹立たしさを超えてあきれるばかりだ。「決められない政治」との表現も手垢が付いているが、とにかく同じ失敗を繰り返している。

大山鳴動して鼠一匹

民進党は統一会派の結成を自ら提案し、希望の党の幹部と合意しておきながら、党内の強硬な反対にあって断念した。内部統制が効かない旧民主党以来の伝統芸を見事に継承している民進党のお粗末な事態は、もはや珍しくもなんともない。より深刻なのは、4カ月前に発足したばかりの新党・希望の党だ。

玉木雄一郎代表(48)は統一会派が事実上白紙となった17日の記者会見で「合意に至らなかったことは非常に残念だ」と述べた。頓挫した理由については「民進党の両院議員総会で統一会派を結成することを党として決めなられなかった」と語り、民進党に原因があるとした。

本音は「残念」ではなく、ホッとしたのではないだろうか。なぜなら玉木氏は前日の16日、統一会派に反対する希望の党の松沢成文参院議員団代表(59)らとの間で「分党」することを容認していたからだ。

統一会派がうやむやになったので分党も当面実現しない見通しで、希望の党の勢力は今までと変わらない。

日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事(53)はツイッターに「大山鳴動して鼠どころか蟻さん1匹も出なかったという事ですね」と皮肉を込めて投稿した。

野党のコップの中の争いは「大山」との表現にすら値しないかもしれないが、故事を絵に描いたような展開になったわけだ。
矛盾を抱え続ける希望の党

しかし、玉木氏が安堵しているとしたら間違いだ。希望の党が一時、分党を決断したのは、憲法改正の議論や安全保障法制へのスタンスの違いからだった。希望の党は昨年9月の結党時、憲法改正の議論を否定せず、安保法制についても「リアルな安全保障」の観点から認めるべきところは認めていた。先の衆院選の公約にはこう明記してある。

「憲法9条をふくめ憲法改正議論をすすめます。国民の知る権利、地方自治の分権を明記します」

「現行の安全保障法制は憲法に則り適切に運用します」

希望の党はこの公約を掲げて衆院選を戦った。選挙前から減らしたとはいえ50議席(選挙直後)を獲得し、立憲民主党の55議席(同)に次ぐ勢力となった。

それが左派もいまだ健在でコテコテの護憲派や安保法制白紙撤回を唱える議員が少なくない民進党と統一会派の結成を検討すること自体、衆院選で投票した有権者への裏切り行為だ。

いろいろ理屈を並べ立てたところで、間違いなく約束違反と考えるのが普通の感覚ではないか。

それでも玉木氏は統一会派に前向きだった。論外である。有権者への裏切り行為を重く見たからこそ松沢氏らは分党を検討した。分党していれば、ある程度スッキリしていただろう。いつまで党内矛盾を抱えるのか。これをおかしいと思わなければ、希望の党の国会議員は松沢氏も含めて民進党並みに感覚が麻痺していることになる。

広辞苑が10年ぶりに改定して第7版を出版したことが話題になっている。「LGBT」や「しまなみ海道」の説明で間違いがあり、重版で修正するそうだが、ついでに「約束」という項目に「-いはん【約束違反】約束を守らないこと。たとえば民進党、希望の党の行動」とでも追加すればいい。いつまで存続するか分からないような政党を辞書に載せることはためらうだろうが…。

と、考えをめぐらせていると、強烈な既視感に襲われた。「どこかで聞いたような話だな」。そう、お隣の国・韓国だ。慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓合意を平気で廃棄しようとしているからだ。

韓国政府は日本に謝罪を

希望の党や民進党と、韓国政府、就中、文在寅大統領(65)は驚くほど似ている。産経新聞紙上などで繰り返し書いていることなので多くは省略するが、27年12月28日、日本の岸田文雄、韓国の尹炳世両外相(いずれも当時)が合意した内容はおおむね次の通りだった。

1、安倍晋三首相が改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明

2、日本政府は全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には、韓国政府が元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金(=10億円)を一括で拠出し、日韓両政府が協力して全ての元慰安婦の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行う

3、2の措置を着実に実施するとの前提で、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。両政府は今後、国連などの国際社会でこの問題について互いに非難・批判することは控える

ほかにも、韓国政府はソウルの日本大使館前の慰安婦像について「適切に解決するよう努力する」とした。この日、安倍首相は朴槿恵大統領(当時)と電話で会談し、互いに合意内容を評価した。そして日本政府は約束通り10億円を拠出した。実際に受け取った元慰安婦もいる。

ところが、である。朴氏が知人の国政介入疑惑や裏金問題などで弾劾、罷免、逮捕され、昨年5月に文氏が大統領に就いた。反日色の強い文氏の行動はある程度予想できたが、やはり昨年末に韓国外相直属の作業部会が合意の検証結果として「被害者(元慰安婦)の意見を十分に集約しないまま、政府の立場を中心に合意を決着させた」などと言い訳がましい内容の報告書を発表した。

康京和外相(62)は今月9日、日韓合意への新たな方針として、日本政府が拠出した10億円を凍結し、韓国政府が10億円を負担すると発表した。文氏は10日の記者会見で「誤った問題は解決せねばならない」「日本が心から謝罪し、被害者らが許すことができたら完全な解決だと思う」と述べた。

文氏は合意の破棄や再交渉を求めるわけではないとの趣旨の発言もしている。さすがに国家間の約束を破ることには一抹の後ろめたさがあるのだろう。だが、その主張の大意は「さらなる日本側の謝罪要求」であり、追加措置を求めていることに違いはない。またもゴールポストを動かしたのである。

政権交代といった韓国内の政治情勢など、日本側からすれば知ったことではない。国家間で交わした約束を守るか守らないかが大事なのだ。

仮に日韓合意が文氏の言うとおり「誤った問題」だとするならば、韓国政府として日本と約束を交わした朴前大統領が糾弾されるべきであり、謝罪すべきは日本側ではなく、文氏こそが日本政府に謝罪するのが筋だ。

「ルーピー政権」認めなかった日本国民

日本の政界にも、かつて鳩山由紀夫氏(70)という人がいた。21年に民主党政権の首相に就くと、日米両政府が合意していた米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設に異を唱えた。政権交代を果たした衆院選前に「最低でも県外」と訴えていたからだ。米国を説得して実現可能な具体的かつ詳細な代替案を示し、見直しについて円満に米政府の合意を取り付ける努力をしたのならともかく、思いつきの発言だったとしか思えない。

鳩山氏は結論として辺野古移設を容認し、8カ月余りで退陣した。この間、米紙に「ルーピー(愚か者)」と酷評され、日米同盟に亀裂を生じさせた。日本は赤っ恥をかき、全くムダな時間を浪費したものだ。

日本国民は民主党政権を誕生させたわけだが、鳩山政権の退陣は、それでも米国との約束の履行を重視した健全な世論が勝った結果だろう。それほど国家間の約束は重要なはずだ。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が今月20、21両日に行った世論調査で、日韓合意をめぐる韓国の新方針について「納得できない」は90・8%に達した。韓国側が求める追加措置について「応じられない」と拒む日本政府の方針に関しても「支持する」が88・6%で、韓国を外交や経済活動の相手国として信頼できるかについて「信頼できる」は14・8%、「信頼できない」は80・5%だった。

長々と振り返ったが、「自ら交わした約束を守らない」という一点で、やはり希望の党および民進党と韓国は似ている。

そういう政党が何を訴えても、信じることはできない。ましてや恐ろしくて政権を任せることなどできないだろう。

何しろ平気で約束を破るのだから。

希望の党などの野党は「安倍1強」を批判するが、自分たちで約束を守って物事を決めることができず、結果として安倍政権の最大の「応援団」と化し、アシストしていることに気づいていないのだろうか。自家撞着も甚だしい。

韓国の場合は、国家間の約束を白紙にしようとしている。日本の政治の大勢に影響を与えずに政党支持率が地べたをはう1%前後の野党間のコップの中の不毛な争いよりも、よほど質(たち)が悪い。

安倍首相は2月9日の平昌五輪開会式に出席し、あわせて文氏との首脳会談で日韓合意の履行を直接求める考えを示した。

話し合いの扉を閉ざさず、日本の立場を直接伝えることはおおいに結構だが、日韓合意の不履行によって日本側が特に失うものもない。韓国が国際的な信用を失い、一方的に自滅するだけの話だ。

北朝鮮有事の連携は気になるところが、何を言っても誠実な協議はできないだろう。

約束したことを守らないのだから。互いに引っ越すこともできないので、もう適当に付き合うしかない。 

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