「まるで高利貸し」

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“借金のカタ”でスリランカの港を奪った中国のやり口とは

スリランカ政府は2017年12月、中国の援助で建設した南部ハンバントタ港を中国国有企業へ引き渡した。高金利債務の返済に窮していたスリランカは、“借金の形”に海のインフラを奪われた形で、中国のスリランカへの影響力いっそう強まりそうだ。

地元紙デーリー・ミラー(電子版)などによれば、スリランカ国営企業は12月9日、港を引き渡す代わりに、まず2億9200万ドル(約330億円)を受け取った。スリランカのサマラウィーラ財務相は議会で、「(開港から)7年がたち、これは港の商業的価値を実現する第一段階にすぎない」と述べた。

両国国営企業は17年7月29日、スリランカ側が中国側に港の管理会社の株式の70%を99年間譲渡する11億2千万ドルの取引の合意文書に調印していた。

そもそも、ハンバントタ港の建設支援は、中国がインド洋周辺で港湾整備を支援する「真珠の首飾り戦略」の一環だった。

しかし、最高6・3%にも上る高金利により、スリランカ政府が債務の返済に窮し、港を所管するスリランカ国営企業の株式の80%を中国国有企業に99年間貸与することで16年12月、いったん中国側と基本合意した。

これに対し、地元では失業を懸念する港湾労働者や、経済特区建設による土地買収に反発する市民が政府への抗議デモを展開。インドや日本は、中国の軍事利用につながる恐れがあるとして警戒し、契約内容が見直されていた。

スリランカ政府は見直し後、「中国側には、港を軍事目的では使わせない」ことを確約している。

スリランカは、中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の主要参加国にも位置づけられているが、米紙ニューヨーク・タイムズによれば、スリランカの中国国有企業への債務は、合計で80億ドルにも上る。

インドのシンクタンク、オブザーバー研究財団のサティヤ・ムールシー上級研究員は同紙に「中国への債務を縮小させるための対価は、スリランカが少なくしようとした債務負担よりも高くつくだろう」と述べた。

スリランカと関係の深い地域大国インドの警戒心は強く、印シンクタンク、カーネギー・インドのコンスタンティーノ・ザビエル研究員は「インドは自国の戦略的裏庭で、中国の攻勢に圧倒されている」と指摘している。

インドは一帯一路構想への根強い不信感を抱えており、17年5月に北京で開かれた一帯一路に関する国際協力サミットフォーラムを主要国で唯一、ボイコットした。

当時、外務省報道官は「支えきれない債務負担を地域に作り出す事業は行わないようにするという財務上の責任の原則に従うべきだ」と述べ、中国がスリランカに高金利で港湾整備資金を貸し付け、債務返済で困窮させていることなどを暗に批判している。

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