「中国の圧力に屈する韓国外交」

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中国の圧力に屈する韓国外交

11月7日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙社説は、中韓が関係改善に合意した裏で、日米韓の三カ国協力を妨げる中国の条件を文大統領が呑んでいたことを痛烈に批判しています。社説の要旨は、以下の通りです。

トランプ大統領は、文在寅大統領の北朝鮮を封じ込めるための協力を称賛した。しかし、最近の文の行動は、彼が信頼できない友人であることを示した。

文大統領は、北朝鮮が核・ミサイル実験を続けている間も、対北宥和政策をとっている。北朝鮮に年間約1億ドルの外貨をもたらす開城工業団地の再開を望み、更に、文は米国のこの地域での政策に反対し、ミサイル防衛に関する中国の圧力に屈した。今年初め、韓国は、米国のTHAADミサイル配備に合意した。中国は、そのレーダーが自国のミサイル基地を監視しうると猛反対した。

中国のより大きな懸念は、韓国が米国の他の同盟国とより緊密な関係になることである。トランプのアジア訪問の重要なテーマは、「自由で開かれたインド太平洋地域」を守るため、地域の民主主義国との協力体制を作ることであった。もし日韓協力が進めば、覇権を目指す中国にとって深刻な打撃になる。

中国は、在韓米軍へのTHAAD配備を撤回させようと、文大統領に、外交的・経済的な打撃を与えた。中国内の韓国企業を閉鎖に追いやり、中国人が韓国に観光に行かないようにし、韓国ドラマの放送も中止した。

そして先週、ついに文氏が中国に屈服した。韓国はTHAADのレーダーやランチャーを追加配備しないと中国に約束した。既に配備済みの6基のランチャーだけでは、ソウルを含む韓国北部をカバーできず、将来の北朝鮮の攻撃に対して脆弱になる。また、韓国は、米国の地域的なミサイル防衛体制に加わらないことや、将来、日米との軍事同盟には加わらないとも中国に約束した。

ではこの見返りに韓国は何を得たのか。APEC開催のベトナムで、韓中会談を行うことや、年内に文が訪中することなどだ。中国は韓国製品の禁輸解禁を暗黙合意したが、北朝鮮への石油や食料支援を止めるかは不明である。

文氏は米中との「バランス外交」を目指しているが、中国の圧力に屈し、自国と同盟国の安全保障について妥協することは、バランス外交とは言えない。

厳しい宥和政策、日本の役割は
この内容は、的を射た良い社説です。

トランプ大統領の訪韓直前に成立した中韓関係を改善する合意は驚くべきものです。「三不政策」と言うことで、THAADの追加配備はしない、米国のミサイル防衛システムには参加しない、日米韓軍事協力は軍事同盟に発展させない、との3点に合意したと康京和外相は説明しています。

マクマスター米国家安全保障補佐官は、「韓国がその3領域で主権を放棄するとは考えていない。外相の発言は確定的なものではないと思う」と述べています。米韓間で今後大きな問題になるでしょう。

日米韓の軍事協力を同盟に発展させないという点については、日本は憲法改正をして集団的自衛権を行使しうるようにならないと、米国に対しても韓国に対してもNATO5条のような義務は引き受けられませんから、今直ちに問題になることではありません。

しかし、THAADの追加配備と米国のミサイル防衛への不協力は理解に苦しむ政策です。前線国家として、脅威の評価を間違っていると言わざるを得ません。

大体THAADは米軍が韓国に配備しているものです。追加にいちいち韓国の事前同意が要るのか、いわゆる事前協議制度があるのかつまびらかにしていませんが、北朝鮮からの韓国へのミサイルを撃墜するためのものであり、それに制約をかけて国を守れるのかと思います。

米国のミサイル防衛に参加しないというのは実際的に何を意味するのでしょうか。米国のミサイル防衛は、それが中国の核戦略に与える影響が中国に北朝鮮の核・ミサイル開発を抑制させる動機につながると思いますので、韓国は全く不適当な対中妥協をしたと考えられます。

もし次の朝鮮戦争が起これば、ソウルは火の海になり、100万人くらいの死者が出ると言われています。それゆえに、対北軍事オプションには躊躇せざるを得ないところがありましたが、韓国が敵・味方識別ができず、「バランス外交」を標榜するのであれば、自業自得ともいうべきで、韓国の被害のことを心配する必要はない気もしてきます。

トランプ訪韓の晩餐会に慰安婦を呼び、竹島のエビを供し、対北の日韓米の軍の共同演習を断る国は、日本の友好国ではありません。

今後はそういうものとして韓国を取り扱っていくことが正解でしょう。北朝鮮に対する対応も日米で検討すべきで、日米韓の枠組みで考えることが正しいのか、疑問です。文政権を説得するのにエネルギーを使うより、日本でのTHAAD配備、ミサイル防衛のさらなる開発を、技術的有用性も踏まえ、検討していくべきでしょう。韓国の中国に対する事大主義の伝統は今も根強いです。

予防攻撃は国際法上違法ですが、Preemptiveな攻撃は必ずしも国際法違反ではありません。北朝鮮が攻撃してきた時には、自衛権で反撃できます。

北朝鮮は核戦力をかなり高度なところまで持ってくることに成功しました。

今後、挑発は控え、経済建設に重点を移す兆候も見えています。挑発がなければ対話などと言うのは北朝鮮の思うつぼにはまることになります。

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