「自公大勝」

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国難克服への強い支持だ 首相は北対応に全力挙げよ

北朝鮮危機と少子高齢化という、日本に差し迫った国難を乗り越える。安倍晋三首相の呼びかけに、国民は強い支持を与えた。

第48回衆院選で与党の自民、公明両党は大勝し、安定的な勢力を確保したうえで、引き続き政権を運営することになった。

野党側は、選挙を目前に民進党が「分解」したことにより、立憲民主党、希望の党などが新たに誕生した。だが、明確な対立軸や危機克服の具体策を示すことなく終わった。政権の受け皿として、大きな支持を得る勢力とはなり得なかった。

≪「9条改正」ためらうな≫

政権基盤を固め直した安倍首相は、自ら掲げた路線の具体化を急がなければならない。その最たるものが、北朝鮮問題である。

選挙期間中に懸念された挑発はなかった。だが、北朝鮮は最近の声明で、米原子力空母への「奇襲攻撃」まで叫んでいる。核・ミサイル戦力を放棄する気はさらさらない。

首相や与党は、対北圧力の強化という外交努力を選挙戦で訴えた。それにとどまらず、万が一、有事になったとしても、国民を守り抜く備えを、急ぎ固めておかなければならない。

11月にはトランプ米大統領が初来日するのをはじめ、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、東アジア首脳会議(EAS)への出席など、重要な外交日程が続く。強硬姿勢を改めない北朝鮮を翻意させるため、さらなる圧力強化も必要になってくる。

日米首脳会談では、自衛隊と米軍の協力や核の傘を含め、日米同盟の抑止力強化に関する具体策を話し合うことが重要である。

韓国にいる日本人や米国人などの外国市民を迅速に避難させる「非戦闘員退避活動」(NEO)や、武装難民への対策も早急に講じることも求められる。

ミサイル防衛の充実にとどまらず、敵基地攻撃能力の導入や防衛予算の増額への政治決断も求めたい。その中には、覇権主義を強める中国への備えも含まれるべきである。

戦後の平和と安全を保ってきたのは、自衛隊と日米同盟の存在である。憲法9条は自衛隊の手足をしばり、国民を守る手立てを妨げることに作用してきた。

安全保障の根本には、国民自身の防衛への決意がなければならない。その有力な方法は国民投票によって憲法を改め、自衛隊の存在を明記することだ。抑止力の向上に資するものであり、自民党はさらに国民に強く説くべきだ。

安倍首相と自民党は、憲法改正という公約実現への努力を止めてはならない。与党公明党に協力を促すのはもとより、改正に前向きな姿勢を見せた野党との協議も、加速する必要がある。

≪社保改革の全体像示せ≫

もう一つの国難である少子高齢化についても、対策は待ったなしの状況に追い込まれている。求められるのは、人口が減少する一方、社会の年齢構成が極端に高齢者へと偏ることへの対応だ。

選挙戦で、自民、公明両党は教育や保育の無償化などを強調するばかりで、社会の仕組みをどう作り替えていくのか、全体像を描き切れなかった。

全世代型の社会保障制度を構築するというのも、単なる子供向け予算の加算では許されない。

既存制度の無駄を徹底して排すことが求められる。社会保障・税一体改革の再構築を含むグランドデザインを急ぎ描いてほしい。

無償化論についても、その道筋には明確さに欠けるところが少なくない。

公明党は私立高校授業料の実質無償化まで言い出した。待機児童解消に向けた32万人分の保育の受け皿整備を前倒しする。消費税増税が実現するまでの間、運営費などはどう捻出するのか。

首相は少子高齢化に対処するために消費税増税が必要だと判断した。税率を10%に引き上げるまでの2年間を有効に使い、これに耐えられる力強い経済の実現に全力を挙げなければならない。

足元の景気は回復傾向を強めているが、国民の実感が乏しい点は政権も認めざるを得まい。企業や家計が将来を展望できる成長基盤を、確実に築いてもらいたい。

政府・与党に、選挙の勝利に浮かれているいとまはない。舵(かじ)取りを間違えられない荒海を進んでいるとの認識が常に必要である。

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