「ニセ札対策」

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人間不信社会の中国で急増するモバイル決済が世界を破壊する
● 中国で急速に普及するモバイル決済、将来的にはクレジットカード決済を超える?─国連報告

中国ではいま、スマートフォンなどを使ったモバイル決済が猛烈に急増しています。韓国では、国慶節の連休に訪韓した中国人観光客による中国のモバイル決済サービス「アリペイ(支付宝)」での支払いが席巻していると報じられています。

● 中国のモバイル決済サービス、国慶節連休に韓国席巻、「サムスンペイ沈黙」と中国メディア

中国でこれほどまでにモバイル決済が流行した理由は、偽札の横行です。銀行には偽札鑑定機が置いてありますし、店でも支払いの際に店員がお札をチェックする光景が必ず見られます。それでもATMから偽札が出てきたといったニュースが尽きないのも中国です。たいてい100枚の人民元紙幣のうち、5~6枚は偽札が混じっていると言われています。

中国人民元の偽札は、国内のマフィアが組織的に作成したもの、北朝鮮から流入したものなどさまざまですが、昨年は23歳の青年が1億6,000万円分の偽札を作り流通させたことが話題となりました。

● 23歳の青年が作った偽札1.6億円分が流通?

アリババのジャック・マーも「中国の偽物の品質は本物よりもいい」などと発言したほど、中国人は偽物づくりに長けているのです。台湾メディアは、中国人スパイは偽ドルを使用しているとも伝えています。

お札のみならず、偽造コインも中国では大量に流通しています。中国に自動販売機が広がらないのは、偽コインによる被害があるからです。かつて日本のバスや国際電話機において、中国や韓国の偽コインが大量に使用されたことが問題となったことがありましたが、先日のニュースでは、政府系バス会社の切符販売において、約2年間で700万円以上の偽コイン被害があったと報じられていました。

● バス運賃「偽金」で支払い、2年間で700万円以上=「民度のない人がこんなにもたくさん」「モバイル決済にした方がいい」―中国ネット

中国政府が神経質になる理由

言うまでもなく、中国といえば昔から偽物大国として有名で、世界市場のニセモノの80%を占めているとされています。たとえば蒋介石が台湾に持ち逃げした紫禁城の財宝は、輸送途中で多くが偽物とすり替えられ、本物は海外に転売されたといわれています。そのため、台湾の故宮博物院の収蔵品にも多くの偽物が混じっているとされています。

そのような状況ですから、誰もお札を信用出来ないのです。だからほとんど偽札が流通しない日本について、中国では「世界で唯一、偽札がまったく流通していない国だ」と報じられています。中国では偽札鑑別機能付きの携帯やスマートフォンが人気ですが、日本人には思いもよらないものです。

● 日本は先進国で唯一じゃないか? 「偽札がまったく流通していない国」=中国

こうした背景から、お札を使用しないモバイル決済が中国では爆発的に進んだわけです。2016年の中国におけるモバイル決済額は約1,000兆円に達したとも言われています。

中国でよく使われているモバイル決済は、アリババ系の「アリペイ」と、テンセント(騰訊)系の「WeChatペイ」です。

日本をはじめ、世界でもチャイナ・マネーを取り込もうと、これらのモバイル決済を導入する国が増えています。

● 世界数十万社、中国人観光客向けモバイル決済サービスを導入

しかし、中国のモバイル決済には、さまざまな問題点があります。まず中国政府にとっては、こうした決済が中国人の資金移動の手段として使われるようになっている点です。

中国経済の減速と外貨不足懸念から、中国政府は海外への資金移動を制限していますが、モバイル決済は当局の金融監督を困難にすると指摘されています。そのため、マネーロンダリングの温床になると懸念されています。

むしろキャピタルフライトとマネーロンダリングのために、モバイル決済が大流行しているとも言えます。

そこで中国人民銀行はモバイル決済事業者と金融機関のあいだに「網聯」という組織を設立し、金融監督を強化する方策を打ち出しました。来年6月から、すべてのインターネット決済が「網聯」経由になるそうです。

● 中国、来年6月から全てのインターネット決済が「網聯」経由に
世界的な金融危機の引き金にも

そしてさらに大きな問題が、セキュリティです。ハッカー大国である中国では、モバイル決済にハッカーが侵入し、架空の取引を行う危険性が大きいでしょう。取引額が大きいだけに標的にされやすく、個人情報の流出なども危惧されます。

中国のモバイル決済はまだプリペイドカード方式に近く、モバイル決済機関はあらかじめ顧客から資金を集めて決済しています。そして取り扱っている業者の多くが非正規の金融機関だという点です。そのため、モバイル決済機関がもし危機に陥った場合、そこに預けた客の資金は保全されないという問題もあります。

● 中国のスマホ決済、急拡大に潜む危うさ

そのため「網聯」では、決済機関が顧客から集めた資金の一部を供託金としてプールして、もしものときに備えようとしていますが、現状ではまだまだ不十分です。

もしもハッカーが中国人の世界中でのモバイル決済に不正アクセスし、莫大な支払いが生じた場合、モバイル決済機関が破綻し、中国人顧客の資金も保全されず、さらには海外での支払いも麻痺します。そうなれば、世界的な金融危機の引き金になりかねません。

昨年、中国はサイバーセキュリティ法を導入しました。これは中国政府に対して、中国国内の個人、企業のすべての情報開示を命じるものですが、これは外国企業にも適用されており、企業のセキュリティに関するソースコードまでも中国当局に開示する必要が出てくるともいわれています。

企業にとってトップシークレットであるセキュリティの内容を中国政府に握られること自体がリスクですし、そこから外部に漏洩する可能性も大です。賄賂社会であり共産党幹部の腐敗が当たり前の中国では、「地獄の沙汰もカネ次第」だからです。

「上に政策あれば下に対策あり」の中国では、中国政府がセキュリティや個人・企業の情報を中国が管理すれば、その網から逃れるためのさまざまな新たなサービスが生まれてくるでしょう。そのいずれに加わっても、個人や企業にとってはリスクなのです。

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