「訪日」

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なぜ中国政府が渡航制限しても、日本に来る中国人は増え続けるか

10月1日、中国国民が待ち望んでいた国慶節の連休がスタートし、日本にも中国人観光客が続々と訪れています。

一方、昨年の連休の渡航先人気ナンバーワンだった韓国は今年は20位以下にまでその順位を落とし、訪れる中国人が激減という憂き目に。一体何が起きているのでしょうか。台湾出身の評論家・黄文雄さんが自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』でその理由を記しています。

【中国】中国政府が旅行規制しても人気が衰えない日本と悲惨な韓国

● 中国、国慶節連休始まる 7億人旅行

今年も国慶節の季節となりました。中国人にとって、国慶節と春節(旧正月)は日本のゴールデンウィークに似ており、民族大移動の季節です。実際、日本のゴールデンウィークを真似て、中国ではこの2つの時期を「黄金周」と読んでいます。観光地ではどこでも人があふれ、数年前には敦煌郊外の砂漠地域に観光客が殺到したため、らくだが過労死したということもありました。

今年は中秋節の祝日と重なり、例年よりも一日多い8連休(10月1日~8日)ということもあり、海外旅行を計画する中国人が多かったようです。
中国当局は、人民元の海外流出を危惧して海外渡航人数の制限を設けていましたが、それにもかかわらず旅行者は延べ7億1,000万人と、去年を上回る人々が海外へ旅立って行きました。

行き先の人気TOP3は、タイ、日本、シンガポールの順。そのほか、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどの東南アジアが人気が高かったようです。また、中国政府が掲げている「一帯一路」構想内に含まれているチェコやハンガリーなどの東欧諸国も人気でした。

一方、人気なし地域で目立ったのは韓国でした。そこには、もちろん政治的理由がしっかりとあります。地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備問題で、中国との関係が冷え込んでいる韓国に対する中国の報復措置として、韓国への渡航を事実上禁止しているのです。

中国当局は今年の3月に、韓国行きの団体旅行ビザの発給を停止しました。7月には韓国を訪れる中国人旅行者は前年同月比で7割も減少しています。そして、昨年の国慶節の渡航先として人気トップだった韓国は、今年は20位以下に転落しました。

● 中国、国慶節で旅行ラッシュ 日本は渡航先2位 韓国はトップから20位以下に転落

去年、人気ナンバーワンだった韓国が、政府の意向次第で渡航者が激減する。いかにも一党独裁の中国らしい現象です。中国人観光客が激減した韓国では、新たに出店予定だった3つの免税店のオープンを延期することを決めました。

● 中国人客来ず開店しても赤字、韓国の3免税店、オープン延期―中国メディア

訪日し目が覚める中国人観光客

中国政府は、日本への渡航も人数制限をかけていたようですが、記事によれば、制限したのは団体旅行のみで、個人旅行に関しては制限できなかったとのこと。さらに、近年は団体よりも個人旅行を好んでする人が増えていることから、結果的に訪日観光客は前年比で28%増の637万人に上ったということです。

● 中国7億人、全世界へ旅行、国慶節連休始まる 日本も大人気
日本側も、国慶節の中国人観光客を見込んで様々なサービスを用意していました。中国語でのアナウンスや表示はもちろん、中国の電子決済サービス「聯銀」カード使用可能にしたり、デパートなどで各種優待チケットを配布したりと、観光客誘致に懸命です。

中国政府は、反日教育を熱心に推進し、日本は極悪非道のワルである「日本鬼子」とのイメージを植え付けることに一生懸命ですが、日本を一度でも訪れたことのある中国人は、それまでの日本のイメージは虚構だったことに気が付きます。そして、中国政府が渡航制限をかけても、好んで旅行先に日本を選ぶのです。なぜなら、日本が好きになる中国人がどんどん増えているからです。

中国政府も、この社会の変化に対して、いつまでも反日教育を人民に押し付け、人民をコントロールすることはできないでしょう。例えば、日本行きを渋っていた母親を連れて訪日した娘が、結果的に日本から多くを学び、母親も自分の娘もマナーや公共心について考えるいい機会だったと、ネットで感想を述べていました。こうした例は、ネットでいつでも散見できます。

● 日本行きを拒否した両親がたった6日間で日本大好きに!―中国ネット
米華字ニュースサイトの多維新聞は、国慶節に50万人以上の中国人が日本を訪れることで日本経済のカンフル剤となり、衆院選での自民党・安倍政権の追い風になると分析しています。

● 中国の国慶節が日本の衆院選を左右する―米華字メディア
中国人観光客で日本各地が賑わっている一方で、香港では2014年の大規模デモ「雨傘運動」の学生リーダー3人が8月に実刑判決を受けて収監されたことなどを挙げ、香港の民主が危機にさらされていると訴えるデモがありました。しかし、雨傘運動が制圧されて以降の香港では、中国による統治に対する諦めと失望が広がり、かつての自由を求める熱気はだんだんと冷めてきています。

これ以上あがいても何も変えることができない、デモに参加しても何も変わらないという諦めに近いものが、香港の人たちを覆い始めています。今では香港は、大学構内に「香港独立」を掲げる横断幕をかけただけで、行政長官から厳しく批判されるような状況になっています。中国返還以降、香港の衰退ぶりは実に嘆かわしいものです。

● 香港雨傘運動から3年 広がる失望、冷める熱気
「観光制裁」を受けた台湾は?
中国人の日本人気が高まる一方で、中国旅行をしたいという日本人は減少の一途を辿っています。日本旅行業協会(JATA)が発表した2017年の夏休みの旅行人気ランキングでは、中国は10位内にも入っていませんでした。やはり環境汚染の問題に加えて、日本人をスパイ容疑で逮捕したといった報道があったため、何をされるかわからないと警戒する人が増えたのでしょう。

●<JATA 夏休み旅行動向調査>夏休み旅行一番人気の方面! 海外は「ハワイ」 国内は「北海道」

中国政府が観光から文化、芸能、スポーツまで、あらゆる分野を政治利用することはよく知られています。かつて日本が尖閣諸島を国有化したさいに、中国はレアアースの日本への輸出を禁止したことがありました。

台湾も韓国同様、中国からの観光客を制限する「観光制裁」を受けましたが、その結果、行儀の悪い中国人が減ったことで、日本人観光客をはじめ中国以外の国々の観光客が増え、観光収入はかえって増大しました。そのため、台湾では「中国人観光客はいらない」という声が高まっています。

MAG2

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