2018年11月1日よりタイトルをWCA(世界の時事)に変更しました。
「戦争ビジネス」
今あえて「北朝鮮とアメリカの戦争」を画策しているのは何者なのか?
米国市場では「トランプ政権の北朝鮮に対する軍事行動はあり得ない」との楽観的な見方が優勢です。ですが、米国はもちろん、ロシア・中国など周辺大国の事情も考えると、実際の半島情勢は決して楽観できない状況です。
北朝鮮の金正恩に「対米戦争」の動機はない。ならば一体誰が?
楽観できない半島情勢、ポイントは周辺大国の事情
先週、北朝鮮が米領グアムの周辺に4発の弾道ミサイルを発射する準備をしていると報じられてから、米朝間の緊張が高まっています。
米国もハリス国防長官、ティラーソン国務長官が「外交交渉」「対話」路線重視の姿勢を見せる一方で、トランプ大統領が核戦争の脅威をちらつかせるなど、足並みの乱れも見られ、市場に不安をもたらしています。
これに対して、市場の反応もまちまちで、アジア市場、欧州市場が警戒を示す一方で、米国市場は総じて楽観的で、VIX(ボラティリティ指数)が短期的に上昇したものの、すぐにこれが低下するなど、「軍事行動はあり得ない」との見方が優勢になっています。
しかし、米国を含め、ロシア、中国など周辺大国の事情を考えると、あまり楽観は許されないように見えます。
北朝鮮側に米国を攻撃する理由は存在しない
金正恩委員長がいくら不可解な人物だとしても、北朝鮮自身の事情からすれば、米国に先制攻撃する理由はありません。
まだ朝鮮戦争が終わっておらず、目下「停戦中」なだけに、北は自身の存在感を米国はじめ世界に認知してもらい、米国と対等な形で平和条約を結びたいはずです。そこで対等な条件を得るために、核ミサイルの開発を進め、抑止力を確保しようとしたわけです。
従って、北朝鮮としては、米国に北の脅威を感じさせ、そのうえで対等な条件のもと、平和条約を結び、後は経済発展を図りたいはずで、これまでの抑圧された「小国の悲劇」を打開するための手段が核開発でした。
その完成がいよいよ近づき、後は米国など周辺国に北朝鮮の存在感を見せつければ所期の目的は達成されるわけで、あえて米国に戦争を仕掛ける意味はありません。
戦争の「火種」は、米国内と中国・ロシアでくすぶっている