「AIIB」

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6月16日、AIIBの第二回年次総会が韓国南部の済州島で開幕しました。AIIBに加盟承認されたのはこの日で計80ヶ国、地域に達しましたけれども、非加盟の日本は招待を断りました。

日本政府関係者は「非加盟国なので出席の理由がない」とコメントしていますけれども、まぁそうでしょうね。それ以前に、招待状が届く理由がないのに何故届くのかからして分かりませんね。

16日、麻生財務相は閣議後の記者会見でAIIBについて「融資や審査の能力があるのか立証できていない……アジア開発銀行などは、その国の返済能力や返済計画を考えてお金を貸す」とし、AIIBが返済能力などを度外視して貸し付ければ「最初からまともに貸していた方が割を食う」とも指摘。

更に、AIIBの理事が本部に常駐していないことを指摘し「基本的にガバナンスはできない」と述べています。

AIIBは中国による宣伝こそ凄いのですけれども、その内情はお世辞にも良いとは言えません。

北京にあるAIIB本部の人員は、当初700人の計画に対して100人にも満たず、単独で融資の審査すら出来ません。日米が主導しているADBが3000人の職員を擁し、融資審査を独自に行っているのとは比較になりません。

これまで融資が決まったのはパキスタン向けなど僅か9件、総額17億3000万ドルに留まっています。しかもそのうち6件はADBおよび世界銀行との協調融資です。

それだけでなく、融資についても金融関係者によると、「ADBなどに審査の手数料を払って資金を出させてもらっている状況」ということで、投資銀行の体をなしていません。

無論、AIIBも人材拡充のため、募集をしているのですけれども、他の国際機関に比べて給与が見劣りすることに加え、本部がある北京の大気汚染問題もネックになっているようです。

AIIBの運営機関は、総務会、理事会、経営層の三階層から構成されているのですけれども、理事会はADBと異なり非常駐となっています。投資案件は須らく、理事による妥当性のチェックを受けなければなりませんけれども、その理事が非常駐では碌なチェックもできません。

万歩譲って、仮に審査が出来たとしても、次に資金調達という壁があります。

インフラ建設で1件当たり数千億円にも及ぶの投融資を行うには国際金融市場で債券を発行し、民間資金も調達しなければなりません。けれどもAIIBの債権は未だ格付けを得ておらず「ジャンク債券」扱いです。高金利でなければ資金調達もできません。

AIIBの資本金で一番出資しているのは中国ですけれども、5月24日、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが中国の長期国債格付けを従来の「Aa3(ダブルAマイナス相当)」から「A1(シングルAプラス相当)」に引き下げています。

これは、天安門の1989年以降で初めて格付け引き下げで、中国の格付けは台湾より低くなりました。

無論、AIIBの格付けが「中国」を超えることはありません。

要するに麻生財務相が指摘するとおりなのですけれども、AIIBの成功は無茶苦茶乱暴にいえば、中国経済の動向と連動しているように見えます。

中国は日米をAIIBに取り込むことで、信用と資金の両方を手に入れようと増々躍起になるでしょう。今のところは日本は静観の構えでよいと思いますね。

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