「財閥企業の海外移転」

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改めて、韓国はグローバリズムの優等生だ。

グローバリズムとは、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化し、世界を「フラットな市場」として捉える考え方である。グローバルなビジネスを拡大するためには、当然ながら国民の賃金は「安い」方が都合がいい。

賃金に限らず、大手輸出企業が国内の下請け企業から買いたたき、売り上げ総利益(粗利益)を増やし、各種の利益を圧縮し、法人税も政府に引き下げさせた方が、株主の配当金の原資たる最終利益は増える。グローバル株主に支配された国の企業は、配当金最大化のために、国内の企業や生産者、政府に「損」をさせる必要があるのだ。

無論、上記のスキームを実現するためには、大手輸出企業やグローバル株主に「政治力」がなければならない。実際、過去の韓国政権は大手輸出企業に支配され、韓国国民が望む経済民主化(財閥経済からの脱却)は果たせないままだった。

現在、韓国では財閥企業が不思議な動きを見せている。韓国財界が政治力を発揮する際の「窓口」であった、全国経済人連合会(全経連)から、財閥企業が続々と脱退していっているのだ。

現代自動車は2月21日、全経連を正式に脱退した。実は、すでにサムスン、LG、SKといった大手財閥も、全経連から脱退している。サムスン、LG、SK、現代自の四大財閥は2015年基準で、全経連の年会費の77%を負担していたとされる。韓国の経団連である全経連は、このまま解体に向かうのだろう。

全経連は、前大統領の朴槿恵(パク・クネ)被告の親友、崔順実(チェ・スンシル)被告が実質的に支配していた2つの財団への大企業からの寄付を主導したことで、韓国国民の怨嗟(えんさ)の的となり、解体を求める声が大きくなっている。

このまま、韓国は最大の「ロビイスト」たる全経連を解体し、財閥企業は韓国国民のための企業として、生まれ変わるのだろうか。

残念なことに、そうはならない。何しろ、韓国はグローバリズムの下で「カネの移動」が自由化されている。すなわち、財閥企業が資本や生産拠点を外国に移転することを止めることはできない。

全経連が解体され、韓国政府に対し政治力を発揮できなくなった韓国の財閥企業は、より「おいしい」国へと本拠を移すだろう。文在寅(ムン・ジェイン)新大統領が「積弊清算」(=旧体制の弊害を清算する)と叫んでいる以上、尚更である。

グローバリズムに支配された韓国では、政治的に財閥をたたきのめしたところで、財閥企業が他国に移るだけの話だ。まさに、グローバリズムとは「そういう話である」という実例を、われわれは韓国に見ることができる。

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